はじめに

本記事はMakuake Product Team Advent Calendar 2018の22日目の記事です。

株式会社マクアケ開発本部マネージャーのkimura-ryoheiが、OKRについて紹介します。


前提として

本記事で扱うOKRに関する情報は、参考資料として、以下を用いています。以降、参考資料、とはこちらを指します。


OKR(オーケーアール) シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

日経BP社 (2018/3/15)

クリスティーナ・ウォドキー (著), 及川 卓也(解説) (その他), 二木 夢子 (翻訳)


OKRとひとくくりに言ってもいろいろな方法があるのが現状ですが、その中の一つについて触れている記事として捉えていただければと思います。


OKRとは

OKRとは、目標設定と運用の手法です。参考資料内では以下のように解説されています。


目標を軸に人を鼓舞し、全員が一丸となって目標に向かって進むためのツールである


特徴として、Objective(目標)を設定し、それを達成するためのKey Result(結果指標)も設定します。OKRにはこれ以外の要素も含まれますが、最も重要なものはこの2つです。まずはこの2つについて説明し、その後、その他のものをまとめて説明します。

これらの運用については後述します。


Objective

Objectiveはチームが達成すべき目標です。定性的で人を鼓舞する内容であることが望ましいです。例えば、「〜を勝ち取る」というような言葉がチームに響くのであれば、そのような言葉を用いて表現します。また、このとき期間を意識して設定します。例えば、1ヶ月や4半期というように、時間的な縛りを設けると意識しやすい目標になります。

良いObjectiveを設定するために、以下を意識すると良いとされています。


  • チームを鼓舞する内容である

  • 指定した期間内にやり遂げるのが難しい。それでいて不可能ではない。

  • 設定した個人やチームが独立して達成できる。


Key Result

Key ResultはObjectiveの達成度を定量的に測る指標です。Objectiveに対し、「どうやってObjectiveを達成したとわかるのだろうか」という問いに答える指標がKey Resultになります。その例としては、成長率、エンゲージメント、売上、性能、品質(NPS(ネットプロモータースコア))なとが挙げられます。

良いKey Resultを設定するためには、ストレッチゴールであることを意識することが重要です。あらゆる面でベストを尽くさないと達成できないと思える数字を目標値として設定します。明らかに無理だと思う数字は高すぎますし、ちょっと頑張ればできると思う数字では低すぎます。


その他

参考資料では、その他にも設定すべき項目を提示しています。

KR自信度

KeyResultの達成について、達成できそうかを10段階で確認する指標です。後述しますが、運用の際は定期的に設定したOKRを確認します。その際、確認の時点で、指定した期間内にKeyResultを達成できそうかどうかを知るための指標になります。この指標が低い場合は、KeyResultの達成見込みが低いということなので、なにか手を打つ必要があります。逆に高い状態が続く場合は、KeyResultの目標値をより高く設定することを検討します。

健康・健全性指標

OKRを追う中で無視してはいけないもの、下げたくないものです。例えば、Objectiveに向けて施策を多く打つなかで、コードのクオリティが下がることは望ましくない状態です。その場合は、健康・健全性指標として、コードのクオリティを設定します。参考資料では、赤、黃、青の3段階で評価すると説明されています。

今週の優先事項

OKRを達成するために必要な事項です。やらないとOKRを達成できないようなことのみを記述します。重要なことを忘れないようにすることが目的です。参考資料では、具体的な記述方法についても述べられています。P1(やらなければならないこと)、P2(やるべきこと)の2つにわけて記述し、それ以下を書かない、5つ以上は書かない、としています。

今後4週間

来月に起こってほしいと思う重要事項のパイプラインです。この目的は、手伝いが必要なときに他部署がのんびりしていて誰も動けなかったということがないようにすることです。


運用について

ここまででOKRを構成する要素について述べました。OKRにとって重要なことはこの要素を埋めることではなく、これらを継続して運用することです。ここでは具体的な運用法について述べます。


具体的な運用法

参考資料で説明されている運用法では毎週月曜日と金曜日に確認の時間を設けています。

月曜のチェックインミーティング

毎週月曜日にOKRの進捗をチェックします。参考資料内では以下のような確認を勧めています。


  • 今週の優先事項


    • 目標に向けてやるべき、特に重要な仕事を3-4つ挙げる。優先順位によってOKRが達成できるか話し合う。



  • 今後4週間


    • チームに知らせるべき今後の予定を確認する。



  • OKR自信度状況


    • 自信度の上下について、その理由を話し合う。



  • 健康・健全性指標


    • 悪化してきていないかを確認し、解決法を話し合う。



金曜のウィン・セッション

その週の進捗を共有し合う時間です。進捗を共有するタイミングを作ることによって、共有できるものを作ることがチームにとっての楽しみになります。また、会社側は各部門の仕事に感謝し、社員が日々何をしているのかを理解できます。

参考資料では以下のような記述があり、どんなチームにも共有できることがあるはずだとしています。


各チームが見せられるものをなんでも見せ合う。エンジニアは作業中のコードを、デザイナーはモックやマップを見せる。どんなチームにも共有できることがあるはずだ。営業部門は制約に至った顧客を紹介できる。カスタマー・サービス部門はサポートした顧客について話せる。ビジネス開発部門は取引の概要を共有できる。



実際に活用するにあたって


運用の難しさ

OKRはその運用が成果につながる重要なポイントです。一方で運用が非常に難しいとも言われており、参考資料内では、初めてOKRを導入すると、たいていのチームが失敗すると述べています。だからこそ継続して運用を改善しながら進めることが重要です。


チームに合った運用を

今回、触れませんでしたが、OKRは会社全体からメンバーひとりひとりまでをつなぐものとしても活用できます。全社のOKRがあり、それに紐づくようにチームのOKRが決まり、またそれに紐づくメンバー個人のOKRがあり、という状態を作ることで、メンバー個々人の活動が会社全体の目標につながっている状態を作ることができます。しかし、その設定には非常に労力がかかるため、参考資料でも最初はチーム内のみでOKRに取り組むなどの進め方を紹介しています。

また、個人的に現在OKRを導入している人たちに話を聞く機会がありましたが、共通しているのは基本的にどこも最初はうまくいかなかったという感覚があるようでした。そのうえで一度OKRをやめて再度開始したという例も聞きました。

また、どのチームも自分たちに合ったOKR項目にカスタマイズしていたことも印象的でした。OやKRの数を調整していたり、重視したい別の項目を追加するなど、チームの目的にそった仕組みにすることが重要だと改めて感じました。


まとめ


  • OKRとは目標設定と運用の仕組みである。

  • その仕組みは、ObjectiveとKeyResultという指標をベースに、いくつかの適宜確認すべき項目を含めたもの。

  • 最も大事なことはきちんと運用すること。実際の運用では自分たちに合うようにカスタマイズしているケースも多い。

  • OKRの目的とチームの目的とを理解し、自分たちに合ったやり方を探すことが重要。

OKRはその運用にかかる労力は少なくありません。一方で、きちんと運用することができれば、非常に強力なツールになり得ます。チームが目標から逸れていることが多いと感じられる場合には、導入を検討されてみてはいかがでしょうか。