はじめに
先日、念願の統計検定準1級(202107版)に(ギリギリで)一発合格することができたので、半年間の勉強の過程を共有したい。
勉強方法
半年間の勉強は概ね以下の通り。基本は「統計学実践ワークブック]と過去問だが、並行して他の本も参考に読んだ。
1か月目~3か月目
「統計学実践ワークブック」を熟読し、章末問題を解くことをひたすら繰り返した。トータルで3周ぐらいしたと思う。
4か月目~5か月目
公式問題集を一通り解いた。考え方を理解しているかを確認する目的で、時間はあまり気にすることなく解いた。論述問題を除いて概ね7割をとれていればのでそれなりの手ごたえを得た。難しすぎると評判の高い2021年の問題は、ほぼ6割近くとれていたので、時間切れにさえならなければそこそこ行ける手ごたえを感じた。
6か月目
過去問を通してどういった問題が出るのかの感覚をある程度つかむことができたため、再度ワークブックを1週し、新たな気づきを得ながらインプットを深めた。その後は時間の許す限りワークブックの例題、過去問(解けなかった所を中心に) を解きまくった。過去問で良く出るパターン、例えば症例数設計、時系列解析、オッズ比検定、デルタ法 等は、似たような問題をまとめてやったりして攻略した。最後の1週間はあらためてワークブックを見直し、覚えた方がよさそうな公式や解法を徹底的に暗記した。試験前日はやりつくした感があった。
参考にした本
参考にした本を以下に記載する。参考度合いに応じて5段階で評価した。評価が低いものは、あまり参考としなかったというだけで、その本が悪いというわけではない
統計検定ワークブック(★★★★★)
これなしではこの試験を語ることはできない。これに全ぶりすべきといっても過言ではない。くらいだ。問題だけでなく本文も徹底して読み込もう。そして読む度にインプットの解像度を上げていこう。インプットの解像度が上がらない場合、そこを理解するために別の本を探して読んでみよう。
過去問(★★★★★)
これも必須。過去問の傾向の分析ができるぐらい繰り返し解こう(といっても自分は2回程度しか解いてないが...)。本当に良問が多いため、解けなくても解説を理解することで力がつく。「論述問題」はCBTにでず、難易度が高いためこともあり、ほどほどにしたが解説を読むだけでも勉強にはなる。
現代数理統計学の基礎(★★★☆☆)
通称「久保川本」。1級レベルの参考書ではあるが、ワークブックの記述が良く分からなかったときに参考にした。これから1級の勉強で多いに活用予定である。
身につくベイズ統計学(★★★☆☆)
ベイズ統計の知識の補完のために購入。ベイズの概念を理解するのに役立った。
1冊でマスター大学の統計学(★★★☆☆)
評判が良かったので購入した。ワークブックの前半部分の補完として活用した。1回読んで概要が分かった(つもり)ため、その後はワークブックに集中した。最後はやっぱりワークブック。
多変量解析入門(★★★☆☆)
通称「永田本」。多変量解析の知識の補完のために参考にした。計算例が豊富なため特に回帰分析の計算の理解に参考になった。だた、判別分析や主成分分析の展開の仕方が統計検定ワークブックとやや異なっている点が★3つの理由。
自然科学の統計学 (基礎統計学)(★☆☆☆☆)
通称「青本」。「分散分析」「確率過程」「乱数」等、ワークブックの補完になりそうなトピックがいくつかあり、何度か読もうとしたが、その度に説明の展開についていけず挫折した。正直、自分には合わなかった
基礎系 数学 確率・統計II (東京大学工学教程)(★★☆☆☆)
「実験計画法」,「時系列解析」のテーマを取り上げた本。このテーマはワークブックの補完に適した本があまりなかったため購入。購入時期が遅くあまり読み込めなかったが、早い段階であればもっと活用したかもしれない。
試験を受けた感想、注意点
試験を終えての感想や注意点について記載する。
- 自分の受けた試験会場では、試験前にOdyssey にログインする必要があったのだが、全く認識しておらずパスワードを思い出せず、その場で別のアカウントを作って試験を受けることになった。試験当日の詳細はしっかり確認しておこう。とはいえ CBTの場合、最悪また別の日に受ければいいのであまり動じないようにしよう(笑)。
- 2級の時と同様、会場から渡されるビニールシートとマジックペンで計算する必要があり、勝手が違うことを想定しておこう。ビニールシートは2枚用意されるが、タイムラグをなくすため使い終わる前に早めに代えてもらおう。今回トータルで3回ぐらい代えてもらった。
- 難易度の差が激しく、問題文の読解に時間がかかるものもいくつかある。じっくり考えれば解けそうであっても、読解に時間がかかったり、解法がぱっと思い浮かばないようであれば、サクっと次にいって後で時間があれば見返した方がよいだろう。
- 2級レベルの知識でも3割程度はとれるので、残りの3割をいかに拾っていくか が重要となる。試験範囲が広く、満遍なく出題されるので、ワークブックを可能な限り満遍なく精読しておくことで、拾える問題も増えてくるだろう。過去問やワークブックの例題にない箇所も、しっかり読んだ方が拾える問題が増えるだろう。
- 8割以上を目指すのであれば難問もいくつか解ける必要があるだろう。そのためには、過去問の論述問題レベルをしっかり理解し、当日テンパらないよう過去問以外にも応用問題を多くこなすとよかったかもしれない(時間的に厳しいが)。
- 機械学習経験者からすると、機械学習関連の問題は知ってれば解ける問題が多いので、DS検定あたりを一旦受けるというのもあり?(DS検定受けたことないので適当にいってるが)
今後に向けて
DS検定はいまいち評価が不透明ということもあり、1級に向けて準備を始めている。特に今回全く点が取れなかった「確率と確率分布」「多変量解析」を根底からしっかりと勉強しなおしたい。