フリーランスとして独立して2年半ほどが経ちました。
最近では知人から「フリーランスってどうなの?」と興味を持ってもらえることも増え、回答する中で自分にとってどういう点が良かったのかということを整理する機会がありました。
せっかくなのでここで共有したいと思います。
前提
フリーランスという働き方には実に様々な形態がありますが、この記事では私がこの2年半で経験した以下のような形態を前提とさせて頂きます。
- 週5日フルタイムの業務委託案件
- フリーランスエージェント経由で契約や報酬の支払いを行う
合理性
細かく言えばメリット(デメリットも)はいろいろあるのですが、フリーランスのメリットは「合理性」という言葉にまとめられると思いました。
フルタイムという働き方でありながら労使という関係ではなく、ビジネスという関係だからこそ様々な要素が合理的だと感じています。
この記事では、私が感じた以下のメリットについて解説したいと思います。
- 基本的に実力主義で、学歴や職歴には左右されにくい
- 期間ありの契約故に高い報酬が提示されやすい
- 顧客やエージェントとの間でパワーバランスが保たれ、コンプライアンス違反が起きにくい
解説
実力主義について
私が最初に合理性を感じたのは、初めて案件を取るため商談に臨んだ時のことでした。
商談とは言いますが入社面接のようなものを想像して貰えばよく、先方から案件の詳細な説明や自分のスキルについての質問があったりします。
一般的な入社面接と違うのは志望動機や転職の面接における前の会社を辞めた理由、キャリアの中で力を入れてきたこと、などの質問がほとんど無いことです。
基本的には「どういうスキルを持っているのか」という実力の部分について問われ、私の場合学歴、社歴について質問されることもありませんでした。(私の利用していたエージェントでは提出する書類に学歴、社歴ともに記入する欄が無かった)
志望動機等「入社面接でよくある質問」が不要なものだとも、悪いものだとも思いません。ただやはりエンジニアの本質はスキルであり、そこにフォーカスして採否を決めることは合理的ですし、今後自分のスキルを伸ばすモチベーションにもなると感じています。
高い報酬について
業務委託契約は期間が決まっており、予め決まっているプロジェクト終了までの期間や、特に終了時期が決まってない場合3~6ヶ月程度の単位で更新を続けながら業務をすることになります。
世間一般では有期の仕事よりも無期の仕事の方が好まれる傾向にあると思いますが、フリーランスの場合これが必ずしもマイナスの要素にはなりません。
というのも、期間があるからこそフリーランスは高めの報酬が設定されやすいという事情があるからです。
近年、日本の終身雇用の弊害というものが言われるようになりました。
大きなデメリットに報酬が上げにくいということがあります。
労働者の解雇の規制が強い場合、人件費は固定費となってしまいます。経営側としては将来にわたって固定費が上がるリスクを考えると簡単に報酬を上げることは難しいです。
採用するタイミングにおいても、実力があると感じた人材に対して、万が一会社に合わなかったことを考えると最初から高い報酬を提示しづらくなります。
その点、フリーランスはある意味便利な人材です。
プロジェクトが終われば契約を終了すればよく、万が一会社に合わなければ早期に辞めてもらえばよいわけです。
これは採用する側のメリットである一方で、来て欲しい人にはとりあえず高い報酬を提示しやすいという、フリーランス側のメリットにもなります。
伝統的な終身雇用にももちろん良い点はありますが、私は欧米的なもっと流動性のある雇用に合理性を感じています。
そのような考えを持つ人にとって、フリーランスは良い選択肢だと思います。
パワーバランスについて
私はフリーランスエージェントを利用しており、顧客との間に入って契約や報酬の支払い等を行ってもらっています。
エージェントは報酬の一部を手数料として徴収するため、エージェントを使わずに契約を行いたいという方もいるかもしれませんが、私は最初のうちはエージェントの利用をオススメします。
顧客、エージェント、私はあくまで対等な立場で、私はエージェントに所属しているわけではありません。
対等な立場であるというのが重要な点で、それぞれが互いにお客さんという関係になるため、コンプライアンス違反への抑止力が働くように思います。
エージェントの立場としては問題がある現場をフリーランスに紹介してしまっては、以降そのエージェントで仕事を探してもらえなくなるかもしれません。
逆に問題のあるフリーランスを顧客に紹介した場合も顧客からの信頼を失ってしまうため、業務のマッチングにはしっかり力を入れてくれます。
新卒や転職の就職エージェントが基本的に「入社させたら終わり」という関係性なのに対し、フリーランスのエージェントはその後も関係が継続するというのが大きな違いです。
顧客としては例えばパワハラなどの行為を行った場合、以降エージェントに人材を紹介してもらえなくなる可能性があるため、やはりコンプライアンス違反への抑止力が働きます。
当然私としても継続的に顧客と仕事をしたいですし、エージェントとも良好な関係を保ちたいので、業務や連絡事項は丁寧に行います。
本来労使の関係でも労働者と使用者の対等であるべきだと思いますが、実際には使用者側の立場が強い場合が多いと思います。
フリーランスの場合、ビジネスだからこそ互いに対等な関係が保ちやすいと考えています。(ただエージェントを挟まない直接契約だとそうもいかない場合もあると思います)
最後に
フルタイムの案件で仕事をしていると、なかなか独立したという実感がわかない時もあります。
日々の働き方が、サラリーマンと大きく変わらない場合もあるからです。
しかしながら、要所で「ビジネスとしてやっている」からこそ受けられる恩恵も多くあります。
一方でやはり安定性に欠ける点だったり、自営業ならではの事務作業(帳簿付けなど)の手間があったりと、メリットばかりではないのも事実です。
社員もフリーランスも、どちらが良いという話ではなく向き不向きを考えて選択するものだと思います。
フリーランスに興味のある方、キャリアについて悩んでいる方の参考に少しでもなれば幸いです。