##アプリ開発の経緯
今回のアプリは友人の会社から依頼された覆面調査のアプリ。
覆面調査にもいろいろあるようですが、今回のケースでは、店舗などに調査員(ミステリーショッパー)がお客のふりして店に行き、実際にサービスを受けて、店員や店の評価をするというもの。
で、店舗はあとから本部や大家(テナントの場合)から点数やら評価を突き付けられる、というやつですね。
ひとくくりにはできませんが、調査会社というのはまだまだ業務改善の余地があり、IT化も遅れてる。
スマホが普及した今ならミステリーショッパーはだいたいスマホでポチポチ評価入力するでしょ、と思うけど、それがそうでもないらしい。
まさか、、、、紙?
紙ばさみに紙はさんで調査してる?
そんなのミステリーでも何でもなく、バレバレなんちゃうの?
という面が否めない。
そういえば、街頭アンケートって今でも紙なんですかね。
あれこそiPadやタブレットでやるべきでしょう。
少なくともこの案件、私が関わるまでは紙でした。
で、最初に相談を受けたときには、面倒だったので「Googleフォームでも使っておけ。無料だから」と言って放置。
いや正直この友人もITに明るくないし、面倒だったんですよ。
IT化を進める!とかって鼻息荒くしてるけど、もともと友人なんで、こんなシステムのシの字もわからんようなヤツにあれこれ言われたくなかったんですよ。
その前に少なくともスマホぐらい使いこなせよ。
LINEとYouTubeとソシャゲとカメラだけじゃなくてさ。
ってぐらいに、関わりたくなかった。
まあ、クライアントの大部分がそんなもんですけどね。
で、結局Googleフォームまで私が作る羽目になりまして(苦)。
しょーがないので、きちんと貰うものは貰うという約束をして、開発に乗り出したわけです。
##仕様を考える
とりあえずはGoogleフォームを動かしながら、仕様を考え始めました。
友人は調査がGoogleフォームになっただけで大喜びですよ。ははは。
その後、友人の会社のおばちゃんが一応、開発の窓口になりました。
友人が窓口よりはいいか、、、、と思いましたが、これがとんでもないおばちゃんだったのですが、それは追々書いていきましょう。
あ、そうそう、とりあえずおばちゃんにGoogleフォームの入力(入力ですよ。作成でなく、入力ね)をしてみてもらったらできませんでしたからね。
もしかしてあれですか?
スマホでお買い物もしたことなければ、一行テキスト領域にメールアドレスや名前を入力したこともなかったんですか?
と嫌みの100連発ぐらい吐きそうになりました。
で、おばちゃんのことは無視してとりあえず仕様です。
ミステリーショッパーによる入力。
基本情報は、調査員名やメアド、調査店舗、調査日、調査時間などがあり、
点数形式の調査項目は15問。
記述式コメント欄が1つ。
ここまではGoogleフォームで余裕でできる。
CSV吐き出してもらって、Excelで意味はないけど見栄えはいいグラフでも作ってPDFで送ったらいいんじゃね?ってレベルならすぐできる。
調査先がショッピングモールの場合。
- テナントさんはなんとランキングまで発表される
- ランキングは全館ランキングと業種別ランキングがある
- 平均点との比較付き成績表(意味はないけど見栄えはいいグラフ付き)
- さらに、テナントさんは自分の店の成績表をスマホで見ることができる
- ショッピングモールさんは、全テナントの成績表を見ることができる
- 半期に一度ミステリーショッパーによる調査が入るので、前回との比較、昨年比も出したい
とまあ、語りだせばきりがないぐらいには理想が出てくるわけで。
これ、何かに似てるなと思ったら、うちの娘っこが登録させられている学習情報サイトみたいな感じ。
テストの結果やレーダーチャートがあって、アドバイスなんかがあって、前回比もある。
もちろん、大手さんがやっているような独自のシステムを作るような予算はないが、参考にはなりそう。
登場人物を整理すると、
- 開発者
- 調査会社
- 調査員(採点する人)
- 本部、大家(生徒の点数を管理したい人)
- テナント(生徒)
みたいな感じですね。ふむふむ。
##それ、できるよ、kintoneならね。
できそうですよね。意外と簡単かもしれない。
と思って、最初はkintoneに絞ってあれこれ質問しながら進めておりました。
でも、結果的にはkintoneはあきらめた。
できるにはできるけど、それには人数分のライセンスがある方がいい。
でも年々増え続けるライセンスのランニングコストは高すぎる。
APIを使って外部公開(閉じられた外部公開と言いますか)する方法はあるにはあるし、FormBridgeみたいなプラグインサービスもある。
これらも試してみたけど、API使って外部に構築するには工数がけっこうかかってしまう。
FormBridgeは実際にはあまり便利なサービスではなかった。
いや、十分便利なサービスなんだけど、今回の仕様で使うには無理があった。
kintoneはやはり社内の業務改善にはいいけど、例えば顧客との情報シェアには向かない、という気がした。
##ならZOHOじゃね?
という短絡的な考えでZOHOにシフトし始める。
まずはGoogleフォームをZOHO FORMSに移行してみた。
kintoneはフォームすら外部公開は簡単ではないので、ZOHOはあまりに簡単で拍子抜けした。
ただ、ゴールにたどり着くにはZOHO FORMSではダメっぽかった。
ここら辺の段階で、自分的な理想が見え始める。
- 調査対象をDBに登録する。これは仕方がないのでCSVドンで。
- 調査員が調査する(後から編集可能な入力フォーム)
- 裏でガチャガチャ処理して
- グラフ付き成績表のひな型まで自動完成
- 調査会社のチェックを経て「承認」
- テナントや大家が閲覧可能になる
ここまで出来たら、私が永続的に関わる必要もないし、あのインターネッツ!に弱いおばちゃんとも関わらなくて済む。
ここまでやりましょう。いや、やりたい、
やって手を引きたいのである。
ZOHOにはさまざまなサービスがあって、連携できるもの、できないもの、がある。
私の理想としては、上記を叶えるものが、できれば手間暇かけずにできること、なので、出来合いのサービスが活用できるならそうしたいところだった。
CRMも見てみたけど、これはこれで素晴らしい仕組みではあるけど、やはり顧客管理に特化している感じ。
FORMSやSURVEYもフォームとしては高機能だし言うことなしなんだけど、それは入力段階の話で、調査員が触る部分。
調査員なんてスタッフなんだから、あんまり親切に作らなくていいんじゃね。とも思った(これがとんだ誤算だったわけだけど)。
私がZOHOのサービスをあれこれ触っている間に、調査会社はZOHO FORMSで作ったフォームでの調査が始まっていた。
調査員が回答する⇒再編集のURLがメールで飛んでくる⇒再編集する
⇒完了メールが飛んでくる←ここには再編集のアドレスは付かない。
この、最後の部分。
再編集したときには、再編集アドレス付きのメールではなく、完了メールのみ。
これはZOHOの仕様です。
再編集は何度でもできますが、再編集アドレスがメールで届くのは最初の1回のみなんです。
別にいいじゃんね、1回メール来てるわけだし。
と思うでしょ。
おばちゃんが登場ですよ。
ここにも再編集のアドレスを付けてくれと。
「仕様です」
付けてください。
「仕様なんで」
フルオーダーメイドするほどの予算はお宅の会社にはないわけですよ。
ミステリーショッパーなんて、教育すればよくね?
給料出すわけでしょ?
研修してやればよくね?
「再編集アドレスは最初のメールにしかついてませんから、大事に保存しておいてください」
って、1行書けばよくね?
付けてください。わかりづらいんで。
わかりづらくないでしょ!!!
はーめんどくせ。
わかったよ。ミステリーショッパーのスキルがそんなに低いなら。
メールが飛んでくるフォームなんかやめて、おめーら全員自分でログインして何度でも編集・修正できるようにしてやるわ。
##それ、できるよ、ZOHO CREATORならね
CREATORが楽しそうなのは知ってた。
でも、こんな友人ごときの仕事で、その楽しさに足を踏み入れたら絶対ハマるから敬遠してたんですよね。
出来合いのサービスでなんとかしたかったわけです。
- 調査入力フォーム
- ミステリーショッパーDB
とりあえずこの2つを作ってみた。
こんぐらいならほんとに簡単にできる。
さらに大家DB、テナントDBなどを作り、スキルの低い人間が入力する調査フォームとの連携をして、ルックアップでプルダウンで店が選べるようにしてやる。
レポートのページを工夫して、ユーザーロールを整備すれば、スキルの低いミステリーショッパーでも「自分が回答した調査一覧」を見ることができて、いつでも編集、修正ができる。
さらに調査会社もリアルタイムで誤字チェックなんかもできる。
GoogleフォームやZOHO FORMSだけでやっていた時は結局はCSVありきで、データ修正のやり取りもExcelで、という事態になり、これはこれで私が大変だったので、もー全部自分らでログインして自分らで修正しろや。
という方向で。
いやしかし、仕事としては腹が立つことの多いクライアントですが、
CREATORは楽しいっすよ。
ZOHOの難点と言えば、フォーラムが英語なことぐらいですかね。
日本でもZOHOフォーラムみたいなのがありますが、企業がやっているので有料サイト…
でも英語のフォーラムに、ほとんどのことが載ってますしね。
Chromeさんで翻訳も併用しながらなら、情報はいくらでも探すことができます。
kintoneはこの点がよかったですね。
デベロッパーフォーラムが当然日本語でしたので。
そんなわけで、前振りとしてとても長くなってしまいましたが、次回からは試作アプリも公開しながらZOHO CREATORでの開発を紹介していきたいと思います。