目的: お金の動きを理解してより良く予算を立てられる
なんで家計簿がいるのか
このシリーズはLedger CLIという家計簿アプリケーションの解説ですが、そもそもなぜ家計簿をつけるんでしょう?もし仮に上に有界でない任意の金額が湧き出てくる財布を持っているならば、間違いなく家計簿をつけることはないでしょう。意味がないからです。
しかし現実の僕たちには、悲しいかな、有限のお金しか与えられていません。必然的に貯金が少なくないか、支出が多すぎやしないかと思い悩むことになります。
ざっくり言えば、これらの心配に計量的に答えられるのが家計簿の強みであり、存在意義であるわけです。
家計簿では解決しない問題
勘違いされがちですが家計簿は節約には直接つながりません。家計簿ができることは信頼できるデータを提供することで、支出を減らすのも収入を増やすのも家計簿にはできないことです。そこはご理解ください。
なんでLedger CLIなのか
Ledger CLI以外のソリューション
家計簿をつけたい、そう決まったとしてもまだ大事な問いがあります。どうやってつけるかです。私はLedger CLIをおすすめ…したいところですが、正直な話、Ledger CLI以前に2つのすごく簡単な方法があります。まずはそれを試してみると良いと思います。
一つはクレカも何もかも解約して、銀行口座一つとそのデビットカードだけにすることです。口座残高の数字一つだけ見ればいいわけですから、簡単ですよね?しかも何もしなくて良い。ちゃんと管理できる人なら財布に定額入れるだけでもいいでしょう。ただ、iDecoや会社の財形貯蓄、家や車のローン、どうしても口座一つにできないという人には向きません。
次の選択肢がマネージドのサービスです。代表例がマネーフォーワードでしょう。月500円で課金したらとりあえず色々見られて簡単です。
Ledger CLIの利点
他の選択肢を推してみましたが、私はLedger CLIを使ってます。なぜか、理由を挙げてみましょう。
無料(*)
まずLedger CLIはBSDライセンスでいわゆる「フリーソフト」です。当然タダで使うことはできます。ただ、これだけの理由で使うのはおすすめしません。マネーフォーワードは月500円で使えます。アプリもあればweb UIもある。何も勉強しなくても使えます。一方であなたがLedger CLIを使いこなすまでには、ほぼ間違いなくあなたの時間という希少な資源が湯水のように消費されていきます。無料であること以外の魅力に惹かれなければやめたほうがいいでしょう。
多通貨対応(要注意)
Ledgerの一つの特徴として、多通貨対応があげられます。よくある自動ツールは日本円のみ対応だったりしますが、私は外国で生活しているので日本円で価値を算出されても困ってしまいます。Ledgerなら米ドルは米ドルのまま、日本円は日本円のままで管理できます。
自分の好きにデータを扱える
Ledger CLIは自分なり自分のプログラムなりでテキストファイルを書いて自分のデータを管理していきます。当然、印刷なりGitHubなり好きなストレージで保管できます。サービス終了を恐れる事はありません。テキストファイルの仕様は公開されています。sqliteにエクスポートすらできます。私はGitHubのプライベートレポジトリに家計簿を上げてますが、ソースコードのコミットみたいで割と楽しめます。
あと、マネージドのサービスと違って自分の好きに仕訳(支出や収入の分類と思ってください)ができるのも利点だと思います。何なら、支出を「固定費、ご飯、遊び」に分けたければ分けてもいいし、細かくしたいところは好きに分けられます。お仕着せの項目に分類したくない人にはおすすめです。
複式簿記なのでお金の動きがつかみやすい
これは簿記の話で1Ledger CLI固有の話ではありませんが、複式簿記は不正経理を難しくする2効果があります。家計簿の場合意図的に不正することはあまりないと思いますが、逆に怖いのは「うっかり」です。故意でなくても単式簿記は簡単にミスが発生します。その点複式簿記で家計簿をつけると「このお金宙に浮いてるな」っていう所謂不透明な資金の流れがくっきり分かるようになります。例えば、キャンセルしたはずなのに返ってきてないお金や、立て替えたのに経費申請してないお金が割と一目瞭然です。
Ledger CLIの弱いところ
学習コストが高い
さっき無料のところで触れた話ですが、金額に換算するとそれなりの学習コストを払う可能性があります。無論、一度払ったら一生使える可能性は高いので投資として考えれば悪くはない気もします。ただ、使って10分で使いこなせないのはやはり弱点でしょう。
自動化できない
これはマネーフォーワード等と比べて超弱いところです。アカウントアグリゲーションとかはないので普通に行くと自分で全部書く羽目になります。私は自分でWEB部分を自動化するのは諦めて、代わりにダウンロードしたcsvファイルからLedger形式に読み込むプログラムを自作して使っています。これについても後で紹介宣伝したいと思います。なんならマネーフォワードに課金してcsvダウンロードするのが一番手っ取り早いかもしれません。
まとめ
Ledger CLIのいい点悪い点を紹介しましたが、この短所長所を見るとやっぱりLedger CLIは中長期的な戦略を立てるのには向いているツールと言えるでしょう。
- Ledger CLIが向いてる人は
- 日々のお金の使い方を事後的に見返したい
- 全部のデータを自分で管理したい
- 自分で解析クエリやコードを書きたい
- Ledger CLIが向いてない人は
- 明日明後日のカード引き落としが間に合うかのリアルタイム解析が必要
- 最低限の設定でサクッと使えてほしい
- 自動でうまくやってほしい
ふわふわした話が続きましたが、次回からはガッツリworkshop形式で実際の使い方を解説します。次↓