前回はLedger CLIでクレカの買い物の際の家計簿の付け方を見ました。でも、クレカ代の支払いの記録の方法が決定打ではないねという話でした。Ledger CLIをまだインストールしていない人はこちらから↓
意味わかんねえよという人は入門1の銀行編も見てください
今回から数回企業会計の定石を生かして家計簿の解析をすることを考えます。そのため、まずは複式簿記について説明します。めんどくさいことはいいんじゃという方は飛ばして大丈夫です。
複式簿記とは?
Ledger CLIは複式簿記という理論に基づいて帳簿をつけていきます。複式簿記というのは所謂簿記*級みたい資格で扱うもので、現在の会社の会計ではほぼ間違いなく使われている仕組みです。全部説明していくと簿記の教科書になってしまうのでざっくり説明します。
勘定科目
まず、自分の資産、負債、収入、支出などお金にまつわる「金額」のつくものすべてを勘定科目というカテゴリーに分けます。勘定科目というのは英語でいうとaccountだそうで、銀行の口座とかから派生してそうな言葉です。このカテゴリーは大きく分けると5つあります。通常の企業会計でよく聞く言い方1と英語名称をカッコ書きで添えています。
- 収入(収益, Income)
文字通りの給与収入や利息収入、株の売却益などはここに入ります。 - 支出(費用, Expenses)
食費、交際費、光熱水費…費用がつくものはすべてここです。株の売却損もここです。 - 資本金(純資産, Equity)
これは聞き慣れないと思いますが、銀行編やクレカ編で出てきた「Ledgerを使い始めたときの初期残高」と思っておきましょう2 - 資産 (Assets)
銀行の口座、持ってる株券などがここです。実は「経費精算したら帰ってくるけどまだしてないお金」とかもここです3。 - 負債 (Liabilities)
最後にクレカの残高、ローンや奨学金の残高です。クレカ編で見た引き落とし前のクレカ代もこの負債でした。
この内Ledger CLIでは
- 支出、資産が正の値
- 収入、純資産、負債が負の値
になります。普通の複式簿記会計ではすべて正の値をとるとするので表現上違って見えますが銀行編で触れたとおりこの負の値で考えるとお金が入っていく先はプラス、お金が出てくる源はマイナスという挙動に一貫してなっていることに気づきますし、後々のBS/PLの説明も簡略化できます。
取引
こうしてすべてのカテゴリーが出揃ったところで、現実のお金の動きをこのカテゴリーに合わせて考えていきます。すでに以前の入門編で全部出ているのでなんとなくおわかりだと思います。
- 収入からは常にお金が出てきます。給与であっても売却益であっても必ずお金が出てきます。
- 収入から資産に入るものを手取りと呼びます。
- 収入から支出へダイレクトに流れるものを税金と呼びます。
- 同様に支出も常にお金が流れ込んでいきます。言ってみればブラックホールです。
- 資産から出るのが現金払い、負債から出るのがクレカ払いです。
- 資産と負債は相互に行き来します。これを借金と返済といいます。
当たり前ですがここ100年以上使われる概念なので、人間のお金の使い方は全部このどれかからどれかに流れるようにできています。Ledger CLIもこれを記録するためのソフトウェアであり、そのためのテキストフォーマットなわけです。
今日はこのへんでお茶を濁して明日以降は複式簿記を使う上で避けて通れないBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)が家計簿レベルでどういう意味があるのかを説明します。