Ordered Subset EMアルゴリズム (OSEM)はPositron Emission Tomography (PET)で最も広く用いられている画像再構成法です。
その原理は、観測データを複数のサブセットに分割し、各サブセットのデータを用いてサブセット数回画像を更新することを1回の主反復とすることで、全データで画像を1回更新する場合に比べて収束速度をサブセット数倍に加速するというものです。
OSEMは反復が進むに連れて解が振動するリミットサイクル現象を生じますが、実用上は反復回数を少なめにすることが多いためあまり問題になりません。
Filtered Back Projection (FBP)などの解析的画像再構成法に対するOSEMなどの逐次近似的画像再構成法の利点は、観測データの統計的性質を正しくモデリングしているため(特に画素値が0に近い領域の)雑音が抑えられる点、装置の観測モデルを投影計算に組み込むことで画質の改善が期待できる点の2つです。デメリットは計算時間が増加する点、画素値が0に近い領域の収束が遅い点などです。
逐次近似的画像再構成はX線CTに比べて光子数の少ないPETやSPECTなどの放射型CTにおいて良く用いられますが、最近は被曝量低減の観点からX線CTでも用いられつつあるようです。
スライスあたりのカウント数2Mとしたため、あまりリミットサイクル現象を生じていないようです。
参考までにOSEMのソースコードです。
https://github.com/kibo35/reconstruction/blob/master/OSEM/osem.py