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present? と any? の使い分けを読み手の気持ちになって考える

Last updated at Posted at 2019-09-14

TL;DR

一見似た動作をするメソッド同士でも、レシーバにどんなオブジェクトを取れるかが異なる場合には、期待する範囲に近いものを選ぶことで、意図のわかりやすいコードにしよう

intro

先日こういうコードを書いていたら、レビューでアドバイスをもらいました。

users/new.html.erb
<% if @user.errors.present? %>
  <ul class="alert alert-warning">
    <% @user.errors.full_messages.each do |msg| %>
      <li><%= msg %></li>
    <% end %>
  </ul>
<% end %>

<%= form_with model: @user, url: admin_users_path, local: true do |f| %>
# (略)

-> レビュー:「present?any? に置き換えても良いかも。メソッドが実装されているオブジェクトの範囲は、より狭いものを使う癖をつけておくのがおすすめ

???となったので、ちょっと調べてみました。

検証環境

  • Ruby 2.6.3

  • Rails 5.2.3

そもそも present? とは

仕様

定義箇所

console で調べてみた:

> @user.errors.method(:present?)
=> #<Method: ActiveModel::Errors(Object)#present?>

> @user.errors.method(:present?).owner
=> Object

> @user.errors.method(:present?).source_location
=> ["/Users/(ユーザー名)/.rbenv/versions/2.6.3/lib/ruby/gems/2.6.0/gems/activesupport-5.2.3/lib/active_support/core_ext/object/blank.rb", 26]

ソースコード:
https://github.com/rails/rails/blob/v5.2.3/activesupport/lib/active_support/core_ext/object/blank.rb#L26-L28

activesupport/lib/active_support/core_ext/object/blank.rb
# (略)
class Object
  # An object is blank if it's false, empty, or a whitespace string.
  # For example, +nil+, '', '   ', [], {}, and +false+ are all blank.

  # (略)

  def present?
    !blank?
  end

  # (略)

上記の通り、 Object クラスを再オープンして定義されている。
つまり、どんなクラスのインスタンスに対しても呼び出す事ができる。

blank? については以下の通り

ソースコード:
https://github.com/rails/rails/blob/v5.2.3/activesupport/lib/active_support/core_ext/object/blank.rb#L19-L21

activesupport/lib/active_support/core_ext/object/blank.rb
  def blank?
    respond_to?(:empty?) ? !!empty? : !self
  end

読み解いてみると:

  • respond_to?(:メソッド名)

    • 引数に取ったメソッドをレシーバに対して呼べるかどうかチェックして真偽値を返すメソッド(リファレンス)
  • !!

    • nil でなく真偽値が確実に返るようにする
  • !self

    • nil, falseと評価される -> ! で反転して true が返る
    • 上記以外の値(文字列、数値その他)はと評価される -> ! で反転して false が返る

そもそも any? とは

定義箇所

> @user.errors.method(:any?)
=> #<Method: ActiveModel::Errors(Enumerable)#any?>

> @user.errors.method(:any?).source_location
=> nil # C言語で定義されているため(※注)

> @user.errors.method(:any?).owner
=> Enumerable

Enumerable モジュール に定義されている。

つまり、Enumerable モジュールをインクルードしているクラス(Array, Hash, Enumerator, Range など)のインスタンスに対して呼び出すことができる。

このケースでは、ActiveModel::Errors クラスが Enumerable モジュールをインクルードしているので、any? が使える。(該当箇所:https://github.com/rails/rails/blob/v5.2.3/activemodel/lib/active_model/errors.rb#L60)

※注 Rails ではなく Ruby に定義されている。

その手続オブジェクトが ruby で定義されていない(つまりネイティブ である)場合は nil を返します。

仕様

リファレンス
https://docs.ruby-lang.org/ja/2.6.0/method/Enumerable/i/any=3f.html
以下 Ruby 2.6.0 リファレンスマニュアル instance method Enumerable#any? から引用

すべての要素が偽である場合に false を返します。 真である要素があれば、ただちに true を返します。

p [1, 2, 3].any? {|v| v > 3 }   # => false
p [1, 2, 3].any? {|v| v > 1 }   # => true
p [].any? {|v| v > 0 }          # => false
p %w[ant bear cat].any?(/d/)    # => false
p [nil, true, 99].any?(Integer) # => true
p [nil, true, 99].any?          # => true
p [].any?                       # => false

レビューコメントの趣旨は...

  • present?Object クラスに定義されているので、どんなクラスのインスタンスに対しても呼び出せる
  • any?Enumerable モジュールに定義されているので、Enumerable モジュールをインクルードしているクラスのインスタンスに対してしか呼び出せない
  • つまり、メソッドが定義されているオブジェクトの影響範囲は present? > any? であるといえる

見方を変えると、

  • コードの読み手は、この箇所を見たとき present? が定義されていれば「レシーバがどんな型かは特に考慮していないのかな」 と推測するし、 any? なら暗に「レシーバが Enumerable モジュールをインクルードしたクラスのインスタンスであることを期待しているのだな」と推測する
  • 冒頭のケースでは、 errors が必ず ActiveModel::Errors クラスのオブジェクトであることがわかっている。このような場合は、どんなオブジェクトに対しても呼べる present?よりも any? を使うことで、「errors には Enumerable なものが渡ってきますよ」という意図を表現したほうがわかりやすい
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