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RubyでSPAを構築してみました

Last updated at Posted at 2022-05-05

はじめに

RubyのWebAssemblyビルドを使ってSPA(single page application)を構築するためのパッケージ"Bormaŝino"を開発し、TodoMVC移植してみました
本記事ではパッケージの紹介及び移植されたコードを解説します。

デモ

パッケージ"Bormaŝino"について

コンセプト

伝統的な「フォームを表示し」「POSTされる内容でデータストアを更新し」「データストアに保持されている内容を元に画面を表示する」だけのアプリケーションを通信時間が0に近い状態で走らせれば、いわゆるSPA的な操作感が得られるのでは?

という考えに基づき、Sinatra1を用いて構築された伝統的なWebアプリケーションをブラウザ内で動作させる環境を提供するパッケージが"Bormaŝino"です。
この構成により以下の項目を実現しました。

  • アプリケーションの実装は伝統的なWebアプリケーションのそれと似通っており、学習負荷が低い
  • 既存のrubygems等の資産を流用できる

現状出来ること

  • いわゆるSPA的な画面遷移
  • LocalStorageの読み書き
  • ユーザ入力の取扱い

構成

次の2つのパッケージから構成されています。

また、アプリケーションのテンプレートを用意してあります。
https://github.com/keyasuda/bormashino-app-template

依存関係

主に以下のプロダクトに依存しています。

TodoMVC移植版のコードについて

ファイル構成

.
├── js
│   ├── app.js          ページ読み込み後にruby.wasmを読み込み起動するブートストラップコード
│   └── index.html      アプリケーションの外枠
├── spec
│   └── todo_spec.rb    Todoクラスのユニットテスト
└── src
    ├── app.rb          アプリケーションの中心部。Sinatra::Baseを継承したクラス
    ├── bootstrap.rb    ruby.wasm起動後のブートストラップコード
    ├── todo.rb         Todoクラス。LocalStorageへの読み書きを(Bormashino::LocalStorage経由で)行う
    └── views
        ├── index.erb   Todo一覧を内包する画面
        └── todo.erb    Todo一件を表示するERB断片

アプリケーションの実質的な実装はこれらのファイルに記述されています。

リンクの扱い/ルーティング

<li>
  <a href="/" <% if request.path_info == '/' %>class="selected"<% end %>>All</a>
</li>
<li>
  <a href="/active" <% if request.path_info == '/active' %>class="selected"<% end %>>Active</a>
</li>
<li>
  <a href="/completed" <% if request.path_info == '/completed' %>class="selected"<% end %>>Completed</a>
</li>

ドメイン名を含まないリンクは画面更新時に自動でonclickイベントハンドラが設定され、クリック時にアプリケーションへのGETリクエストが行われます。

<p>Created by <a href="https://github.com/keyasuda">@keyasuda</a></p>
<p>An <a href="https://github.com/keyasuda/bormashino">Bormaŝino</a> port of <a href="http://todomvc.com">TodoMVC</a></p>

他ドメイン名へのリンクにはイベントハンドラは設定されず、通常のリンクとして機能します。

フォームの扱い

<form action="/todos/all" method="PUT">

formは拡張されており、methodに標準のget,postの他put,patch及びdeleteを指定可能です。
リンクと同様に自動でイベントハンドラが設定され、submitでアプリケーションへリクエストが行われます。

フォーム中の子要素に対する操作

<input
  class="toggle"
  data-bormashino-submit-on="change"
  type="checkbox"
  name="completed"
  <% if todo.completed %>checked<% end %>>

フォーム中にdata-bormashino-submit-onという属性を持った要素がある場合、その要素で指定されているイベント(この例ではonclick)が対象の要素で発生した場合に親となるフォームがsubmitされる仕組みを組み込んであります。これを利用してチェックボックスのクリックでTodoのactive/completed状態を更新しています。

ローカルストレージの利用

window.localStorageのラッパーとしてBormashino::LocalStorageを用意してあります。Todoの内容はTodoMVCの仕様通りにtodos-bormashinoキー以下にJSONとして格納されます。

JavaScriptとの統合

window.bormashino = RubyApplication

window.bormashinoにアプリケーション操作用のオブジェクトがセットされています。
https://github.com/keyasuda/bormashino-todomvc/blob/main/src/views/todo.erb#L11

<label ondblclick='bormashino.router.pushState(<%= "#{request.path_info}?edit=#{todo.id}".to_json %>)'><%= todo.title %></label>

本TodoMVCデモ実装ではTodoのダブルクリックで編集モードに入れるためにondblclickハンドラが設定されています。

おわりに

パッケージ"Bormaŝino"を用いてRubyでTodoMVCと同様のSPAが構築できました。今後、以下のような追加機能開発を予定しています。

  • Fetch APIのラッパー実装
  • JavaScriptとの統合機能強化
    • 画面更新時に発生するイベントの追加

Railsのように気の利いたコードジェネレータはありませんが、テンプレートを用意してありますのでどうぞお試し下さい。

2022-05-15追記: 続きを書きました

  1. に限らずRack protocol準拠のWebアプリケーションフレームワークであれば動く可能性はありますが未検証です

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