人類が誕生したのがいつなのか正確にはわかりませんが、お金を使い始めたのは約5000年前からと考えられています。
お金(通貨)が誕生する前は、基本的にそれぞれの家族(小集団)が食べ物を自給自足でその日暮らしをしていました。様々な専門職(大工、弁護士など)は発展しなかったのです。なぜなら自分の専門職でその日もし食べ物と交換が成立しなければとたんに生命の危機にさらされるからです。
お金(通貨)が誕生してから、専門職が発達し始め、貯蓄をして、時にはそれを集めて(資本の形成)大規模なプロジェクトが可能になり社会が大きく発展しました。お金をもらえば必要なものを必要な分だけ必要なときに交換したり、また少し多めに働き、困ったときや将来のために貯めておくことが可能になったからです。
数千年間のあいだ、私たちはいろんなものをお金(通貨)として試してきました。貝殻、香辛料、皮革、宝石、金銀、米、豆等とご存知政府が発行する紙のお金です。
試行錯誤の結果、良いお金の条件は大体以下のようになりました。
- ポータブルであること。(羊を教会に寄付するために長旅に世話をしながら連れて行くのはたいへんだった。)
- 耐久性があること。(米、豆等では腐ってしまうから。)
- 分割可能であること。(おつりが必要だから。ダイヤモンドでは硬すぎるし、半分に割ってしまうと大幅に価値が変わる。)
- 代換可能であること。(金銀であれば溶かせばだれのもまったく同じ。)
- 偽物と区別できること。(紙幣もいろんな偽造対策してますね。金、銀はその手触り、色、比重等で区別しやすい。)
- 貴重なものであること。(空気や水も必要不可欠だけどたくさんありすぎる。)
- 相手に依存しないものであること。(証書などではなくそれそのもので完結するもの。Counter Party Riskがないもの。)
これまで上記すべてを満たし今日まで価値があるのは、この世に存在するいろいろな元素のなかで金と銀しかありません。(文部科学省監修の元素周期表参照)
尚、プラチナとパラジウムも貴金属の仲間ですがあまりにも生産量が少ないため実際に通貨として流通したことはありません。
このため日本語ではお金=GOLD, 世界約50の言語ではお金=SILVERと書くのです。例えばドイツ語ではGeld(Gold)、フランス語ではArgent(Silver)と書きます。
歴史的には中央政府の発行する紙のお金はすべて無価値になりました。なぜなら上記7つの良いお金の条件を満たして維持することができなかったからです。
ビットコインの開発者中本哲史氏は、中央政府(権力)は腐敗し、お金を増刷して価値を薄め人々を裏切ってきたと書いています。このため発行上限を設定し、中央権力に頼らない分散システムで解決をめざしました。2009年の2月11日の投稿に記載があります。
ちなみに上記サイトの彼のProfileには誕生日は1975年4月5日と登録されてあり、4月5日(1933年)はアメリカで金保有禁止の大統領令(Executive Order 6102 signed by Franklin Roosevelt)が署名され、1975年はアメリカ国民が再び金を保有できることになった年なのです。(Pub.L. 93–373案が国会で採決)
Welcome to Bitcoin's rabbit hole!! ようこそビットコインの世界へ。
今回ビットコインは金、銀や現在の銀行システムにはできないインターネットでリアルタイムの超小額から超高額の送金を可能にしました。また銀行のインフラが整っていない発展途上国の人々もインターネットに接続さえできれば旧型の携帯電話でもグローバル経済に参加できます。
これにより少額のクラウドファンディングや、時間単位(分単位、秒単位)の資金の貸し借り等も世界中からできるようになってきました。また、お金(通貨)だけの用途ではなく、契約やデザイン等のあらゆるデータを記録することによりまったく新しいサービスが登場することになるでしょう。
現時点で金、銀にあってビットコインにないのは約5000年の実績です。登場してまだ5年。何事にも始まりはあります。ビットコインで人類は新しい時代を切り開くことになるのでしょうか?
東京ビットコイン会議はビットコイン普及のボランティア団体で、毎週木曜日に誰でも参加できる集まりを開催しています。ぜひみんなと一緒に勉強しましょう。
http://www.meetup.com/Tokyo-Bitcoin-Meetup-Group/
東京ビットコイン会議 宍戸健
(2014年12月2日オリジナル記事投稿)