ElastiCache for Redis と Memcached の比較とユースケース

Posted at 2025-02-22

ElastiCache for Redis と Memcached は、AWS が提供するインメモリデータストアで、それぞれ異なるユースケースに適しています。

ElastiCache for Redis のユースケース

Redis は 永続化、Pub/Sub、高性能キャッシュ などの機能を持つため、以下のような用途で利用されます。

アプリケーションのキャッシュ
- データベースの負荷を軽減し、応答速度を向上させるために使用。
- 例: Rails や Node.js などの Web アプリケーションのセッションデータ、ページキャッシュ。
ランキング & リーダーボード
- Redis の Sorted Set を利用し、リアルタイムでスコアランキングを管理。
- 例: ゲームアプリのスコアランキング。
Pub/Sub を使ったリアルタイムメッセージング
- Redis の Pub/Sub 機能を利用して、リアルタイム通知やチャットシステムを構築。
- 例: SNS やゲームのイベント通知。
分散ロック
- SETNX (SET if Not Exists) を使って分散ロックを実装。
- 例: 複数サーバー間で同じリソースの同時更新を防ぐ。
キュー (Queue) システム
- LPUSH & RPOP を使ってキューを実装し、非同期処理を管理。
- 例: バックグラウンドジョブ (Sidekiq, Resque など)。
セッションストア
- ショッピングサイトなどで、ログイン情報を Redis に保存。
- 例: Ruby on Rails + Devise のセッションストア。

Memcached は 単純なキャッシュ に特化しており、スケールしやすいのが特徴。

データベースクエリの結果キャッシュ
- 高頻度でアクセスされるデータをキャッシュし、データベース負荷を軽減。
- 例: SQL の SELECT 結果を Memcached に保存。
セッションストア
- アプリケーションのセッションデータを保存し、ステートレスな構成を実現。
- 例: PHP のセッション管理 (Redis でも可能だが、単純な用途なら Memcached でも OK)。
API レスポンスのキャッシュ
- 外部 API の結果をキャッシュし、リクエスト負荷を減らす。
- 例: 天気情報、ニュースフィードのキャッシュ。
オブジェクトキャッシュ
- アプリケーションの計算コストが高いデータをキャッシュ。
- 例: 計算済みのランキングデータ、JSON オブジェクト。

比較項目	Redis	Memcached
データ構造	リスト, ハッシュ, セット, ソートセットなど	シンプルな key-value
ストレージ	ディスク永続化 (RDB, AOF)	永続化なし (揮発性)
スケーリング	クラスターによるスケールアウト	水平方向にスケール可能
マルチスレッド	シングルスレッド (ただし高性能)	マルチスレッド
TTL 設定	可能	可能
ユースケース	高度なデータ処理、Pub/Sub、ランキング、ジョブキュー	単純なキャッシュ用途

構成:
- ElastiCache for Redis (シングルノード or マスター/スレーブ)
- Rails, Django, Node.js などのフレームワーク + Redis
用途:
- セッション管理 (redis-session-store)
- ページキャッシュ
- API レスポンスのキャッシュ

構成:
- ElastiCache for Memcached (複数ノードで分散)
- API サーバー (Lambda, EC2, Fargate)
用途:
- REST API / GraphQL のレスポンスキャッシュ
- DB クエリキャッシュ