Atomic DesignをNext.jsプロジェクトで採用する場合、ディレクトリとファイルの構成は以下のようになります。
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Atoms(原子)
- 最も基本的なUI要素(例:ボタン、入力フィールド、ラベル)。
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components/atoms
ディレクトリに配置。
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Molecules(分子)
- 複数の原子を組み合わせた機能的なUIグループ(例:フォーム、カード)。
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components/molecules
ディレクトリに配置。
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Organisms(有機体)
- 複数の分子(場合によっては原子も)を組み合わせて、より複雑なUIセクションを形成(例:ヘッダー、フッター)。
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components/organisms
ディレクトリに配置。
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Templates(テンプレート)
- ページのレイアウトを定義し、実際のコンテンツを配置する前の構造を提供。
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components/templates
ディレクトリに配置。
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Pages(ページ)
- Next.js特有の概念。各ページはこのディレクトリに配置され、ルーティングが自動的に設定される。
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pages
ディレクトリに配置。
例のディレクトリ構造:
- components
- atoms
- Button.js
- Input.js
- molecules
- SearchForm.js
- UserProfile.js
- organisms
- Header.js
- Footer.js
- templates
- MainLayout.js
- pages
- index.js
- about.js
この構造はAtomic Designの原則に基づいていますが、プロジェクトの要件や規模に応じて調整することが一般的です。また、スタイルやユーティリティ関数など、他の共通要素を管理するためのディレクトリも含めることができます(例:styles
、utils
)。
Atomic DesignをNext.jsプロジェクトで利用する際の注意点
Atomic DesignをNext.jsプロジェクトで利用する際の注意点について解説します。
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データの取得は、ページ、Template、Organismで行う
- 目的: コンポーネントの再利用性とテスト容易性を高めるため。
- 実装: データ取得は、ページやテンプレート、有機体レベルで行います。これにより、より低レベルのコンポーネント(原子や分子)は、データ取得の詳細から分離され、純粋にUI表示に集中できます。
- 利点: データ依存性が低いコンポーネントは、他のコンテキストやプロジェクトで容易に再利用可能になります。
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AtomとMoleculeを基本的にステートレスコンポーネントとして実装する
- 目的: コンポーネントの単純化と再利用性の向上。
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実装: 原子と分子レベルのコンポーネントは、内部状態(
useState
など)を持たないように設計します。これらは、単にプロップスを受け取り、UIをレンダリングする役割に集中します。 - 利点: 内部状態を持たないことで、これらのコンポーネントは予測可能でテストしやすくなります。
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AtomとMoleculeを基本的にサーバーコンポーネントとして実装する
- 目的: 性能の最適化とサーバー側のレンダリングに焦点を当てるため。
- 実装: ステートレスな原子と分子コンポーネントは、サーバーサイドでレンダリングすることができます。これにより、クライアントサイドのJavaScriptの量が減り、ページの初期読み込みが高速になります。
- 利点: サーバーサイドでのレンダリングは、特に初回ページロード時のパフォーマンス向上に役立ちます。
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ステート管理が不要であれば、Organismもサーバーコンポーネントとして実装する
- 目的: より大きなUIセクションでも、必要に応じてサーバーサイドレンダリングを活用するため。
- 実装: 有機体レベルのコンポーネントが内部状態やクライアントサイドの動的な挙動を必要としない場合、それらもサーバーサイドでレンダリングできます。
- 利点: これにより、ページのロード時間を短縮し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
これらの注意点は、コンポーネントの責務を明確に分割し、パフォーマンス最適化と再利用性を高めることを目的としています。Atomic Designのアプローチは、コンポーネントの整理と維持管理において非常に効果的ですが、プロジェクトのニーズやチームの作業スタイルに応じて柔軟に調整することが重要です。