AWS Key Management Service(AWS KMS)は、暗号化キーの作成、管理、および使用を安全に行うためのマネージドサービスです。この記事では、AWS KMSを活用できるさまざまなユースケースを分かりやすく紹介します。
1. データの暗号化
AWS KMSは、データを安全に保護するために広く利用されます。
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- S3バケットに保存するデータをKMSのキー(CMK)で暗号化できます。
- サーバー側暗号化(SSE-KMS)を利用することで、データの機密性を向上。
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- データベースインスタンスとスナップショットをKMSキーで暗号化。
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Amazon EBSの暗号化
- EC2のストレージ(EBSボリューム)を暗号化し、スナップショットも保護。
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Amazon DynamoDBの暗号化
- データを保存時に暗号化し、不正アクセスを防止。
2. アプリケーションでのデータ暗号化
AWS KMSを利用すると、アプリケーションレベルで機密情報を安全に管理できます。
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KMS APIを活用
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Encrypt
APIでデータを暗号化し、Decrypt
APIで復号。 - クレジットカード情報や個人情報の保護に活用。
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エンベロープ暗号化(Envelope Encryption)
- KMSでデータキー(Data Key)を生成し、アプリ内でデータを暗号化。
- KMSには暗号化済みのデータキーのみを保存し、必要なときに復号。
3. IAM認証とアクセス管理
AWS KMSはIAMと統合され、アクセス権を細かく設定できます。
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IAMポリシーを利用した権限制御
- 特定のIAMユーザーやロールに対して、KMSキーの使用権限を付与。
- 本番環境と開発環境で異なるキーを使用し、セキュリティを強化。
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AWS Organizationsとの連携
- 複数のAWSアカウント間でKMSキーを共有し、一元管理。
4. TLS証明書と鍵の管理
AWS KMSは、暗号化通信を安全に管理するためにも活用できます。
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AWS Certificate Manager(ACM)と統合
- TLS/SSL証明書のプライベートキーをKMSで保護。
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Amazon CloudFrontとの連携
- CloudFrontのカスタムオリジンとの通信をTLSで保護。
5. AWS Lambdaとの統合
AWS Lambda関数の機密情報管理にもKMSが役立ちます。
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環境変数の暗号化
- 機密情報をKMSで暗号化し、安全に保存。
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AWS Secrets Managerとの連携
- データベースの認証情報などのシークレットを暗号化管理。
6. ログデータの保護
システムの監査ログやアクティビティログを安全に保存できます。
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AWS CloudTrailのログ暗号化
- S3に保存するCloudTrailのログをKMSキーで暗号化。
- Amazon CloudWatch Logsの暗号化
- ログデータの改ざん防止とセキュリティ向上。
7. クロスアカウントでのKMSキー共有
AWS KMSのキーを異なるAWSアカウント間で安全に共有できます。
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本番環境と開発環境で共通のキーを利用
- セキュリティポリシーを統一し、運用の効率化。
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別のAWSアカウントのサービスに安全なアクセスを提供
- 監査やデータ共有のユースケースで活用。
8. HSM(ハードウェアセキュリティモジュール)の代替
AWS KMSは、オンプレミスのHSMを置き換える選択肢としても有効です。
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AWS CloudHSMとの比較
- KMSは管理負担を軽減し、簡単に暗号鍵を運用。
- HSMの高いコンプライアンス要件が必要な場合はCloudHSMを選択。
まとめ
AWS KMSは、データ保護や暗号化キー管理を効率化し、多くのAWSサービスと統合できます。システムのセキュリティ強化やコンプライアンス要件の遵守に活用できるため、適切なユースケースを選びながら導入してみてください。