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オブジェクト指向をスクレイピングを題材に説明

Last updated at Posted at 2024-09-05

オブジェクト指向とは

オブジェクト指向プログラミング(以下OOP)は、プログラムの設計と構造を改善するための強力な手法です。
特にコードの再利用性、拡張性、保守性を向上させるための効果的な手段となります。
本記事では、1ファイル1クラスの原則を用いたPythonによるオブジェクト指向設計で、スクレイピングを実装する方法を解説します。

オブジェクト指向プログラミングの基本概念

OOPには以下のような基本概念があります:

  • クラス(Class): オブジェクトの設計図であり、データ(属性)と振る舞い(メソッド)を定義します。
  • オブジェクト(Object): クラスを基に生成されたインスタンスです。
  • 継承(Inheritance): 既存のクラスを基に新しいクラスを作成し、機能を引き継ぐことができます。
  • ポリモーフィズム(Polymorphism): 同じインターフェースを使用しながら異なるクラスで異なる実装を持たせることができます。
  • カプセル化(Encapsulation): オブジェクトの内部状態を隠蔽し、外部からのアクセスを制御します。

これらの概念を理解した上で、Pythonによるスクレイピングのオブジェクト指向実装を見ていきましょう。

1ファイル1クラスの設計方針

OOPの設計では、1ファイル1クラスの原則を守ることで、以下のような利点が得られます:

  • 可読性の向上: ファイルがシンプルになり、どのファイルにどのクラスがあるかが一目瞭然になります。
  • 保守性の向上: クラスの変更が必要な場合、影響を受けるファイルは1つだけです。
  • 再利用性の向上: 特定のクラスを別プロジェクトに簡単に移動できます。
  • バージョン管理のコンフリクト回避: 1つのファイルで複数人が作業しても競合が少なくなります。

スクレイピングのためのクラス設計

今回のスクレイピング実装では、次のような構成でクラスを設計します:

  • Scraper クラス: 基本的なスクレイピング機能を提供する抽象クラス。
  • TableScraper クラス: テーブルデータを抽出する機能を持つ具象クラス。

この設計に従い、各クラスを個別のファイルに定義します。

scraper.py(Scraperクラス)

Scraper クラスは、基本的なスクレイピングの骨格を提供する抽象クラスです。

scraper.py
import requests
from bs4 import BeautifulSoup
from abc import ABC, abstractmethod

class Scraper(ABC):
    def __init__(self, url):
        self.url = url
        self.soup = None

    def fetch(self):
        """URLからHTMLを取得してBeautifulSoupオブジェクトに変換する。"""
        try:
            response = requests.get(self.url)
            response.raise_for_status()
            self.soup = BeautifulSoup(response.content, 'html.parser')
        except requests.exceptions.RequestException as e:
            print(f"Error fetching the URL: {e}")

    @abstractmethod
    def parse(self):
        """サブクラスでオーバーライドするためのメソッド。"""
        pass

table_scraper.py(TableScraperクラス)

TableScraper クラスは、Scraper クラスを継承し、テーブルを抽出する具体的な機能を提供します。

table_scraper.py
from scraper import Scraper

class TableScraper(Scraper):
    def __init__(self, url):
        super().__init__(url)

    def parse(self):
        """テーブルデータを抽出して表示する。"""
        if not self.soup:
            print("Soup object is not initialized. Please run fetch() first.")
            return

        tables = self.soup.find_all('table')
        for i, table in enumerate(tables, 1):
            print(f"Table {i}:")
            rows = table.find_all('tr')
            for row in rows:
                cols = row.find_all(['td', 'th'])
                cols = [col.get_text(strip=True) for col in cols]
                print("\t".join(cols))
            print("\n")

main.py(メインプログラム)

main.py ファイルでは、クラスをインポートし、実行のためのコードを記述します。

main.py
from table_scraper import TableScraper

if __name__ == "__main__":
    url = "https://example.com"  # スクレイピングしたいページのURLを指定
    scraper = TableScraper(url)

    # HTMLを取得
    scraper.fetch()

    # テーブルをパースして表示
    scraper.parse()

まとめ

1ファイル1クラスの設計は、オブジェクト指向プログラミングの良さを最大限に引き出す手法です。
スクレイピングのようなプロジェクトでは、複数の異なるデータ構造や処理を扱う必要があります。
クラスを独立させることでコードの見通しが良くなり、保守や再利用がしやすくなります。

今回紹介したスクレイピングの実装例を参考に、OOPと1ファイル1クラスの原則を活用して、より洗練されたPythonプログラムを作成してみてください。

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