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行列のテンソル積表現

Last updated at Posted at 2022-06-17

これは何?

テンソルと行列の関係について,いくつかの線形代数の本を読んでいます.この短記事は,『線型代数学周遊』という良書の講義ノートです.なぜ「講義ノート」かというと,著者の松谷先生に twitter DM で質問と回答を繰り返しながら書いたからです!先生ありがとうございました.

image.png

具体的には, p.55 「行列のテンソル積表現」の部分のメモです.行列を 「線型写像の表現」 とみたとき,それは 「テンソル積と同一視できるよ」 ということを言っています.

行列のテンソル積表現

$V$, $W$ を体$K$上の線形空間として,

  • $\mathrm{dim} V = n, \quad \mathrm{dim} W = m$
  • $V$ の基底 $e_j$ ($j= 1,\ldots,n$)
  • $W$ の基底 $b_i$ ($i=1,\ldots,m$)

$V$から$W$への線型写像全体を$\mathrm{Hom}_K(V,W)$とします.この時,$V$の双対空間を $V^*$として,

\mathrm{Hom}_K(V,W) = W \otimes V^*

です(1).これを絵でメモしました.これを行列と関連づけて理解したいのです!

綿形代数-099.jpg

ここで,行列を登場させます.線形変換 $\phi \in \mathrm{Hom}_K(V,W)$は,定義域$V$のそれぞれの基底ベクトル$e_j$が移る先$\phi(e_j)$が,値域$W$基底ベクトル$b_i$の線型結合の各係数としてどのように表現されるか,で表現されるのでした.

[ \phi(e_1), \ldots, \phi(e_n)] = [b_1, \ldots, b_m] \begin{bmatrix}
a_{11} & \cdots  & a_{1n} \\
\vdots & \ddots & \vdots \\
a_{m1} & \cdots & a_{mn} \\
\end{bmatrix}

ここで, $A = [a_{ij}]$ が $\phi$の表現行列です.

[ \phi(e_1), \ldots, \phi(e_n)] = [b_1, \ldots, b_m] A

すなわち, $\mathrm{Hom}_K(V,W)$ は,$\mathrm{Mat}_k(m,n)$ と同型です.これら2つのことから, $m \times n$ 行列は,テンソル積を使って表現されるのです.このことを例で書き下します.具体例として,$2 \times 3$ 行列 $A$ を扱っています.

綿形代数-100.jpg

$A$の行はそれぞれが,双対空間の元(一次形式)で, 元の$V$の元を一次元の体$K$に移します.この具体例でさらに計算を入れて,具体化してみます.

綿形代数-101.jpg

これで,理解したかった,

\mathrm{Hom}_K(V,W) = W \otimes_k V^* \cong \mathrm{Mat}_k(m,n)

にたどり着きました.ここまで,著者の松谷先生に,twitter DM でご指導いただきました!ありがとうございました.この本を再掲しておきます.

image.png

後少し,もやもやしていること

ゴールは,行列を 「線型写像の表現」 とみたとき,それは 「テンソル積と同一視できるよ」 なんですが,

  • では, $\phi$ の表現行列の式を直接計算してみて,書き下したい
  • $W \otimes_k V^*$ は, 次元が $mn$ であることが分かった段階で(線形空間なのだから)$m \times n$行列と同型ですよね.という議論は成り立つ?

と思っています.どうなるんですかね? どなたかコメントください.

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