はじめに
この1年間、エンジニア採用未経験のところから、必死でキャッチアップをして、中途エンジニア採用の強化を進めてきました。
実際にやってみて、中途エンジニアの応募を増やすのは本当に難しいです。そして、難しいがゆえに、各社様々なことに取り組んでおり、全体像が見えにくいです。
これからエンジニア採用を担当する人、すでにやっているんだけども、さらに応募を増やしたい人に向けて、1年間やってみてキャッチアップした、中途エンジニアの応募を増やすための施策の全体像をお伝えします。
2つの大きな分類
中途エンジニアの応募を増やすための施策は、大きく2つの分類に分けられます。
1. 求職者との接点を増やす = 求人媒体・エージェント等
2. 入りたい会社だと思ってもらう = 技術広報
求職者との接点を増やすというのは、転職活動をしているエンジニアや、転職活動はしてないけれど興味はあるエンジニアと、コンタクトする機会を増やすことです。求人媒体での募集や転職エージェントの利用がこれに当たります。
入りたい会社だと思ってもらうというのは、うちの会社ってこんな技術に挑戦していて、こんな働きがいのある環境で、こんな魅力のある会社なんですっていうことを、世の中のエンジニアに知ってもらうことです。要するにエンジニアへのブランディング・広報活動です。
両方を行うことが必要です。
求人をたくさん出したところで、求職者がその会社のことを知らなければ、求人を見ません。見たとしても、有名な他社と比較して、この会社は応募しなくてもいいかなと思われてしまいます。
会社が有名になっても、応募をするということは求職者にとってハードルが高いので、興味がある人に対して接点を増やさなければ、応募までにはつながりません。
求職者との接点を増やす
たくさんの施策がありますが、どれも運用しだいで採用まで結びつけることができます。
ただし、施策によってメリット・デメリットがあり、金額や運用コストも変わってくるので、会社の現状に合わせて最適な施策を選択するべきです。
各施策の特徴・工夫ポイントをまとめておきます。
転職エージェント
**最も手間がかからない採用方法です。**求職者を探すのはエージェントの仕事なので、こちらで行うのは求人の内容を伝えることだけです。採用が確定するまで基本的には、お金がかかりません。
ただし、求職者は、必ず複数社受けているため、内定を出しても採用につながらないことも多いです。
採用が決まった際に支払う金額も、他の施策と比較すると高額です。普通は年収の30%で、最近は年収100%を支払うケースもあります。
応募を増やすコツ
採用担当がいない等、採用活動に工数を割けない場合は、エージェントからの採用がメインになります。他の施策がメインの場合も運用に手間がかからないので、運用はしておくとよいです。
エージェントの案件へのコミット度合いが大事です。エージェントと信頼関係をつくったり、採用が決まった際に支払う金額を上げれば、コミット度合いはあがります。優秀なエージェントと友好な関係が築ければ、優秀なエンジニアをコンスタントに紹介してもらえます。
求人媒体
目まぐるしい勢いで新しいサービスが誕生しています。サービスの特徴・料金体系も様々です。正直キャッチアップしきれていません。
応募を増やすコツ
利用しているサービスに、ターゲットの人材が十分な人数登録しているかが一番大事です。
私がやってしまったミスを紹介します。
給与はある程度出してもよいので、リードエンジニアを採用したかったとき、某ハイクラス求人サイトを利用しました。3ヶ月程度運用しましたが、全く応募まで至りませんでした。なぜ応募まで至らないのか原因を探ってみると、そもそも狙っている層の登録が少なく、新規登録数もほとんど増えていませんでした。登録数が少ないサービスで、他の会社に競り勝って応募を獲得できるほど、弊社はまだエンジニアに知られていません。他の職種の採用にサービスの利用は継続していますが、エンジニア採用には利用しないことを決めました。
このように、ターゲットの人材が少ないサービスで、いくら求人を出したり、有料オプションを試してみても効果は薄いでしょう。少ないことが分かったら、すぐに利用をやめて、他のサービスに切り替えましょう。
ターゲットが十分な人数いれば、運用の工夫次第で採用できます。
各サービスごとに、ターゲットの人数、PV数、応募人数を数字で管理しておいて、定期的に、撤退か継続か改善かを判断すると良いでしょう。
また求人媒体は、流行り廃りがあるので、採用をやってる友人に、どのサービスが最近良いのかお互いに情報交換をしておくとよいでしょう。
ダイレクトリクルーティング
欲しい人材にピンポイントでアプローチをかけれる採用方法です。
ただし、必要な人材を探して、メッセージを送る工数がかかります。
また利用するサービス、企業のブランドや運用によって差があると思いますが、弊社では、エンジニアに数十〜数百のメッセージを送っても、1名の応募がある程度でした。
応募を増やすコツ
工数のかかる点が弊社の現状にマッチしなかったので、積極運用するのはやめました。
送るメッセージをどれだけ求職者に向けてパーソナライズするかで返信率が変わるらしいですが、そこまで検証できていません。
リファラル採用
優秀層を獲得するには最も効果的で、最も難易度の高い施策です。
サイバーエージェント・freeeをはじめ、各社がリファラル採用に注力していますが、実践してみて理由が明確になりました。**転職に興味はあるけどエージェントや求人サイトに登録していない優秀なエンジニアにアプローチできます。**そして、複数社受けていないケースも多いので、採用まで繋がりやすいです。
また、全社を巻き込むことができれば、たくさんの社員が採用に協力してくれるので、本当に多くのエンジニアを採用することが可能です。 そして、ダイレクトリクルーティングでは、数十〜数百のメッセージを送って1名の応募という確率ですが、4人声をかければ1人は面談にきてくれます。(個人差はあります。)
ただし、一番難易度の高い採用手法です。理由は下記になります。
- そもそも紹介したいと思えるような会社でないと、誰も紹介してくれない
- 知り合いを紹介するというのは、エンジニアにとってハードルが高い
応募を増やすコツ
具体的に語ると、1冊本ができるレベルなので、詳細は書きません。
どこかで書くかもしれません。急ぎの方はリフカムさんに聞いてください。
紹介したいと思えるような会社をつくるには、紹介したい会社かどうかを数字で見える化する必要があります。そのための指標がeNPSです。エンジニアにとって働きやすい会社にするための施策を実行して、定期的にeNPSを測定して、eNPSを高めていきます。
知り合いを紹介するハードルを越えられるようにするには、
- 手間を減らす(例:メッセージテンプレの用意、紹介してほしい人のリストアップ)
- 心理的な負担を減らす(例:応募はしたけど採用に至らなかったときのケア)
- 背中を押す(例:採用担当者から直接エンジニアにお願いをする)
があります。
入りたい会社だと思ってもらう
一昔前のように、新聞広告を出したり、有名求人媒体に広告を出すということはしません。
あたりまえですが、エンジニアにとって興味のある形式で、エンジニアにとって影響力のある場所で、エンジニアが共感できる情報を発信する必要があります。
各社行っている代表的な施策が下記になります。
- エンジニアブログ
- 自社イベント・勉強会の開催
- 技術書典
- カンファレンスへの登壇・スポンサー
- エンジニアを対象とした媒体での取材・出稿
これらの施策も、金額・運用コストは様々です。優先順位をつけることもできますが、弊社では全部やることにチャレンジしています。
現場のエンジニアの協力が不可欠なので、大変に思えるかもしれません。
ですが実際に運用してみると、自らやりたいとポジティブに感じてくれるエンジニアが多かったです。外部への情報発信は、それだけでエンジニアの成長の機会にもなりますし、エンジニア個人のPRの機会にもなります。エンジニア個人の成長とPRは当然ですが、会社の成長とPRにも繋がります。
また、こういった取り組みをすることで、社内のエンジニアが外部のエンジニアと交流する機会が増えていきます。外部のエンジニアに触れることが、エンジニア個人の成長へ繋がりますし、リファラル採用につながることもあります。
全部やるだけの十分なメリットがあると考えています。
最後に
私が1年間やってみての体験がメインなので、他の方が感じていることと違うことがあるかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。
それでは来年もエンジニア採用頑張りましょう。