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キーボード配列エミュレータ紅皿での「゛゜小」キーの実現

Last updated at Posted at 2021-05-09

1.はじめに

 かな入力とは、キーボードに刻印されたかな文字に基づき、日本語を入力することをいいます。そして、ローマ字入力とは、読みに対応するローマ字綴りをキーボードなどから入力することをいいます。角川アスキー総研の2015年度の調査によれば、ローマ字入力のシェアは93.1%と圧倒的なのですが、これはひとえに学習コストの少なさによるとおもいます。なお、同調査におけるカナ入力のシェアは5.1%です。そして、親指シフト入力のシェアは1.2%です。

2.各モードの学習コストの評価。

1.1.ローマ字モードの学習コスト

 ローマ字入力にて必要なキーは、単打「-wertyuiopasdfghjklzvbnm,.」の25キーであり、シフトは不要です。

1.2.カナ入力の学習コスト

 カナ入力にて必要なキーは、単打の
「ヌフアウエオヤユヨワホヘー
  タテイスカンナニラセ゛゜
  チトシハキクマノリレケム
  ツサソヒコミモネルメロ」
 の48キーと、シフト打鍵の「ァゥェォャュョヲィッ、。」の12キーの併せて60キーです。
 シフトによる拗音の学習コストをゼロと仮定すると、学習に要するのは51キーです。

1.3.親指シフト(NICOLA)の学習コスト

 そして、親指シフト(NICOLA)にて必要なキーは、単打の
 「.かたこさらちくつ,゛
  うしてけせはときいん
  ひすふへめそねほ」の29キーと、
 左親指シフトの
 「ぁえりゃれぱぢぐづぴ
  をあなゅもばどぎぽ
  ぅ-ろやぃぷぞぺぼ」の28キーであり、うち濁音キーを除くと18キーです。
 右親指シフトの
 「がだござよにるまぇ゜
  ゔじでげぜみおのょっ
  びずぶべぬゆむわぉ」の29キーであり、うち濁音キーを除くと15キーです。
 
 シフト打鍵のうち半分弱は、単打の濁音なので、この学習コストを0とすると、学習を要するのは3モードの62キーです。
 このように、各入力方式の学習コストが高いほど、シェアは低くなることがわかります。

1.4.スマートフォンのフリック入力

 ここでスマートフォンのフリック入力を検討します。スマートフォンのフリック入力は、大変によく出来ています。
 50音のうち子音部分を10キーで選択したのち、母音の選択キーが5つ現れるというものです。
 そして、濁音・半濁音・拗音は、「゛゜小」キーにより順次選択可能です。
 ユーザから見えているキーは、各子音キー10と、記号キーと「゛゜小」キーを含めて合計12キーです。母音の選択キーが現れた後を考えても17キーです。このように、スマートフォンの入力方式では、学習コストを少なくすることに注意が払われています。

フリック入力.png

 ここでは、親指シフト入力の学習コストを低くするための措置として、「゛゜小」キーを親指シフト方式のキーボード配列エミュレータに導入することを検討します。

3.キーボード配列エミュレータ紅皿への「゛゜小」キーの実装

 親指シフト入力に、「゛゜小」キーを導入できた場合、拗音と半濁音を記憶していない状態でも、そこそこにタイプ可能となります。
 日本語の拗音は「ァゥェォャュョィッ」の9キーであり、半濁音は「パピブペボ」の5キーです。そして「゛゜小」キーは半濁点キーを代替可能です。よって、親指シフトの学習コストは3モードの48キーとなり、キー数のみでいうとカナ入力の学習コストの51キーを下回ります。

3.1.設計方針

  • キーボード配列エミュレータ紅皿(benizara)は、ローマ字モードで動作するものとします。OSのデフォルトがローマ字モードであるためです。
  • 「゛゜小」キーを、紅皿では「修」キーと名付けます。紅皿において各種制御キーは一文字の漢字として表しているためです。

3.2.動作

  • (1) ローマ字モードにて最後に打鍵されたキーの表層文字を記憶します。
  • (2) 最後に打鍵されたキーの表層文字に対応する拗音・半濁音・濁音の何れかを記憶します。

 なお、表層文字が拗音・半濁音・濁音自体ならば、次の拗音・半濁音・濁音を記憶します。例えば表層文字が「つ」ならば「っ」を、「っ」ならば「づ」を、「づ」ならば「つ」を記憶します。

  • (3) 次に打鍵されたキーが「修」キーならば、記憶していた表層文字をBackspaceで消去して、記憶していた拗音・半濁音・濁音の何れかを出力します。そして、出力した表層文字と、これに対応する次の拗音・半濁音・濁音を記憶して、次のキーの打鍵を待ちます。
     なお、次に打鍵されたキーが「修」キー以外ならば、(1)に戻ります。

  • 従来の濁点キー「゛」や半濁点キー「゜」も、上記のロジックを微修正することで実装可能です。

4.結果

  • 従来は、IMEが濁音や半濁音に関する処理を行っていたため、ローマ字モードで動作する紅皿では、平仮名キーの押下後の濁音キーによる濁音の付加はできませんでした。しかし、紅皿に上記のような処理機能を加えることにより、清音を濁音や半濁音に変えるほか、濁音を半濁音に変えたり、濁音を拗音に変えることが可能です。

5.今後の課題

  • 今回導入した技術は、清音を打鍵したのち、半濁音や拗音や濁音に修正するものでした。これに限られず、同時打鍵によって半濁音や拗音を出力することを検討致したくおもいます。
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