PowerPoint依存から脱出する試み。PowerPointでもっとも依存度が高いと思われる「作図」をInkscapeで実施する。作図を効率よく行うために、Inkscapeに施すべき設定&操作技術を集める。
設定項目
パレット
PowerPointを使っていて、一番おろそかになるところ。顧客のフォーマットに合わせてください、ということになるので、いつまでたっても色彩センスが磨けない。
デフォルトフォント
【忘備録】Inkscapeでデフォルトのフォントを設定する手順
案外、フォント設定で悩んでPowerPointに出戻ってしまうので、デフォルトフォントは重要である。
複数ページサポート
Inkscape multiple pages support
Inkscapeはデフォルトでは1ファイル複数ページをサポートしない。これはSVGの規格に起因する制限のようだ。プラグインで複数ページを扱うことにより、「1ドキュメントに必要な画像をひとまとめにする」ことができる。
用紙のA4横設定
InkscapeはデフォルトではA4縦のページ設定になっている。通常は横長と思われる、スライドへの貼り込みを考えた時に画面の無駄が多いので、設定する。
作業テクニック
画像読込
PowerPoint使用者が何気に便利だと感じるのが、イラストを検索して、手軽に使用できること。個人的に、イラストは紙に手描きしたものをスキャンしたほうが早いので、読み込みさえできれば問題ない。
シェイプの配置
PowerPointでやってしまいがちな、「感覚的な配置」を矯正する。もちろんPowerPointでもできるが、PowerPointは「作ったスライドをPowerPoint上でスライドショーするので、1枚のスライドに収めるための微調整」を行ってしまいがち。ブラウザベースでのスライドショー用にSVGを作るのであれば、拡大縮小は直感的に操作できる。微調整に時間をかける必要はない。
Inkscapeの設定を集める背景
仕事柄、プログラミング演習テキストや、解説スライドを作ることが多い。これまで会社標準ということでPowerPoint、Wordを使ってきたが、版管理、及びドキュメント間のフォーマット統一が難しい。サクッと作ってサクッと研修にもっていけることに加えて、後程の再利用も意識しなければいけない。
研修ドキュメントでのOffice製品の使いどころと、別ツール置き換え時の課題
- Excel:演習データの整理
- PowerPoint:解説スライド
- Word:演習ドキュメント
このうち、ExcelはVBAマクロという実行時の要素があるので、なかなか代替しにくい面がある。単に表示できれば良いという問題ではないのが辛い(とはいえ、JupyterLabとかでやった方がいいんじゃないのか、と思うときもあるが)。
というわけで、2.、3.の文書の内容を解体する。
- 演習テキスト
- 解説文書
- ソースコード
- 画像
- 解説スライド
- 箇条書き
- 画像
- ソースコード
Word、PowerPointの一番のストレスは「ソースコードをソースコードとして認識しない」ということ。とにかく体裁を整えるのが苦痛。基本的にはasciidocで置き換えた方が幸せになれる。
ただし、asciidocで唯一最大の障害は、画像の扱いだと思う。
スライド解説は、読ませるのではなく、「見せる(魅せる)」ことが目的。結局のところ、PowerPointは「お絵描きツール」なのだ。だからこそ生き残っている。それは否定しないが、プログラマとしては"X as Code"にできるところはやりたい。Picture as Codeになれば、"X as Code"の技術が応用できる。
とはいうものの、Inkscape Slidesとかはちょっとやりすぎだと思う。プレゼンを楽に実施し、スライドを楽に管理したいのであって、「そのツールがないと作業できない」という状況は避けたい。