教育では統計的手法が良く使われますが(平均値,偏差値など)
ちょっと違う数学的思考として,群論にも応用があります。
問題
受講者数60名,会場収容数30名のとき,どのように出社ローテーションを組むか。ただし,受講者は3人1チームを基本とする。受講者の会場出席率はできるだけ均等にし,かつ様々なチームの組み合わせで出席できるようにする。
解法の例
問題を単純化します。
A,B,C,Dの4チームのうち,2チームがローテーションで出社すると考えます。
このとき,できるだけ均等に出社するローテーションの例を考えます。
(X,Y)はX,Yが出社することを表します。すると,
(A,B),(A,C),(A,D),(B,C),(B,D),(C,D)
の6パターンが出社の組み合わせの全てです。
これをできるだけ均等に出社させる(連続出社数を平均化する)ので,
(A,B),(C,D),(A,C),(B,D),(B,C),(A,D)
などが例として考えられます。
ローテーションの基本ルールとしてはここまで考えれば十分です。
4チームより多い編成を考えるときに,新しいチームE,F,H,Gを加えて上記のローテーションを考え直す必要はありません。
A={A,E}
B={B,F}
C={C,G}
D={D,H}
として,これまでチームとして考えていた要素を複数の要素のグループと考えれば,
チームが増えても大枠のローテーションルールを変更する必要がありません。
これは,群論でいう剰余類の考え方です。
あとは,各グループ(同値類)をどう編成するかを考えれば,効率良く出社のローテーションを組むことができます。
たとえば,上記のローテーションの次に,
A={A,F}
B={B,G}
C={C,H}
D={D,E}
のように後ろのグループをひとつづつ別の同値類に変換していく案が考えられます。
まとめ
今回は,教育の現場でよくあるチーム編成を例に,数学的思考がどのように応用できるかを示しました。
もちろん教育の現場は数学的に綺麗であれば良いというわけではありません。受講者同士の相性や,編成の目的などの条件によって編成にさらなるアレンジが必要です。ですが,数学的に編成の方針を示せれば,考えることを限定することができます。