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有償のITカンファレンスに参加する意味を考える

Last updated at Posted at 2018-06-01

自分自身も、自分の周辺も、比較的有償のITカンファレンスに参加している人は多いです。国内・海外のものでも少し違いますが、お金という観点ではそれなりの金額がするものが多いですね。なぜこのようなカンファレンスに参加するのか、会社がお金を出すとしたらどんなことを考えてコストを出して送り出せばいいのかなど、考えを書いておきます。

そもそもセッション受講が目的なのか?

最近のITカンファレンスのほとんどで、最終的に資料の共有や動画の公開があります。そう考えると、なぜ有償で参加する意味があるのかとも思いたくなるところですが、個人的にはセッション参加はITカンファレンスに参加する目的の1つではなく、比重の大きなものではないと考えています。そもそも、たくさんのトラックがあるカンファレンスにおいては、全てのセッションに参加することは不可能です。いずれにしても、参加の後で公開情報を元に継続学習することはセットとして考えておいた方が良いと思います。

セッションには、聴講だけでなく参加した方が良い

アメリカのITカンファレンスに出てみると、日本のものとは全く違うと感じるところはスピーカーが素直に部屋を出られるかどうかという点です。「質問はありますか?」と聞いて日本でなかなか実際にどんどん質問が出ることはまずありませんが、アメリカのカンファレンスではスピーカーが区切りを入れない限りは質問が止まりません。セッション中でももちろんそうですが、終わった後も機材を片付けているスピーカーの周りにはたくさんの人が集まり、意見を交わしたり、具体的な質問をしたり、**「このセッションすごく良かったよ、ありがとう。ところで、〇〇についていくつか具体的に聞きたいことがあるんだけど、今時間がなければ後でメールで質問させてもらってもいいかな?」**というようなやりとりはよくあります。これで断るスピーカーにはこれまで出会ったことはないので、セッションに関連した既に存在する具体的な課題を解決することができる可能性がありますし、セッションを担当するレベルのエキスパートと知り合いになり、その後助けてもらえる可能性を得ることができます。

日本でもAsk The Speakerコーナーなんかが設けられるケースはありますから、ここは積極的に質問や意見交換をしに行った方が良いでしょう。私が現在までにつながってきた主に北米の技術者の皆さんとのきっかけは、ほとんどのケースでこのような質問のやりとり、から始まっています。現在の仕事についているのも、このような積み重ねを意識したからだと思います。

仮に有償サポートを受けることを考えてそのコストを考えた場合、カンファレンスに参加する費用ではすまないと思いますので、この観点だけでもカンファレンス参加のコストパフォーマンスは高いと思っています。目の前にある課題を解決できなくても、その様なつながりがある人材が会社にいることは長期的にビジネスを助ける事になります。

レコーディングされないセッション、あるいはエキスポ展示などは狙い目

セッションの中でも、例えば顧客のショーケースが含まれるもの、sneak peek(まだまだ荒い段階で見せる様なもの)などはレコーディングがされないことがあります。こうなってくると間違いなく現地に行かないと聞く方法はありませんので、参加に俄然意味がでて来ます。この様なセッションのスピーカーとこそ繋がれるタイミングが少ないので、狙って行きたいですね。事前のセッションリストでレコーディングがないとなっていなくても、プレスお断りとか、写真撮影厳禁とかなっているやつはそうなる可能性が高いです。チョークトークなどの参加者を巻き込むセッションもレコーディングされない傾向がありますし、そもそも普通のセッションより面白いです。

また、大抵のカンファレンスではスポンサーブースやプロダクトチームの展示なども行われていますので、こちらもネットワーキングには最適です。

多くのITカンファレンスでは、ベンダーの中長期的な戦略がしっかり語られる事になります。この様なメッセージはもちろん、シンクロする形でレコーディングを伴わない現場感覚を実際に知る事で、本音も交えて今後何が起こるのかを判断する材料が得られるでしょう。

ITカンファレンスに出席する事で大きくモチベーションが上がることを甘く見ない

次に、会社の側から参加してもらう事に関しても書いておきましょう。これはほぼ間違いない事だと思いますが、**自分の行きたい有償カンファレンスに参加できる状態自体、技術者にとって大きなモチベーションアップになります。**試しに、これらのカンファレンスのハッシュタグなどでTwitterなど検索してみれば、会期中に盛り上がりを見せる参加者の雰囲気が伝わってくると思います。

また、これまで書いてきた様なリアルなネットワーキングによって、きっと会社のビジネスにも直接的・間接的双方で貢献できる様になるはずです。技術者が数日抜ける(常駐だと難しいかもしれませんが、その場合は生き残るために常駐ビジネス自体を考え直してください。技術者も常駐に出される様な会社にいてはいけません。)事、捻出するコストも確かにダメージはあるかもしれませんが、それを補って余りまるほど、所属する組織にもリターンがあります。ただしそれは短期的でなく中長期的なものなので、会社への帰属意識を高めつつ、繰り返しできるとより効果的です。

何れにしても、技術者に長期的な投資ができるくらいのビジネスモデルは用意しておきたいものですね。

あとでレコーディングを視聴できるとしても集中して学習できる時間をまとまってとるのは難しい

仮にレコーディングセッションが80あるとして、それを全部見るのに何日かかるかという事ですが、そもそもお金の問題以前に、技術者がまとまって学習をする時間を確保できているでしょうか。業務の合間で学習するにしても、まとまった時間がなければ短期での学習に限界があります。多くの参加者とともに「学習モード」に入ること、セッション以外からの様々な情報を得ることで、短い時間で学習モードに入り、その後の継続学習の効果が高まります。最新のテクノロジーに社員が対応可能になれば、会社としても良いことが多いですよね。

Rock Star であれ

最後になりますが、技術者の方も、会社がこの人が参加すれば多くの良い影響を受けて、会社に戻ってからも周囲も含めて良い影響を与えてくれるはずと思ってくれる様な「Rock Star」であることを意識して見ると良いと思います。対外的・対内的な認知が非常に高い状態であれば、このエントリーを読むまでもない状況になっているのではないかと思います。

究極の参加は登壇

あと、究極の参加の方法は、登壇者になることです。登壇者をオープンに募集するカンファレンスとそうでないものもありますが、意外にコミュニティ経由だと登壇者として参加できるとか、お手伝い枠がある場合などもあります。「中の人」になった場合、バックステージでの時間も含めてここまで書いてきたメリットは何倍にも膨れ上がります。いつかは登壇、と思いながら参加すれば、自分の領域を見極めることにもつながるかもですね。

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