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FMSの一般講演で発表してみた(1/2):FMS概要

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はじめに

 Solid State Drive (SSD)関連の世界的な展示会のひとつにFMSがあります。毎年8月上旬に米国カリフォルニア州サンタクララのサンタクララコンベンションセンターで開催されます。会場の様子は公式Webサイトに掲載されている写真が参考になるかと思います。

 2023年までは正式名称が"Flash Memory Summit"でありその略としてFMSでしたが、2024年から正式名称が"the Future of Memory and Storage"に変更されてその略としてのFMSとなりました。展示会の対象を(NAND)フラッシュメモリとその応用製品や技術に限定せず「メモリおよびストレージ」に広げた形です。

 実は昨年(2024年)のFMSの一般講演で発表したのですがここでネタにするタイミングをのがしていたので、今年の開催(現地時間2025年8月5日~7日)が近づいてきたこのタイミングで記事にして供養したいと思います。

まとめ

  • FMSはキーノート、一般講演、展示会などから構成されている
  • 一般講演の数は毎年増減するが今年(2025年)は大きく削減された

キーノートの遷移

 展示会の正式名称が変更されて対象がフラッシュメモリ以外にも広げられたとはいえ、現時点でのFMSのメインはNANDフラッシュメモリやDRAMなどの半導体メモリとその応用製品および技術です。FMSはプレカンファレンス(開催前日に実施)、展示会、キーノート(基調講演)、一般講演、その他イベントから構成されます。このうちキーノートは開催初日と二日目に配置され、その時々の市場のビッグネームや勢いのある新興企業そして団体が実施します。

 公式Webサイトの情報をもとに2019年から今年(2025年)までのキーノート担当企業の変遷を描くと図1のようになります。

FMSのキーノート担当企業変遷(2019年から2025年)
図1:FMSのキーノート担当企業変遷(2019年から2025年)

 こうして見るとだいたい「レギュラーメンバー+α」という感じですね。このキーノートでは、2023年にはSK hynixが300層を超える3D NANDフラッシュメモリを発表し、昨年(2024年)にはMicronがPCIe 6.0対応SSDを発表しています。今年もどんな発表が行われるか楽しみです。

一般講演の変遷

 FMSには一般講演もあります。一般講演では、市場分析やSSDのような応用製品の技術、誤り訂正技術のディープな議論、標準化団体による新規仕様や機能の説明など、様々な話題のセッションが開催されます。「○○さんに聞いてみよう!」的なセッションもあります。

 2023年の一般講演タイムテーブルを図2に示します。

FMS一般講演のタイムテーブル(2023年)
図2:FMS一般講演のタイムテーブル(2023年)

 この年は、毎日朝一のセッションが全て無料セッションでした。参加者を増やす目的だと考えられます。セッションの並列度は最高で10です。複数人で手分けしないと到底カバーできません。ほかには……"AIML"(AIと機械学習)のセッションが2つしかありません。2年前とはいえ驚きです。

 図3は2024年の一般講演タイムテーブルです。

FMS一般講演タイムテーブル(2024年)
図3:FMS一般講演タイムテーブル(2024年)

 2023年と比較してセッションの種類が多く追加された代わりに、最高並列度が10から8に減りました。朝一のセッションが全て無料セッションで構成されているのは2023年と同じです。"AIML"のセッション数が2023年の2から6にまで増加しています。

 ちなみに、私が発表したセッションはDay 3最後のスロットに割り当てられたセッションでした。本当に最後の最後なので聴衆の数も両手で足りるぐらいでした。

 海外の展示会では良くあることのようですが、FMSでは最終日になると早々と撤収作業を始めるブースが多いです。FMSの展示会場の最終日の開場時間はだいたい14:00ぐらいまでです(2025年は14:30までの予定)ので、実際には午後に入ると片付けをしているブースのほうが多いくらいになります。

 ほかにも、FMSのことを「年1回友人に会える場所」のような位置付けと考えている参加者も多く、会場のそこかしこで思い出話に花を咲かせたり近況を共有している参加者の姿を見ることができます。展博の性格が色濃く反映されていると思います。

 最後に図4が今年(2025年)の一般講演タイムテーブル(7月13日時点)になります。

FMS一般講演タイムテーブル(2025年、7月13日時点)
図4:FMS一般講演タイムテーブル(2025年、7月13日時点)

 2025年は"AIML"のセッションが全てのスロットに配置されました。最高並列度は2024年から1増えて9。しかし、開催初日午後は一般講演がなくなりキーノートのみになりました(裏で展示会が開催されています)。この結果、一般講演が、セッション数で8程度、講演数にして20程度削減されたことになります。これは大きい削減(縮小)です。展示会への出展数も減り気味のようですし、イベントとして微妙な時期に差し掛かりつつあると言えそうです。

おわりに

 今回の記事では、来月開催されるFMS (the Futuer of Memory and Storage)について、キーノート実施予定企業の変遷と一般講演のタイムテーブルを示し、ここ数年の変遷をまとめました。FMSというイベントについて調べる際の参考になれば幸いです。

 次回は昨年私が発表した内容と裏話(?)をまとめたいと思います。

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