0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

Machiken’sAdvent Calendar 2024

Day 5

データベース基礎理論の正規化について

Last updated at Posted at 2024-12-05

はじめに

本日は、データベース基礎理論の重要な概念である「正規化」についてまとめます。

本文

正規化とは

正規化(Normalization) とは、関係データベースの設計において、一定のルールに従ってリレーション(関係)を分解し、データの冗長性や更新異常を排除するプロセスです。

正規化の目的

正規化の主な目的は、データの一貫性と整合性を保ち、更新時異状を排除することです。更新時異状には以下の3種類があります。

  • タプル挿入時異状: 新しいデータを挿入する際に、必要のないデータまで入力しなければならない問題
  • タプル更新(修正)時異状: あるデータを更新する際に、複数の場所を変更しなければならず、一部の更新漏れによってデータの不整合が生じる問題
  • タプル削除時異状: データを削除する際に、必要な他のデータまで一緒に削除されてしまう問題

正規化を行うことで、「1箇所1事実(1 fact in 1 place)」が実現できます。データの重複をなくすことで、データ更新時に複数箇所を修正する必要がなくなり、整合性のあるデータベースを構築できます。

更新時異状は、データの冗長性や不適切な設計から生じます。例えば、顧客情報と注文情報が同じテーブルにある場合、顧客情報を変更するときに複数の行を更新する必要があり、更新漏れが起きやすくなります。正規化によりデータを適切に分割し、更新時異状を防ぐことでデータの信頼性が向上します。

正規化を行わない場合

正規化を行うことで更新時異状は排除できますが、逆に以下のような場合には正規化を必ずしも行う必要はありません。

  • データの更新を行わないもの: 参照専用のデータベースなど、データが変更されない場合
  • データの履歴を残すもの: 過去のデータをそのまま保持する必要がある場合
  • 高速化が特別に必要なもの: パフォーマンス重視で冗長性を許容する場合

正規化はデータの整合性を高めますが、テーブル数が増えることで結合処理が増え、クエリの性能に影響を与えることがあります。そのため、データの更新が不要なデータウェアハウスや分析用途のデータベースでは、あえて正規化を行わない「非正規化」を採用し、データアクセスの高速化を図ることがあります。

正規化の種類

正規化を行うことで得られるリレーション(関係)を正規形と言います。正規形には以下の6種類があります。

  1. 第1正規形(1NF)
  2. 第2正規形(2NF)
  3. 第3正規形(3NF)
  4. ボイス・コッド正規形(BCNF)
  5. 第4正規形(4NF)
  6. 第5正規形(5NF)

ほとんどの場合は第3正規形までの正規化を行います。ボイス・コッド正規形、第4正規形、第5正規形は特殊なケースで適用します。

関数従属性

正規化を理解するための重要な概念に関数従属性があります。これは、ある属性Xの値が決まれば、別の属性Yの値が一意に決まるという性質です。記法としてX → Yと表し、このときXを決定項、Yを従属項と言います。

関数従属性は、データ間の依存関係を示します。例えば、社員IDが決まれば社員名が一意に決まる場合、社員ID → 社員名という関数従属性が成立します。この関係を明確にすることで、データを適切に分割し、正規化を進める基礎となります。

導出属性の排除

データベースの属性の中には、他の属性から計算で導き出せる導出属性があります。例えば、金額 = 単価 × 数量で求められる金額は導出属性です。正規化の過程で、導出属性は冗長性を減らすために取り除かれることが多いです。

しかし、更新が行われない場合や履歴を残す必要がある場合、性能を向上させるために、あえて導出属性を残すこともあります。

導出属性を排除すると、データの一貫性が保たれますが、都度計算が必要になるため、クエリ性能に影響を与えることがあります。そのため、アクセス頻度が高い場合や計算コストが高い場合は、導出属性を格納しておくことで性能改善を図ることができます。設計時には、データの整合性と性能のバランスを考慮することが重要です。

情報無損失分解

正規化を行う際、適切にリレーションを分解しないと、元の情報が失われることがあります。情報無損失分解とは、分解したリレーションを自然結合(JOIN)したときに、元のリレーションに復元できる分解方法を指します。これにより、データの完全性を保ちながら正規化が可能となります。

情報無損失分解を実現するためには、分解後のリレーション間に共通のキー(主キーや外部キー)が必要です。これにより、データの結合時に全ての組み合わせが正確に再現され、データの欠落や重複が防止されます。正規化では、この分解方法を慎重に行うことが重要です。

メタデータ

データには、データそのもの以外に、データについてのデータであるメタデータがあります。メタデータは、データの構造や定義、属性、制約条件などを表す情報で、データベースの設計や管理において重要な役割を果たします。

メタデータは、データディクショナリやデータカタログとして管理されます。これにより、データの意味や関係性、データ型、制約などを一元的に把握できます。メタデータは、データの再利用性や互換性を高め、データガバナンスやデータ品質の向上に寄与します。

まとめ

今回は、データベース設計における正規化の基本概念とその目的についてまとめました。正規化は、効率的で信頼性の高いデータベースを構築するために欠かせないプロセスです。次回は、具体的な正規化の手法や各正規形について詳しくまとめていきます。

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?