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Day 11

データベースシステム設計

Last updated at Posted at 2024-12-16

はじめに

こんにちは!今日は、データベースシステムを設計する際に検討すべきポイントをまとめます。システム開発の過程では、どの機能がどのテーブルをいつ使うかを整理するCRUD分析や、複雑な条件分岐を明確化する決定表の作成などを行います。また、コード体系の設計、データ移行計画、セキュリティ設計も重要なテーマです。これらをしっかり押さえることで、スムーズな開発・運用が可能になります。

本文

CRUD分析

CRUD分析は、システムの各機能がテーブルに対してどのような操作(Create, Read, Update, Delete)を行うかを一覧表で整理する手法です。これにより、データのライフサイクルに矛盾がないか、想定通りの利用ができているかを確認します。

機能 顧客テーブル 受注テーブル 商品テーブル
顧客登録機能 C - -
顧客情報参照機能 R - -
顧客情報更新機能 U - -
受注登録機能 R C R
受注参照機能 R R R
顧客削除機能 D - -

ここで、"C"は作成(Create)、「R」は参照(Read)、「U」は更新(Update)、「D」は削除(Delete)を意味します。たとえば、受注登録機能では、受注テーブルは作成(C)し、顧客や商品テーブルは参照(R)のみしています。
CRUD分析によって、まだ存在しないデータを参照していないか、不必要な更新・削除がないかなど、データ操作の整合性を検証できます。

決定表(Decision Table)

決定表は、複数の条件が組み合わさって複雑な処理分岐が発生する場合、その条件と結果を整理する表です。条件ごとにYes/Noを並べ、対応する処理を明示することで、要件の抜け漏れを防ぎ、実装の手がかりを得られます。

条件 C1:会員か C2:購入金額≥5000円 C3:クーポン利用
処理番号 1 2 3
条件組み合わせ Y/N Y/N Y/N
処理結果 割引率適用
-------------------------- --------- -------------- -----------
ルール1: 会員, 5000円以上, クーポン使用 Y Y Y
ルール2: 会員, 5000円以上, クーポン無し Y Y N
ルール3: 会員, 5000円未満, クーポン使用 Y N Y
ルール4: 非会員 N - -

このように決定表を用いると、条件と処理を体系的に整理でき、実装段階での誤りが減ります。

コード設計

データベースで扱うコード(IDや分類コード)を計画的に設計することで、長期的な運用やデータ統合が容易になります。主なコード体系は以下の通りです。

  1. 順番コード(シーケンスコード):連番を振ることで一意性を確保します
  2. けた別コード:先頭から順に大分類、中分類、小分類などの階層構造を表します
  3. 区分コード:特定の範囲内でコードを割り当て、グルーピングしやすくします

【サンプルコード設計例】

商品コード 構成 内容
A001 けた別 A:果物, 001:りんご
B010 けた別 B:野菜, 010:キャベツ
1001 順番 通し番号:1001

将来、商品数が増えた場合にも、十分なけた数を確保し、コードが枯渇しないようにします。また、データ統合時にはコードが重複しないように事前調整が必要です。

データ移行

新しいシステムへ移行する際には、既存データを新しいデータベースへ移行します。移行時には、以下の点を事前に調査します。

  • データの保存方法(DBMS種類、ファイル形式など)
  • データ更新の有無とタイミング
  • データ量(数百万件規模かなど)
  • データ形式(整数、文字列、日付、文字コードなど)

これらを踏まえ、移行スケジュールや変換手順を策定し、テストを行います。想定外のトラブルに備えて、実際のデータを一部抽出して試験的に移行してみるなど、リハーサルを行うことが効果的です。

セキュリティ設計

データベースシステムでは、情報セキュリティも重要な観点です。認証・権限管理、暗号化、監査ログなど、DBMSが提供する機能や外部ツールを活用し、システム要件定義の段階からセキュリティリスクに対応します。

セキュリティ設計には、機密性・完全性・可用性を確保する考え方が必要で、

  • パスワードポリシーや多要素認証の導入
  • テーブルごとのアクセス権限設定
  • 暗号化ストレージやTLS接続
  • 不正アクセスに備えた監査ログの解析

といった取り組みを総合的に検討します。システム開発初期からセキュリティを考慮する「セキュリティバイデザイン」の思想が求められます。

まとめ

今回は、データベースシステム設計で考慮すべき様々な要素を紹介しました。

  • CRUD分析でデータ操作と機能を対応付け、データライフサイクルを明確化
  • 決定表で複雑な条件判定を整理
  • コード設計で長期運用やデータ統合に備える
  • データ移行計画でスムーズなシステム移行を実現
  • セキュリティ設計で安全なデータ利用を確保

これらのプロセスを経ることで、信頼性・拡張性・保守性・セキュリティを兼ね備えたデータベースシステムを構築できます。

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