はじめに
こんにちは!今日は、データベース設計を進める際によく言及される「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」について簡単にまとめます。データベース設計は、要件定義からスキーマ構築まで多くの工程があり、アプローチを理解しておくとより理論的・効率的な設計が可能になります。
本文
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチは、全体像から細部へ向かって設計を行う方法です。
特徴
- カーディナリティ(1対1、1対多、多対多など)の関係性を明示的に検討します
- 多対多(M:N)リレーションシップが存在する場合は関連エンティティを導入して、1対多(1:N)リレーションに変換します
- 要件定義段階で全体像が比較的明確な場合や、上位概念(エンティティ群)から整然と整理していきたい場合に有効です
手順
- E-R図(Entity-Relationship図)の作成: 業務要件を整理し、エンティティやリレーションシップ、カーディナリティを洗い出してER図を描きます
- 属性の定義: エンティティごとに必要な属性を決定し、詳細なデータ要件を詰めていきます
- 正規化: データの冗長性や更新異常を防ぐため、1NF→2NF→3NFと正規化を行い、スキーマを整えます
ユースケース
新たな業務システムの設計時に、まず事業領域(顧客、商品、受注など)の全体像を捉え、そこからエンティティとリレーションシップを明確にしつつ詳細化したい場合、トップダウンアプローチは効果的です。全体の業務フローを把握しやすく、大枠から細部へスムーズに落とし込めます。
ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチは、細部から全体へ組み上げていく方法です。
特徴
- 正規化を進めると、最終的に1対多(1:N)のリレーションのみで構成され、シンプルかつ整然とした構造になります
- 当初から具体的なデータ項目(属性)が判明している場合に有効です
- 拡張や再構築が柔軟で、小規模なデータ項目集合から徐々に全体像を作り上げる際に役立ちます
手順
- 属性の整理: 業務で必要なデータ項目(属性)をまずリストアップします
- 正規化: リストアップした属性間の関係性を考え、正規化を行いながらエンティティ候補をまとめていきます
- E-R図化: 最後に、洗練されたエンティティや関連をER図として表し、全体像を明確にします
ユースケース
新規の概念が少なく、具体的なデータフィールドが先行してわかっているときは、ボトムアップが適しています。
まとめ
データベース設計は、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチのどちらを用いても、最終的にはエンティティや属性、リレーションシップを明確にし、正規化を通じて健全なスキーマを構築することが目標です。実務では、両方の手法を柔軟に取り入れたり、反復的なプロセスで精度を高めることも多いです。状況や要件に合ったアプローチを選びましょう!明日はデータベース設計を深掘ります!