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Electronで自動アップデートをしたい
知り合いの自転車屋さんに、商品のポップを簡単にデザインできるツールを作れないか相談を受けたので、Electronを使ったデスクトップアプリで作ってみることにしました
実際に使ってもらって、そのフィードバックを反映した新しいバージョンのアプリを配信したいのですが、毎回exeファイルを送ってインストールしなおしてもらうのはちょっと手間ですよね。
こちらが新しいバージョンのアプリを登録したら、アプリの起動時にアップデートチェックが走って勝手に再インストールされる仕組みを導入してみます。
Electron自動アップデートの概要
軽く調べてみたところElectronアプリの自動アップデートを実現したい場合、いくつかの方法があるようです。
- AWS S3のようなクラウドストレージを利用する
- アプリ本体とメタデータをクラウドストレージに配置するだけなので一番簡単
- update.electronjs.orgというElectronチームが提供するオープンソースWEBサービスを利用する
- アプリがパブリックなGitHubリポジトリのReleasesで公開されている必要がある
- 専用のモジュールが公開されているので、アプリ側での制御が簡単
- プライベートなGitHubリポジトリでは利用できない
- アップデート用サーバーを自分でデプロイする
- こちらはプライベートなGitHubリポジトリでも可能
- Hazel
- Nuts
- electron-release-server
- Nucleus
今回はパブリックなリポジトリを使っていませんが、別にアプリ自体が公開されて問題があるわけではないので、AWS S3を利用した方法を試してみます。
検証環境
Windows10
Node:20.10.0
Vue CLI:5.0.8
環境構築
ある程度これに倣えば同じように検証ができるように記載しています。
前回投稿から引き続き同じ環境での検証になります。
Electronでマルチウィンドウを制御したい
まずは自動更新をするために必要となるautoUpdaterモジュールをインストールします。
npm install electron-updater
そして、Electronアプリを配布可能形式にパッケージング(exeやdmgファイルを作る)するためのモジュールであるelectron-builderも導入します。
npm install --save-dev electron-builder
更新処理を組み込む
メインプロセス側に更新処理を組み込みます。
アプリが起動したタイミングでアップデートがあるかをチェックして、もし更新があればダイアログを表示してアップデートを実行します。
'use strict'
import path from "path";
import { app, protocol, BrowserWindow, ipcMain, dialog } from 'electron'
import { createProtocol } from 'vue-cli-plugin-electron-builder/lib'
import { autoUpdater } from "electron-updater";
import installExtension, { VUEJS3_DEVTOOLS } from 'electron-devtools-installer'
const isDevelopment = process.env.NODE_ENV !== 'production'
// Scheme must be registered before the app is ready
protocol.registerSchemesAsPrivileged([
{ scheme: 'app', privileges: { secure: true, standard: true } }
])
// ★★★ 更新ファイルダウンロード完了 ★★★
autoUpdater.addListener("update-downloaded", () => {
if (!mainWindow) return;
// ダイアログを表示して更新があることを伝える
dialog.showMessageBoxSync(mainWindow, {
type: "info",
buttons: ["Yes"],
defaultId: 1,
title: "お知らせ",
message: "新しいバージョンのアプリが存在します",
detail: "アップデートを実行します",
});
// アプリを終了してインストール
autoUpdater.quitAndInstall();
return true;
});
let mainWindow, subWindow
async function createWindow() {
// Create the browser window.
mainWindow = new BrowserWindow({
width: 800,
height: 600,
webPreferences: {
// Use pluginOptions.nodeIntegration, leave this alone
// See nklayman.github.io/vue-cli-plugin-electron-builder/guide/security.html#node-integration for more info
nodeIntegration: process.env.ELECTRON_NODE_INTEGRATION,
contextIsolation: !process.env.ELECTRON_NODE_INTEGRATION,
preload: path.join(__dirname, 'preload.js')
}
})
// メインウィンドウがレンダリングされたタイミング
mainWindow.once("ready-to-show", async () => {
// ★★★ 最新バージョンがあるか、チェックしてダウンロード ★★★
await autoUpdater.checkForUpdates();
});
if (process.env.WEBPACK_DEV_SERVER_URL) {
// Load the url of the dev server if in development mode
await mainWindow.loadURL(process.env.WEBPACK_DEV_SERVER_URL)
if (!process.env.IS_TEST) mainWindow.webContents.openDevTools()
} else {
createProtocol('app')
// Load the index.html when not in development
mainWindow.loadURL('app://./index.html')
}
}
アプリのバージョンを画面に表示して更新できたかわかるようにしてみます。
<template>
<h1>アプリバージョン:{{ appVersion }}</h1>
</template>
<script>
export default {
name: 'MainWindow',
data() {
return {
appVersion: require('../../package.json').version,
}
},
}
</script>
S3にバケットを作成する
パッケージされたアプリを配置しておくS3のバケットを作成します。
バケット名やその他の設定は任意で問題ないです。
注意点としては、パブリックなアクセスを可能とするために、ここのチェックを以下のようにする必要があります。
バケットを作成したらバケットポリシーを設定します。
オブジェクトの取得だけができる状態にします。
{
"Version": "2012-10-17",
"Statement": [
{
"Sid": "PublicReadGetObject",
"Effect": "Allow",
"Principal": "*",
"Action": "s3:GetObject",
"Resource": "arn:aws:s3:::auto-update-electron-sample/*"
}
]
}
今回はお試しなのでバケットを公開状態で進めていますが、実運用では適切なIAMポリシーを付与したIAMユーザーを作成して、バケットへのアクセスを制限することをオススメします。
Electron Builder側もIAMユーザーのアクセスキーを介してのS3アクセスに対応しているようです。
アプリをパッケージング
更新用ファイルをチェックしにいくエンドポイントを定義します。
builderOptions
内が追加した項目です。
const { defineConfig } = require('@vue/cli-service')
module.exports = defineConfig({
transpileDependencies: true,
pluginOptions: {
electronBuilder: {
preload: "src/preload.js",
builderOptions: {
appId: "com.app.multi-window-app",
win: {
publish: [
{
provider: "generic",
url: "https://auto-update-electron-sample.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/win32/",
},
],
},
},
},
},
})
ビルドコマンドを実行してパッケージング。
npm run electron:build
うまくいけばdist_electronディレクトリに以下の3ファイルが作成されます。
- [アプリ名] Setup 1.0.0.exe
- アプリ本体
- [アプリ名] Setup 1.0.0.exe.blockmap
- おそらく更新差分情報
- latest.yml
- バージョンの情報(これをチェックして更新があるか判定しているはず)
試してみる
まずは作成したexeファイルを実行してアプリをインストールします。
package.jsonにしているバージョンが表示されているはずです。
次にpackage.jsonのversion
を更新して再ビルドします。
{
"version": "1.0.1",
}
S3のバケットにwin32
というディレクトリを作成して、その中に作成した3ファイルをアップロードします。
この状態でアプリを起動すると…
ダイアログが表示され、「はい」を選択すると自動でアップデートが始まります。
無事にアプリを自動更新することができました
余談
今回は手動で更新ファイルをS3にアップロードしていますが、これをコマンド一発で実行する方法もあるようです。
後ほどそちらも試してみようと思います。
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