日本マイクロソフト社が主催する、de:code2019 に行ってきました。
https://www.microsoft.com/ja-jp/events/decode/2019/default.aspx
2019年5月29日と30日の2日間開催されました。私は初めて参加させてもらいました。
de:code 会場は大変な熱気で、セッションも満席が続出してて油断してると入れないという盛況ぶりでした。クラウド以外(WindowsやOfficeなどなど)の話も多くてなかなか新鮮でした。
Qiitaに書くのは初めてなので、軽く自己紹介をしておくと、2018年から D-Ocean というデータと人をつなげるプラットフォームを作る会社をやっています。その前は外資系のクラウドベンダーに在籍して、クラウドのエコシステムの構築などをしておりました。
今回、機会がありまして、de:code に初めて参加させてもらいましたので、そこでの事例からの考察などについてかかせていただきます。
基調講演での印象ですが、オープニングでも文化財の保存にAIを使う事例から開幕しました。AIは広く使われていくというメッセージと、オープンソースと連携するということから始まりました。基調講演で強調されていたのは、クラウドとエッジ(端末)をどうやって組み合わせていくか、そこで生まれるデータからどのように価値を引き出すかというのが大事とのことでした。HoroLens2も非常に興味深かったですが、データの話とはすこしずれそうなので、置いておきますね。
ブレイクアウトセッションもいくつか拝見させていただきました。コマツさんの事例がデータ周りのビジネスをやってる私としては気になりました。
ずいぶんと古くから生産機材の工程の管理に取り組んでこられました。もともとは建設機材の盗難に対応するためのデータをとっていて、そのデータ有効活用できるのではないか?という発想から始まったということです。
機材の生産にあたっては、世界中の工場で品質を保つためにデータを活用されているようです。シュミレーション上で工場の生産機械の動きを試して効率のよいものを現場に入れたりすることもできますし、現場の実際のデータをセンシングしてそれをシュミレーション環境で再現するなどもやられているようです。世界中にある工場との連携を考える上では、クラウドを信頼して使うと言い切っておられました。 生産性向上、品質、サプライチェーン最適化での活用という方向性がありました。
改善を繰り返した溶接のプロセスでは46%も改善したとのことです。
改善の結果もデータを追うことで確認できるのも素晴らしいですね。今後は人の部分に改善を広げていくとのことで非常に楽しみです。地に足がついて着実に積み重ねをされているという印象でした。
データをとある目的で取得する。そのデータを別の用途でも活用する。成果をあげるために必要なデータをとり改善を繰り返す。結果をデータで確認する。目的とデータを行き来することで目標が明確化されて結果につながるすばらしい話がきけました。
Azureを活用してということで、クラウド上でデータを処理してアウトプットを得るということは大事だと個人的には思います。楽な方でやればいいと思っていますので、クラウドでやるのが一番です。
私の所属している D-Ocean はソーシャルデータプラットフォームとコンサルティングを通じて、データを使ったイノベーションや改善をどんどん助けていきたいと思っています。コマツさんの事例で印象的だった点とD-Oceanにおける適用について書いておきます。
① データを集める目的はあるが、利用方法までは最初から想定されていなかった。
コマツさんの場合には、不正利用されないようにとデータを収集し始めたりしたものが、効率化のために貢献することになったという話がありました。逆に言えば、◯◯の目的のために収集したデータだが、それ以外に使える可能性があったということです。最初の目的はともあれ、収集されて利用される可能性があることは非常にいいことだと思います。
いろいろな企業や組織、個人にも、別の目的で取得されて眠っているデータはありそうです?そんなデータを掘り起こして利用方法を考えるワークショップも必要かと思います。(D-OceanのData Discovery WorkshopもD-Oceanなんていうのもあります。)
② 効率化のためにデータを活用したら、どんどんとアイデアが生まれてきた。
データ活用の面白いところは、最初はあるものを使ってインサイトを得て効果を実感すると、関連する他のデータとの因果関係などをみたくなるということです。その結果仮説の検証が進み、どんどんと深く広くなってゆきます。これはD-Oceanのデータジャーニーでも想定しているシナリオではあります。その結果、クラウドを活用したデータの保存場所、効率的に安全にデータをシェアできるような機能というのが必要となってきます。D-Oceanのプラットフォームはまさにこういうデータを共有することを後押しする環境となっています。
③ for the future?
データの価値を理解し、現場のドメイン知識と加わった企業は非常に強いと思います。今後は、このようなデータやノウハウを、他企業と交流し、さらなるイノベーションを生み出していただきたいと思っています。自社では使いみちのないデータでも、他社からみれば喉から出るほどほしいものもあります。お互いに足りない部分を持ち寄りデータを突き合わせて、新たな発想をうみだしていくような世界は、もうすぐそばまで来ていると思います。社外に広げたデータ交流みたいな世界に飛び出していく会社がでてくれば、日本の培ってきた製造業などのノウハウを使って海外含めた企業連携と、あらたなイノベーションが生まれてくるのではないかと思います。
今回のイベントでも多く話があったように、クラウドのデータ処理のサービスは、ラインアップとしてデータ処理のパイプラインをこなせるようになってきました。パーツは揃っているので、あとは使い勝手やパフォーマンス、コストなどの比較になってくるかと思います。
D-Oceanはデータをクラウド上でぶつけてインサイトを得る、企業にあたらしい発想を生み出すお手伝いができればと思います。クラウド上でデータを処理するという方向性は、どんどん広がっていってほしいと思います。(というか、これからが本番です!という雰囲気を感じた de:code 2019 でした)
Kei Yamamoto
https://www.docean.io