SRE本におけるインフラコード化の意義
はじめに
Site Reliability Engineering(SRE)の実践において、**Infrastructure as Code(IaC)**は、信頼性の高いサービス運用を実現する上で極めて重要な基盤です。以下に、SREの文脈で語られるインフラコード化の意義について整理します。
1. 信頼性と一貫性の向上
- 手作業によるインフラ構築は属人化しやすく、ヒューマンエラーの原因となる。
- IaCにより、どの環境でも同じ設定を適用できるため再現性が高い。
- 開発、テスト、本番環境間で構成のずれをなくし、一貫した運用を実現。
2. 変更管理と監査の強化
- Gitなどのバージョン管理ツールと組み合わせることで、すべての変更履歴が記録される。
- 誰が、いつ、何を変更したのかが明確になる。
- SREが重視する「変更は小さく、頻繁に、安全に」という原則と高い親和性を持つ。
3. 障害復旧とスケーラビリティ
- 構成をコードで保持することで、障害時にも迅速に再デプロイが可能。
- 同一のコードを使ってスケーリングや冗長構成の自動化ができ、耐障害性を高める。
4. テストとCI/CDとの統合
- IaCはCI/CDパイプラインに組み込むことができる。
- これにより、インフラ変更もアプリケーションと同様にコードレビューやテストを経てデプロイされる。
- サービスの可用性・信頼性を保ちながら運用を自動化。
5. 運用効率とチーム間の協調
- IaCは再利用可能なモジュールやテンプレートとして整備でき、構築工数を削減。
- 標準化されたコードにより、複数チーム間での連携がスムーズに。
- 作業の属人化を避け、スケーラブルな運用体制を構築可能。
実践例
- GCP: Deployment Manager / Terraform
- AWS: CloudFormation / Terraform / CDK
- マルチクラウド: Pulumi や Crossplane など
まとめ
インフラのコード化は、SREが掲げる「可用性」「信頼性」「変更の安全性」「自動化」のすべてに通じる実践であり、高信頼なサービス運用の基盤となる。SRE文化のなかでIaCを積極的に導入・推進することは、継続的な改善とスケーラブルなシステム運用において欠かせない要素である。