sarコマンドとは
sar(System Activity Reporter)コマンドは、システムのパフォーマンス監視に使用されるユーティリティです。さまざまなリソースの使用状況データを収集し、リアルタイムまたは過去の情報を提供します。
sarコマンドを使用することで、システムのパフォーマンスやトラブルシューティングに役立つ情報を取得できます。
sarコマンドの使用法
sarコマンドは、ターミナルで以下のように使用します:
sar [オプション] [インターバル] [回数]
インターバル: データの収集間隔を指定します。たとえば、-u 1 のように指定すると、1秒ごとにデータが収集されます。
回数: データの収集を行う回数を指定します。たとえば、-u 1 5 のように指定すると、1秒ごとにデータが5回収集されます。
主なsarコマンドのオプション
以下に、sarコマンドでよく使用される主なオプションをいくつか紹介します:
-u: CPUの使用率を表示します。
-r: メモリの使用状況を表示します。
-n: ネットワークの統計情報を表示します。()
これらは一部の例であり、sarコマンドには他にも多くのオプションがあります。man sar コマンドを実行すると、全てのオプションと詳細な説明を確認することができます。
sarコマンドの出力と各項目
CPU使用率 sar -u
の出力
sar -u
の出力を載せました。CPUや%userとった項目があることが分かります。
項目 | 概要 |
---|---|
CPU | CPUの識別子 |
%user | CPUがユーザモードで実行された割合 |
%nice | 優先度の低いプロセスがCPUを利用している割合 |
%system | カーネルがCPUを利用している割合 |
%iowait | 入出力待ちの状態でCPUを利用している割合 |
%steal | 仮想環境のホストシステムが、仮想マシンからCPUを奪って利用している割合 |
%idle | CPUがアイドル状態である割合 |
メモリ使用状況 sar -r
の出力
項目 | 概要 |
---|---|
kbmemfree | 空きメモリの容量(キロバイト単位) |
kbavail | 非スーパーユーザーに利用可能なメモリ容量(キロバイト単位) |
kbmemused | 使用中のメモリの容量(キロバイト単位) |
%memused | 使用中のメモリの割合(%) |
kbbuffers | バッファキャッシュのメモリ容量(キロバイト単位) |
kbcached | キャッシュされたメモリの容量(キロバイト単位) |
kbcommit | コミットされたメモリの容量(キロバイト単位) |
%commit | コミットされたメモリの割合(%) |
kbactive | アクティブなメモリの容量(キロバイト単位) |
kbinact | 非アクティブなメモリの容量(キロバイト単位) |
kbdirty | ダーティ(変更された)メモリの容量(キロバイト単位) |
ネットワークの統計情報 sar -n
の出力
sar -n
の第一引数にはDEV、TCP、ETCPなどを指定する必要があります。
DEVはネットワークデバイスからの統計情報を表示し、TCPはTCPv4のトラフィックについての統計情報、ETCPはTCPv4のエラーについての統計情報を表示します。
項目 | 概要 |
---|---|
IFACE | ネットワークインターフェースの名称 |
rxpck/s | 受信パケットの平均速度(パケット/秒) |
txpck/s | 送信パケットの平均速度(パケット/秒) |
rxkB/s | 受信データの平均速度(キロバイト/秒) |
txkB/s | 送信データの平均速度(キロバイト/秒) |
rxcmp/s | 受信圧縮パケットの平均速度(パケット/秒) |
txcmp/s | 送信圧縮パケットの平均速度(パケット/秒) |
rxmcst/s | 受信マルチキャストパケットの平均速度(パケット/秒) |
%ifutil | ネットワークインターフェースの利用率(%) |
まとめ
この記事では、sarコマンドの概要、使用法、主なオプション、および出力の解釈方法について紹介しました。sarコマンドは、Linuxシステムのパフォーマンス監視やトラブルシューティングに役立つ強力なツールです。さまざまなオプションを活用して、必要な情報を収集し、システムのパフォーマンスを評価することができます。