はじめに
こんにちは
現在私はマネージャーではなく開発者として働いているのですが、『エンジニアリングマネージャーのしごと』ってどんなことをするのか気になったので本書を手に取りました。
仕事をする上で重要なことが書かれていたり、具体例を挙げて説明がされていたりと、現在マネジメント職の方はもちろん、マネージャー以外の方でもすぐに実践できそうなことも書いてありとても面白かったです。
個人的には 1on1 など現在やっていないことをボトムアップで提案していきよりよい組織になればいいなと思っています。
今回の記事では、簡単に各章の要約を簡単に行っていきます。章が多いためすべては記載しません。
詳しく気になる方は、ぜひ読んでみてください。
TL;DR
- マネージャーのアウトプットの測定方法
マネージャーのアウトプット = あなたのチームのアウトプット + あなたが影響を与えた他のチームのアウトプット
- 良い委譲をすることが重要
- 1on1 はスタッフとの関係の核となるもの
- マズローの欲求階層を理解し、スタッフがどの欲求を満たしたいと思っているかを理解することが重要
目次
1 章 新たな冒険
概要
- マネージャーは難しい仕事であることを理解する
- 多くのエンジニアは教育や独学で何年も学び実践した上で職につきますが、多くの新米マネージーは誰かをマネジメントした経験もないため、仕事を前にしてまいってしまい、何をすればいいかわからなくなってしまう
- マネジャーとなって最初の週をスムーズに過ごすための仕組みを 1 章では紹介している
最初の週にやること
-
自己紹介
-
必要なミーティングを予約する
- チーム全員と週次 1on1 を予約する
- 1on1 の詳細は4 章 1on1に記載します
- 初回 MTG 時の質問例
- チームは何を担当しているか、そして現在何に取り組んでいるか?
- チームについて、現在いちばん課題だと思っていることや改善が必要だと思うこと、逆にチームの好きなところ、うまくできてるところは何か?
- 上記質問からわかること
- プロジェクトの詳細、目的
- 仕事の優先順位やロードマップに関する意思決定の責任者は誰か知っているか
- 仕事についてどう感じているか
- プロジェクトに対する熱意など
- チーム全員と週次 1on1 を予約する
-
チームの上司に会う
- 上司との初回 MTG で知りたいこと
- チームのパフォーマンスに対する意見
- チームメンバーのそれぞれの人となり
- 現在のプロジェクトや仕事の流れの組み立て
- 組織の中で同役割を果たせば良いかについての一般的なアドバイス
- 上司との初回 MTG で知りたいこと
-
チームのスナップショットを作成する
-
スナップショットをもとに次に注力すべき項目のアクションリストを作成する
- 「チームに話すべきこと」「上司に話すべきこと」をやることリストに落とし込む
Point
- マネージャーの最初の週にやることを仕組み化すること
- 最初の週でチームの状況を理解し、次に注力すべき項目を見つけること
2 章 まず自分を管理しよう
- 2 章の構成
- 整理整頓しよう!
- 活動を分類して生産性を高めるには
- マネージャーのアウトプットを測るには
整理整頓しよう!
本書では、下記 4 つのツールを活用することで、正気を保ってどんな重要なことも忘れずにいられると言っています
- カレンダー: 時間を管理する
- ToDo リスト: タスクを管理する
- メール受信箱: 受信したメッセージを管理する
- 情報を記録する場所: 他の 3 つのツールがないときに使う
※ それぞれのツールにルールを設定し活用しましょう
ルールはシンプルにしましょう
活動を分類して生産性を高めるには
マネジメントの活動の分類は下記の 4 つです
- 情報収集
- メールやチャットを読むだけでなく、同僚と話をして今どんなことをしているのかなどさまざまな情報を収集する
- 意思決定
- 決定には細心の注意を払うとともに、結果に対して責任を持ちましょう
- ナッジング
- ナッジングとは、議論に対して自身の観点を提供することで、決定に影響を与えること
- ロールモデル
- 物事をきちんと実行し、言うべきことを言うこと
- 良い方法はスタッフや同僚に実例で示すこと
コアタイム内でチームの柔軟性を上げたいと思っているのに、自分は毎日午前8時から午後7時までオフィスにいるとしたら、あなたはロールモデルではありません。帰宅しましょう!
マネージャーのアウトプットを測るには
マネージャーのアウトプット = あなたのチームのアウトプット + あなたが影響を与えた他のチームのアウトプット
- 上記のマネージャーのアウトプットを測るの方程式は何度もでてくるため本書ではとても重要なことだと思われます
Point
- システムを活用して頭の中に止める情報をなるべく小さくしましょう
- 活動を分類することで、今やっている仕事をより論理的に考えられるようになります。また、何気ない会話や割り込みを価値あるマネジメント活動に変換できます
- アウトプットの方程式を知ることで、自分の時間をどう配分するのが最善かを常に考えられるようになります
3 章 人間と関わる
上手なコミュニケーションをするには
- コミュニケーションの 3 つの媒体
- 会話によるコミュニケーション: フォーマルなミーティングから、コーヒーマシン横での雑談まで
- テキストによるコミュニケーション: フォーマルなドキュメント、メール、プルリクエストのコメント、インスタントメッセージなど
- 非言語によるコミュニケーション: ジェスチャ、ボディランゲージ、表情、姿勢、声のトーンなど
※ 相手に合わせてコミュニケーションを行うことが重要
委譲
- ❗ 本書で委譲は、
マネージャーの一番協力なツールの1つ
と書かれています - 簡単にいうと委譲とは、タスクの責任を自分から部下へ移動させること
悪い委譲
- マネージャーがまったく委譲できていない
- 丸投げ
うまく委譲するために
-
うまく委譲するためには、説明責任と実行責任の差を理解すること
- 説明責任: タスクを求められる品質で完了させる施金を持つこと
- 実行責任: タスクを実際に自分で行うこと
-
つまり良い委譲とは、タスクの実行責任を誰かに渡す一方で、説明責任を負い続けること
- 悪い委譲の例で挙げた
マネージャーがまったく委譲できていない
は、すべてのタスクの説明責任と実行責任を持ってしまっています - また、
丸投げ
は、実行責任を渡しっぱなしにするだけでなく、説明責任まで放棄してしまっています
- 悪い委譲の例で挙げた
-
うまく委譲するために下記の図のようにタスクを個人にどのように委譲すべきか度合いがあることを理解すること
-
委譲でやってはいけないこと
- 丸投げ
- 他の人のやり方が自分と同じであることを期待すること
- 渡したタスクを取り返すこと
- スタッフの学習機会を奪うだけでなく、感情も害することになります
Point
- マネージャーの言葉には重みがあるため、「2 回測って、1 回切る」大工のことわざを心がけましょう
- 委譲のフレームワークのどこに目盛りをもっていくか繰り返し練習しましょう
- 委譲できない、または委譲が下手なマネージャーが多いため、委譲がうまくなると差をつけられます
4 章 1on1
- 1on1 は、スタッフとの関係の核となるもの
- 質の高い 1on1 によって質の高い関係性が作られます
準備
- 毎週同じ時間、同じ場所で行う
- 必ず会議室などのプライベートエリアで行う。パブリックエリアでは行わない
- プライベートな会話が聞かれてしまうため
- ミーティングのアジェンダを作成し、両者が見られる場所に事前に格納しておく
最初の 1on1
- 最初の 1on1 は、2 回目以降と比べると難しいため、コントラクティングというエクササイズを行う
- これを使うことで、両者がお互いに期待していることを素直に話し合い、この関係性に求めるものや必要なものを明確にできるようになります
コントラクティングとは何か?
- コントラクティングとは、1on1 で扱う単純な質問一式であなたと部下が期待することについて会話を誘発するもの
- 質問例
- いちばんサポートが必要な分野はどこか?
- 最初の質問は大雑把です。意図的にそうしています。部下が自分の考えを自由に話せるようにするためです
- どんな形でフィードバックやサポートを受けたいか?
- 相手の行動の好みを知り、お互いに気持ちよく付き合える方法を見つけるための質問です
- テキストベースがいいのか?直接会話したほうがいいのか
- 相手の意見が「とくに気にしない」だった場合、深く掘り下げることをオススメします
- 相手の行動の好みを知り、お互いに気持ちよく付き合える方法を見つけるための質問です
- 一緒に働く上での問題は何か?
- 私のサポートがうまくいっていないことはどうすればわかるか?
- 相手の行動の好みを知り、お互いに気持ちよく付き合える方法を見つけるための質問です
- ミーティングの内容の気密性はどれくらいか?
- いちばんサポートが必要な分野はどこか?
- 質問例
相手が考えるのに悩んでいたとしても自分から提案するのはやめましょう。
最初のミーティングで解決策まで提示する必要はない。その後の 1on1 でじっくり話するようにし、ミーティングの継続性のきっかけを作りましょう
会話の内容はすべて共有ドキュメントに確実に記録しましょう
あなたではなく、相手のためのミーティング
- ミーティングの間はできる限り「相手の頭の上に思考のフキダシを浮かべておく」必要があります
- 思考を引き出し、相手が自分の考えを整理できるようにしましょう
- 70%以上の時間は部下に話してもらうようにしてください
会話の話題のアイデア
- 会話の話題のアイデア
- アーキテクチャの深堀
- プロセスの深堀
- 自分が読んだ関係しそうな記事
- ティーチング
- 部門や会社の方向性
- フィードバックの収集
- 自分が取り組んでいるタスクの共有
Point
- なにも準備していない雑談と、意味があり焦点が明確な 1on1 とのあいだには、極めて大きな差があります
- 最初のミーティングはコントラクティングを活用しましょう
- 会話内容のメモを共有ドキュメントで共有しタスクのアサインをしましょう
- 自分のアクションを ToDo リストに追加しましょう
5 章 その人に合った仕事とは
何が人を動かすのか?
-
マズローの欲求階層
-
あなたが働く日々に照らし合わせたマズローの欲求階層
- 生理的欲求: 自分がしたいことに対する適正な額の給与をもらい、妥当な手当てが欲しい
- 安全欲求: 安定した仕事と安全な労働環境が欲しい
- 愛と所属の欲求: 好きな同僚や刺激を与えてくれる同僚と働きたい。チームや上司といい関係を築きたい
- 承認欲求: フィードバックを通じて非公式にも、職位と昇進を通じて公式にも、両方で自分がしたいことを評価してもらいたい
- 自己実現欲求: 成長と自分の仕切るを継続的に広げていくために挑戦していきたい。キャリアにおいて常に次に進めるところがあると感じていたい
Point
- スタッフは高い欲求を満たしていくために働いています
- お金のためだけにテクノロジーでの領域で働いている人はほとんどいません。なぜなら、みんな本質的に知りたがりで、一生懸命で、熟達と自己実現を求めているからです。
- お金と卓球台は高いレベルの欲求ではないことを頭に入れておきましょう
- スキルツリーによって発達の最近接領域の境界を押し広げる
8 章 ゲームオーバー
人が去るのは普通のこと
- 人は必ず去っていきます。それは普通のことであり、最悪のことでもあります
良い退職理由
- 新しい機会
- 家族
- パートナーが別の場所で一生ものの仕事のオファーをもらいい一緒に転居するなど
- 報酬
- スタッフが良い時期に良い業界にいると、よそから人生を変えるような報酬パッケージを提示されることもあります
このような状況では、あなたは何も間違っていません。
できる限りスムーズな退職になるようにサポートを行いましょう
悪い退職理由
- 報酬
- 昇給額に不満があり、それを素直にあなたに話すことはできないと感じている
- 同僚との問題
- チームメンバーの 1 人に我慢できず、ここ半年間毎日とてもイライラしていました。性格面で衝突も多く、それぞれの評判が悪くなるような個人的な問題だと考えていたため、あなたに報告しようと思いませんでした
- キャリアアップ
- 大きくキャリアラダーを上げるような役割のオファーを別の会社から受けていた
- 挑戦や新しい経験の欠如
- 今の仕事をする役割で雇われているので、チームを変えてほしいと言えなかった
- 今の仕事にまじめに取り組んでいるように見えたので、あなたはほかの提案もしませんでした
もし惜しい退職であれば、給与を上げることやチームやプロジェクトの移動など、短期的には扱いにくい譲歩を強いられるかもしれません。
会社に残ってもらうための不均等を受け入れられるのかどうか、自問してください。答えがイエスなら、戦いましょう。答えがノーなら、スムーズな退職をサポートしましょう
Point
- 人は必ず去っていきます。それは普通のことであり、最悪のことでもあります
10 章 人間って難しい
馬鹿の山
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ダニング・クルーガー効果
- 能力の低い人ほど自分は優れていると錯覚する認知バイアス
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インポスター症候群
- 高い実績を持つ人が自分の功績を内面化できず、偽物か詐欺師だと露呈することを恐れるという概念
折り合いのつけ方
- ダニング・クルーガー効果
- コーチングを活用し、自分は自信過剰だったのだという結論に、ジニアスタッフ自身が行きつけるようにしましょう
- インポスター症候群
- 自分の感情に打ち勝つために成功体験を繰り返す必要があります
- ジュニアスタッフとシニアスタッフをペアにして、ペアプログラミングなどを通して、理論的かつ具体的に課題解決するのも 1 つの方法です
- 自分の感情に打ち勝つために成功体験を繰り返す必要があります
15 章 デュアルラダー
キャリアアップフレームワークを作る
- キャリアアップフレームワークの目的
- キャリアについて考えていることや、これから取り組みたいスキルについて、あなたに話しかけやすくすること
- スタッフが将来のおばしたいと思う部分について、会話の刺激を与えること
- 引き続き会社のパフォーマンスを上げた場合に、どのあたりまでいけそうか期待値を設定すること
- キャリアアップフレームワークの目的でないもの
- スタッフをお互いに順位付けすること
- 人のキャリアアップを妨げること
- 望まないやり方でキャリアアップを強制すること
IC(インディビジュアルコントリビューター)トラックのキャリアアップフレームワーク例(一部抜粋)
コンピテンシー領域 | ジニアエンジニア(L1) | エンジニア(L2) | シニアエンジニア(L3) |
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業界経験 | 関連する技術の講座を受けたことがある 業界での経験はまったくもしくはほとんどない |
学校教育を含め 3~7 年の経験がある。 ソフトウェア開発チームでの経験があり、チームワークやソフトウェアを作って リリースすることへの理解がある |
7 年以上の経験がある。 その領域における技術的専門的で、仕様通りかつ期限内に仕事を終わらせル確かな実績を持っている |
技術的知識 | 問題を分析し解決策を提案できる。… | オープンソースのソフトウェアやフレームワークなどを含め選択した言語や技術スタックに堪能である | さまざまな技術の専門家である。… |
メンターシップ | 自分よりシニアなスタッフから助言を受け付けることが多い | ジュニアエンジニアを指導してレベルを引き上げ優秀なリームメンバーにできる | 技術スタックのさまざまな個所について、周囲に助言ができる主力の人である |
影響力 | 同僚と強力な関係をつくることができる | 仕事を完成させ周囲に技術的な助言ができることで定評がある | プロジェクトにいて手伝ってほしい人だとみんなに思われている。… |
Point
- キャリアアップフレームワークは、GPS(好むと好まざるとにかかわらず従うべき具体的な経路)よりも、方位磁石(自分の道を探す余地を与える一般的な道順案内)のような働きをします
おわりに
いかがだったでしょうか?
エンジニアリングマネージャーの仕事をひととおり見てみてとても難しい仕事だと感じました。
今後マネージャーになることがあれば本書を生かしていきたいと思います。
今回の記事ではかなり抜粋して記載しております。
記載した以外にもおもしろい考え方やアイデアがたくさん書かれているので、興味があればぜひ読んでみてください。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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