はじめに
私の会社ではアジャイル開発の一つであるスクラム開発を取り入れており、毎週チームメンバー全員で振り返りを行なっています。過去に様々な振り返り手法を使ってきたので、それぞれのやり方・特徴・良い点・悪い点等を紹介していこうと思います。あくまで主観なので悪しからず。
チーム構成
5人チーム
振り返り手法
- KPT
- FDL
- 喜怒哀
KPT
KPTとは、
Keep(うまくできたこと・続けたいこと),
Problem(うまくできなかったこと・気になっていること),
Try(実践してみると良さそうなこと)
の3つから成ります。
私のチームで最も使われている振り返り手法です。
やり方
1. 振り返りの枠を準備します。
私のチームではmiroを利用しています。
以前、手書きの付箋をホワイトボードにホワイトボードに貼っていくという完全オフラインで行なったことがあるのですが、手間や効率の面でオンラインでやるのが良いという結論になりました。
2. 一週間の出来事を思い出します。
現在はデイリーのメモを見て各個人で思い出していますが、以前は一週間の出来事という枠を作り、KPTを始める前にチームメンバーの一週間の出来事を共有していたこともありました。
3. Keepを出し合います(5分)。
うまくできたことや以前より改善されたこと、今後も続けたいことを挙げていきます。
挙げるものは個人視点でもチーム視点でも構いません。両方の視点で挙げられると尚良いです。
4. Problemを出し合います(5分)。
上手くできなかったことや抱えている問題などを挙げていきます。
こちらもKeepと同様に挙げるものは個人視点でもチーム視点でも構いません。
5. 【Keep】似た内容のものはグルーピングして、挙がった内容について深掘りをしていきます。
まずは挙がったKeepから詳しく見ていきます。
全てのトピックを拾おうとすると時間がかかり話題が分散するため、内容の深掘りが十分にできない事があります。それを避けるために、似た内容のものはまとめ、議論したい内容にスタンプを置いて話題を絞るというような工夫を私のチームでは行なっています。
「どうやってこの部分を改善していったの?」
「これのどんな点が良かったの?」(心清らかな純粋な疑問として)
などを質問し、挙がったKeepの内容について深掘りをしていきます。
そこで挙がった内容もメモに残しておくと後でトライを考える際に案が出しやすくなるため良いです。
6. 【Problem】似た内容のものはグルーピングして、挙がった内容について深掘りをしていきます。
やり方はKeepと同様です。
Problemについてはただ内容について詳しく聞くだけでなく、
「どうしてそれがProblemに挙がってしまったのか?原因は何か?」
「どうすれば良かったのか?」
などを話せるとよりチームの改善につながる振り返りになります。
これらの内容もメモに残しておきましょう。
7. 次週Tryすることを決めます。
KeepとProblemの深掘りを終えたところで、次週トライすることを決めます。
Keepからはより良くしたいことや伸ばしていきたいこと、Problemからは改善したいことがトライの案になることが多いです。Problemに意識が強く行きやすいところですが、Keepしたい部分をよりよくしていきたいという意識もあると良いですね。
そしてトライを決める上で大切なのは、ただトライすることを決めるだけでなく、そのトライをすることでどのような効果が得られるのか、トライの目的や効果を明確にする事です。そうすることで、トライの振り返り時にそのトライがチームの改善に効果があったのかどうかを判断しやすくなります。
8. 次回の振り返りの頭でTryの振り返りをします。
特徴
チーム改善の意味合いが強い振り返りフレームワーク
良い点
- 個人やチームの問題点を早期に発見できる
- 継続的に改善を続けられる
- チーム内のコミュニケーションが促進される
悪い点
- 内容の深掘りが上手くできないとただ出来事を振り返っているだけになってしまい改善につながりにくい
- Keepが少なくてProblemが多いと雰囲気が暗くなる
FDL
FDLとは、
Fun(楽しかったこと)
Done(やったこと)
Learn(学んだこと)
の3つの軸とその重複で出来事を振り返ります。
やり方
2. Fun,Done,Learnを自由に挙げて貼っていきます。(5分)
3. 挙がった内容について深掘りをしていきます。
付箋が置いてある位置にも注目すると、より内容を深掘りできることがあります。
特徴
仕事の内容や学びを振り返れるフレームワーク
良い点
- 学んだことを振り返れる枠があるため新人の学びの復習になる
- プラスの面で振り返るため明るい雰囲気になる
- メンバーがどんな仕事を楽しいと感じるのかを知れる
悪い点
- 問題点やできなかったことへの改善の学びがLearnに挙がりづらい
- そのため継続的に行なってもチーム改善には繋がりにくい
喜怒哀(Mad,Sad,Glad)
文字の通り、喜・怒・哀それぞれに関して思い浮かんだ出来事を付箋に貼って振り返りをします。
やり方
2.喜怒哀を自由に挙げて貼っていきます。
ただ出来事を並べていくよりも、どういうところがその感情に影響したか(背景や理由)も書けるとより良いです。
3. 挙がった内容について深掘りをしていきます。
気付いたことや傾向を話し合うことで新たな発見があるかもしれません。
特徴
感情ベースで振り返るフレームワーク
良い点
- 現状、自分たちがどのような感情を抱いているかを振り返れる
- 事象ベースだと捉えきれないものも挙がる
- 中には感情ベースの方が気軽にトピックを挙げられる人がいる
悪い点
- マイナスな感情で区別がつきにくいため、怒や哀を挙げるのが難しい人がいる
- 行動ではなく感情に焦点を当てるため、改善に繋げる振り返りには向かないことがある
おわりに
今回はそれぞれの振り返りについてまとめてみました。
振り返りの場面や目的によってうまくフレームワークを使い分けられると良いですね。