生産設備の稼働データを外部から取ってみよう
初めまして!京セラコミュニケーションシステムの大山と申します。
製造業のDX化をよく耳にしますが具体的にどんなデータを取って何に活用すれば
いいのか分からないというのが正直なところだと思います。
データを取るにも設備を止めて配電盤を開けてデータを抽出するというのも簡単に生産を止めるわけには行かず、
仮にデータ抽出ができたとして、データを活用するためにネットワーク構築やサーバーの購入などDXを始めるためのハードルが多くスタートラインにも立てないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では様々あるセンサーデバイスを使い外部からお手軽にデータを取得し、どの様に活用するか試行錯誤しながら提案していくそんな記事を目指したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
この記事の対象者
設備稼働データを取りたいけど設備の中から線を引き出すのはちょっと・・・という方
設備稼働データ取りたいけどPLCのプログラムはいじりたくないよ・・・という方
なかなか止めることが出来ない生産設備をお持ちの方
デジタル化担当になったものの何から始めていいか分からない方
設備稼働状況の見える化におけるデータ収集の方法について
デジタル化を進める上での目的としてQ(品質)C(コスト)D(納期)を改善したいというのがあるかと思いますが、まずはいずれにも少なからず関係してくる設備稼働状況の見える化について生産を止めずお手軽に外部取付でデータを収集する方法を考えていきたいと思います。
製造時に動きや変化のある場所にセンサーを置けば何かしらデータは取れるはずという考えのもと、すでに市場にあるものもありますが、とりあえず思いついたものを以下の表に列挙してみます。
No. | 方法 | 概要 | 詳細説明 |
---|---|---|---|
1 | 積層信号灯から稼働状況見える化 | 積層信号灯の点灯・消灯を光センサーでとらえて稼働、停止、異常を見える化 | あり |
2 | 電流センシングによる設備稼働の見える化 | モーター等を駆動させるケーブルをクランプ電流センサーでとらえて稼働と停止を見える化 | あり |
3 | 振動による設備稼働の見える化 | モーター等の設備振動を振動センサーでとらえて稼働と停止を見える化 | あり |
4 | 開閉スイッチによる設備稼働の見える化 | 磁気センサーで開閉をとらえて稼働と停止の見える化 | あり |
5 | 回転計による設備稼働の見える化 | 設備の回転を回転計でとらえて稼働と停止の見える化 | なし |
6 | レーザーセンサーによる不良品数の見える化 | シュートを通過する際の不良品をレーザーセンサーでとらえて不良品数の見える化 | なし |
7 | レーザーセンサーによる治具使用時間の見える化 | 交換による治具の有無をレーザセンサーでとらえてどの治具を何時間使用したか対応する品番の製造を何時間したかを見える化 | なし |
など、いくつか挙げてみましたが他にもこんなのあるよ。とか、設備のこういう動きをとらえられないかなと何か思いついた方はコメントで教えていただけると嬉しいです。
次に表の1~4について設備稼働見える化をもう少し深堀りしてみたいと思います。
1.積層信号灯から稼働状況見える化
概要
光センサーで積層信号灯の点灯、消灯、点滅をとらえて変化点の時間と信号灯ステータスを無線で送り、クラウド上でデータを蓄積し稼働状況を見る。
メリット
稼働や停止のほかに、どのような停止状態にあるのか点滅ステータスなどから見る事ができる。(待機や異常停止など)
デメリット
工場、ライン、設備ごとで信号灯の数や光り方、ステータスの意味合いに違いがあるのでセンサーの個数変更や、ステータスの設定が必要となる。
2.電流センシングによる設備稼働の見える化
概要
設備の配線コードの電流をクランプ電流計でとらえて変化が起きた時間データを蓄積し稼働状況を見る
※写真のように配電盤、装置間の任意のケーブルにクランプ電流センサーを挟む
メリット
取り付けが簡単でクランプメータでは電力量も見ることができる
デメリット
稼働と停止は見る事ができるがどういった状態で停止しているかわからない。
ケーブルの径や場所によっては取付できない
設備の負荷電流値によって使用するクランプの選定が必要
3.振動による設備稼働の見える化
概要
モーター等の振動を起こす対象物に振動センサーを取付て振動値と時間を蓄積し稼働状況を見る。
※モーター等の振動を発生させる対象物に振動センサーを貼り付ける
メリット
異常振動をとらえて設備の故障等の異常検知としても使える可能性がある。
デメリット
XYZの揺れ方向を把握したうえで振動センサーを取り付けないと正確な振動がとれない。
振動でセンサー動かないように固定が必要。
地震等の外部要因も検知する可能性がある。
4.開閉スイッチによる設備稼働見える化
概要
開閉扉の開け閉めを磁気センサーでとらえて開閉状態と時間を蓄積し稼働状況を見る。
メリット
開閉状態の間隔によって製造中か停止中か段替え中or異常処置のステータスを見える化できる
デメリット
開閉の間隔で見るので開けっ放しにすると状態を誤検知する可能性がある。
使用しないときは閉じる等のドア開閉のルールが必要。
これら複数の情報を組み合わせることで稼働や停止、待機、チョコ停、段替え等、設備がどういった状態か見えてくると思います。
問題個所が見えてくることにより設備に対するテコ入れ箇所を見出すきっかけになるかと思います。
以上、抜粋となりますがいかがでしょうか
センサーを置いて動きをとらえさせることで何気ない日々の動作がデータとなり意味を持たせることができると感じていただければ幸いです。
まとめ
動きのあるところはデータを取れる可能性があります。
データを取ってみて初めて気づくことがあるかもしれませんのでまずはデータ収集から始めてみるのはいかがでしょうか。
といいつつ、簡単な紹介だけというのもなんですから次回は
「積層信号灯から稼働状況見える化」をやってみたいと思います。
積層信号灯には数種類の色と点灯、消灯、点滅のステータスを持っており今回紹介した中で運転・停止・異常停止等の見える化を実現しやすい為、こちらを選んでおります。
また、ネットワークを引いてサーバーを用意するのも大変です。
設置も出来るだけ簡単、コンパクトに
京セラのIoTゲートウェイKC4-C-100Aを使用して
GoogleCloudPlatformで見える化を実現してみたいと思います!