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TCP/IPプロトコル群を使ったIPパケット通信の全体像を把握する

Last updated at Posted at 2024-01-28

TCP/IPプロトコル群を使ったIPパケット通信の全体像を把握する

パケットを送信する際のデフォルトルート・ルーティングテーブルなどの通信の一連の流れがなかなか載ってない(各々の構成ばかり)なので全体像を記します。

前提知識

そもそもネットワークって? => ネットワークとは網を意味するnetに作業workを加えたものです。プロトコルとはコンピュータ同士が通信できるように決められた約束事です。 昔は各社独自にプロトコルを開発してましたが、プロトコルの標準化をするために国際標準機構ISOが通信体系を策定しました。それがOSI基本参照モデルです。 しかし実際はTCP/IPプロトコル群が世界で最も使われてる通信プロトコルです。(このような事実上の標準はデファクトスタンダードといいます)。 OSI基本参照モデルとTCP/IPプロトコルの2種類ありますね。OSIは実装されるものというよりは設計の基礎的な考え方になるそうです。 下にOSI基本参照モデルとTCP/IPプロトコルの画像を貼ります。

参照モデル.png
各層の役割はこちらを見てください


またIPアドレスのクラスやCIDR(可変長ネットワークアドレスを/プレフィックスで表すもの)もありますが今回は宛先IPアドレスに届くまでの流れに焦点を当てるので多少省きます。
簡単に言えば、IPアドレスにはネットワークアドレスとホストアドレスがあり、それらをクラスという物で判別してました。
classAddress.png

例えば上記画像のクラスBのIPアドレスについてみていきます。 前提として、IPアドレスはIPv4(IP version4)によって、32ビットで構成されています。これは、8ビットずつ4つのセクションに分けられ、各セクションは10進数に変換されてドット(.)で区切られて表現されます
そしてクラスBのネットワークアドレスは先頭16bitです。そしてクラスBは先頭2ビットが10と決まってるので、引いた14bitがネットワークアドレスとして使えるわけです。 0または1の二つの選択肢を持つものが14bitあるので、クラスBのネットワークアドレスは2^14-2(約16382個)となるわけです。 ここで引いた2はネットワークアドレスとブロードキャストアドレスの2つ分です。これらは特別な意味を持つため、通常のホストとしては使用できません。 これだとIPアドレスが枯渇してしまいそうです。しかもクラスごとにネットワーク部とホスト部を分けてるので、効率が悪いのです。

例えば1000人規模の会社があったとします。この会社で使うPCにホストアドレスを割り当てます。(ネットワークアドレスは住所、ホストアドレスはさらに個々を特定するものなのでホストアドレスをPCに割り当てる) クラスAのアドレスを割り当ててしまうとホスト数が24ビット、つまり2^24-2(16777214個)も利用可能です。これでは実際使うのは1000程度なのに余りまくりで効率的ではないです。次にクラスBのホスト数を見てみると、2^16-2(65534) 個です。これでも余りまくりです。じゃあクラスCはどうかというと、ホスト部が8bitで構成されてるので、2^8-2(214個)です。これでは全然足りないです、なので昔はこのような場合必然的にクラスBを割り当てるしかなかったんですね。
そこでクラスA,B,Cをさらに分割してサブネットワークという複数のネットワークに分割するサブネットマスクというものができました。
これがCIDR(可変長ネットワークアドレスを【/】というプレフィックスで表すもの)です。
可変長ネットワークアドレス|サブネットマスクについて

つまり、固定だったホスト部の数を各々いい感じに調整できるようになったということです。 可変長ネットワークのメリットはクラスフルネットワーキングの制限を克服することで、IPアドレスの枯渇を防ぎ、ルーティングの効率を向上させることです。

これらを前提に実際のパケット通信の流れを見ていきます。

送るデータにヘッダを付ける

TCP/IPプロトコル群のアプリケーション層から下に行くにつれてデータが付与されていきます。そしてデータリンク(OSI基本参照モデルだとデータリンク層。TCP/IPプロトコルだとネットワークインターフェース層にあたる)ごとに異なる最大転送速度(Maximum Transmission Unit) に合わせてパケットを分割していきます。分割されたパケットは途中で再構築されずに、宛先に到着したら分割時のIPヘッダの情報を見て再構築します(IPヘッダ内の識別子にある)。
IPヘッダのデータフォーマットについて
packet_inpng.png
IPの役割は、IPアドレスで宛先の識別、経路制御(ルーティング)、パケットの分割と再構築があります。

先に進む前にルーティングテーブルとは

「パケットの最終的な宛先のIPアドレス」と、「最終的な宛先に届けるため、次にパケットを送る先のIPアドレス」(ネクストホップ)をまとめた情報を保持している。これをルーティングテーブルと呼ぶ。ルーティングテーブルに書かれた情報の一つひとつは、経路情報と呼ばれる。 宛先がルーティングテーブルにない場合はデフォルトルートとして設定されてる別の宛先ルータにパケットが送信され、そのルータのルーティングテーブルを調べて宛先を決めるを繰り返します。 これらを活用して効率的なデータ送信を実現しています。

パケット通信の流れ

flow.png
上記の画像のようにPC AからPC Bに送るとしましょう。
PC Bが、同一ネットワーク内だった場合の通信の流れも記載しておきます。
PC AはPC Bにパケットを送信するために宛先IPアドレス(172.16.2.10)にデータを送信したいです。そのためにPC Aは、 送信先のIPアドレスが自身のネットワーク範囲内にあるかどうかを確認するために、まず自身のルーティングテーブルを参照します。 ここで載っていた場合は、自身のネットワーク範囲内だとわかるので、PC1は自身のARPテーブルを参照して、その送信先IPアドレスに対応するMACアドレスを見つけます。 もしARPテーブルに該当するエントリがない場合、PC AはARPリクエストを行い、該当するMACアドレスを取得します。その後、そのMACアドレスにパケットを送信します。 しかし自身のルーティングテーブルに記載がない場合、自身のネットワーク範囲外にあることがわかるので、 PC Aは自身のルーティングテーブルに記載されているデフォルトルート(通常は自身のネットワーク範囲内のルータ)にパケットを送信します。 このために、PC AはARPテーブルを参照してルータAのIPアドレスに対応するMACアドレスを見つけます。 もしARPテーブルに該当するエントリがない場合、PC AはARPリクエストを行い、ルータAのMACアドレスを取得します。 その後、そのMACアドレスにパケットを送信します。
パケットがルータAに到達すると、ルータAはそのパケットの宛先IPアドレスを確認し、自身のルーティングテーブルを参照します。 もしルーティングテーブルに該当するエントリがある場合、 ルータはそのエントリに記載されているネクストホップのIPアドレスに対応するMACアドレスを自身のARPテーブルから探します。 もしARPテーブルに該当するエントリがない場合、ルータAはネクストポップにARPリクエストを行い、ネクストホップのMACアドレスを取得します。 その後、そのMACアドレスにパケットを送信します。 もしルータAのルーティングテーブルに該当するエントリがない場合、 ルータは自身のルーティングテーブルに記載されているデフォルトルートのIPアドレスに対応するMACアドレスを自身のARPテーブルから探します。 もしARPテーブルに該当するエントリがない場合、ルータはARPリクエストを行い、デフォルトルートのMACアドレスを取得します。 その後、そのMACアドレスにパケットを送信します。
このプロセスは、パケットが最終的な宛先IPアドレスに到達するまで、各ネクストホップで繰り返されます。

なぜネクストポップを中継してパケットを送信するのでしょうか。

ネクストホップにパケットを中継する主な理由は、インターネットが分散型ネットワークであるためです。 インターネットは、世界中の何百万もの別々のネットワークから構成されており、それぞれのネットワークは自身のIPアドレス範囲を持っています。 そしてルータがインターネット上のすべての情報をルーティングテーブルに記載することは、現実的には不可能です。(情報を一つのルータが管理することは、その規模と複雑さから考えても非現実的であり、 新しいネットワークが追加され、既存のネットワークが変更され、または削除されるため) なので、中継プロセスは、パケットがインターネット上を効率的に移動するために必要なのです。 それぞれのルータは、自身のルーティングテーブルを使用して、最終的な宛先に届けるために、パケットをどのネクストホップに送信するかという最適な経路を決定するんですね。
「ネクストホップはどんどん回していって、誰かしらこのIPアドレス情報を持っているでしょう」的な考え方です。

しかしそれでは、もし見つからない場合延々とポップしてしまうのでは?と考えるのは自然です。そのような対策のためにTTL(Time To Live)というものがあります。 TTL(Time To Live) IPパケットにはTTLというフィールドがあり、これはパケットがネットワーク上を移動できる最大ホップ数を表します。パケットがホップするたびに、TTL値は1減少します。TTLが0になると、パケットは破棄され、送信元にエラーメッセージが送られます。これにより、パケットがネットワーク上で無限にループするのを防ぎます。

これがTCP/IPプロトコルでパケットを送信する流れになります。

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