背景
普段、MacでLaTeXを使って情報処理学会(IPSJ)のスタイルシートを適用して論文を書くことが多いです。
特にMacTeXのGUIツール等は使わず、texファイルは"emacs"で編集し、Makeファイルを作ってコンパイルはコマンドラインと言うスタイルを2年ほど続けて来ました。
問題。。。
執筆自身は、背景に書いたスタイルで何ら問題は生じていません。
しかし、共著者による添削が非常に面倒。
通常のPDFの他に、latexdiffで差分が分かるようにしたPDFを作成する必要が。。。
さらに、latexdiffでは元のtexファイル内の見栄えの都合で増えた改行なども全て差分になってしまうので、第三者からは分かり難くなる。
しかも、コマンドを含む部分で差分が出ると、エラーが出てコンパイルが通る様に修正する必要が発生することも、しばしば。
PDFを直接編集出来ないため、コメントは別途いただくと言う事になり非常に煩雑。。。
しかし、Wordで執筆なんて世界にはもう二度と戻れない体になっている
解決策
TeXのオンラインエディタで、共同編集も可能なOverLeafを使用する。
OverLeaf https://www.overleaf.com/
実施したこと
1. OverLeafのアカウント作成
TopページのRegisterを選択してアカウントを作成します。
メールアドレスとパスワードでも新規で作るか、GoogleアカウントまたはORCIDを利用することもできます。
※ORCIDはよく知らない。。。
2. プロジェクト作成
New Project
を選択してプロジェクト名を入力。
例えば「sample」
そうすると、sampleというプロジェクトのフォルダとmain.texが作成されます。
3. 日本語対応させる
Menu
からCompiler
の設定をデフォルトのpdfLaTeX
からLaTeX
に変更します。
New File
でlatexmkrcというファイルを作成します。(拡張子無し)
これで、日本語対応完了。
参考:https://doratex.hatenablog.jp/entry/20180503/1525338512
$latex = 'platex';
$bibtex = 'pbibtex';
$dvipdf = 'dvipdfmx %O -o %D %S';
$makeindex = 'mendex -U %O -o %D %S';
$pdf_mode = 3;
4. IPSJのテンプレートをアップロードする
Upload
を選択してIPSJのTeXテンプレートをアップロードする。
IPSJ TeXテンプレート: https://www.ipsj.or.jp/journal/submit/style.html
今回は、UTF-8版のipsj.cls, ipsjpref.sty, ipsjunsrt.bstを使います。
お試しにjsample.texを追加でUploadします。
※ipsjpref.styは日本語ジャーナル用なので、研究会は、ipsjtech.sty等投稿先にあわせて選択してください。
5. コンパイルする
Menu
からMain document
の設定をデフォルトのmain.tex
からjsample.tex
に変更します。
jsample.tex
を選択して画面左半分のエディター部分に内容を表示させます。
エディタにカーソルを移動し、Ctrl
+S
で自動でコンパイルされ、画面右半分のPDFプレビュー部分にIPSJテンプレート内のjsample.pdfと同じ内容が表示されれば環境構築完了です。
※main.tex
は削除して問題有りません。
その他
プロジェクトの共有方法
Share
を選択し
Anyone with this link can edit this project
または
Anyone with this link can view this project
に表示されるURLを共同編集者に送ることでプロジェクトを編集または参照可能です。
Share with your collaborators
でOverleafアカウントを追加して編集するのは有料版のみのハズ。。。(試せよ)
レビュー(コメント)
編集可能URLで共有すれば、直接texを編集可能ですが、勝手に書き散らすのはお行儀が良くない!!
そこで、Review
を使うとエディタ部分にコメントのフィールドが出てきて、tex内の任意の箇所を選択してコメントが残せます。
有料機能
Dropbox連携,履歴管理等など高機能(私は未使用)
注意点
#####私が、Overleafを使って論文執筆をしていてハマったこと。
BiBTeX(参考文献データベース)で同じ文献IDを使用した際にErrorにならない(Warningは出る)
BiBTeXのエラーをうまいこと処理して、Warningは出るもののbibファイル内で先に記載された文献情報を使ってPDFプレビューが出ます。
私は、Warningに気づかず放置して、論文提出後にWarningに気づき平身低頭して差し替えた経験があります。
因みに、MacTeXなんかだとコンパイルエラーになります。
この他にも、bibの記載がローカルのTeX環境だとコンパイルエラーになることがあります。
確か余計なスペースだか改行が入っているとかそんなだった記憶が。。。(<-曖昧)
こちらは、Warningも出ません!!(たぶん)
対応策としては、Warningを放置しないこと、それと投稿用の論文はOverleafからプロジェクトをまるごとDownloadしてローカルのTeX環境でコンパイルしてチェックすることにしています。