はじめに
今までに、論文・発表資料を作成し、以下のシンポジウムで発表する機会をいただきました。
- ソフトウェア品質シンポジウム
- ソフトウェア・シンポジウム
- SPI Japan
論文・発表資料を作成を作成するときに、多くの皆様にご指導いただきました。本当にありがとうございます。
皆様からのご指導を受けた結果、論文・発表資料を作成するときに意識していることをまとめておきます。
意識することは変わると思いますので、随時追記・整理していきます。
意識していること
論文・発表資料共通で意識していること
内容
- 自分のプロジェクトで見受けられる問題を扱う。
- 自分のプロジェクトで効果を確認する。
- 解決する課題は小さくする(小さくてもいい)。
盛りだくさん内容を詰め込んだら、「Busy」とご指導いただいたことがあった。
大きすぎる課題にしたときに、「あきらめなさい」とご指導いただいたことがあった。 - 自分の経験則による主張は、参考文献で武装する。自分と同じような主張をしている参考文献を探し出し、参考文献に語ってもらう。
構成
ほぼ、いつも以下の構成で書いている。
足立久美さんからご指導をいただいて、私が勝手に”足立メソッド”と呼ばせていただいている論文の構成。
昔、「論文の型が決まれば、あとはその型に内容を流し込むだけ。」とお聞きしたことがあります。私は自分にとって使いやすい型が見つかったので、この言葉が実感できるようになってきました。
- 概要
- はじめに
- 課題設定
- 現状分析
- 課題提起
- 先行研究
- 解決策の提案
- 課題の解決方針
- (課題の解決策)
- 解決策の評価
- 評価方法
- 評価結果
- 結果の考察
- おわりに
- まとめ
- 今後の課題
- 謝辞
- 参考文献
各章の関係
- 「概要」を更に詳細に説明するのが、「はじめに」
- 「現状分析」の結果をもとに、「課題提起」を述べる
- 「先行研究」を参考にして、「解決策の提案」を決める
- 「課題提起」で示されたことが解決されているかを、「解決策の評価」で確認する
- 「評価結果」をもとに「結果の考察」を述べる
- 「結果の考察」では「解決策の提案」について、有効であったか?どのような残課題があるか?などを述べる
- 「結果の考察」をもとに「今後の課題」を述べる
- 「はじめに」に対して「おわりに」がある
論文で意識していること
無駄をなくす
- うしろから書く。「まとめ」を述べるために必要なことのみを論文に記載する。(内容の無駄をなくす)
- 余白をなくす。 できるだけ、制約となっているページ数をぴったり埋める。(ページの無駄をなくす)
例えば、8ページ以内が制約なら8ページぴったり埋める。
例えば、「である。」などの3文字だけで後ろが余白になるような行があれば、文を短くしてその行を不要とし、余白を少なくできないかを考える。
余白をなくし、せっかく与えていただいたキャンバスを最大限活用する。
また、余白をなくそうとすることが、文章を見直すきっかけとなり、内容が洗練されることがある。
読みやすくする
- できるだけ、文の途中で、ページが切り替わらないようにする。
理解しやすくする
- 同義語をなくす。
- あいまいな修飾語を使わない。
疑問をもたれないようにする
- 自分の主張の妥当性を高めることになる参考文献を探しだし、「先行研究」等として示す。
自分で考えたことは、意外とほとんど既に先人に考えられている。
自分で説明するのではなく、先行研究に説明していただけないか、調査・検討する。 - 参考文献で使用されている用語を使う。独自の用語を使用する場合には、用語を定義する。
特に複合語に注意する。私には、勝手に独自の複合語を作ってしまう癖がある。
発表資料で意識していること
制約を設ける
制約を設けることが、文章を見直すきかっけとなる。制約を満たすために、文章を見直さざるを得なくなる。そのときに、余分な情報が削られる。
まとめを記載することが、文章を見直すきかっけとなる。まとめを記載するために、何が重要かを考えざるを得なくなる。
- シート数の上限を決める(シート構成をあらかじめ設計する)
- フォントサイズを決める(14pt以上にする)
- できるかぎり箇条書きの項目は3つにする
- 1文は2行以内にする
- 基本的には、シート毎に、シートの下部に、まとめを記載する
参考文献を示す
- 論文ではなく発表資料であっても、最後のシートに参考文献を記載する。
作成した論文・発表資料
実際に作成した論文・発表資料を示す。
ソフトウェア品質シンポジウム
- 統合テストにおいて影響範囲に対するテスト漏れを防止する「影響波及パス分析法」の提案
https://www.juse.jp/sqip/symposium/archive/2017/day1/files/ronbun_C1-1.pdf
https://www.juse.jp/sqip/symposium/archive/2017/day1/files/happyou_C1-1.pdf - 欠陥混入メカニズムの知識を活用したDRBFMの提案
https://www.juse.jp/sqip/symposium/archive/2018/day1/files/B2-1_ronbun.pdf
https://www.juse.jp/sqip/symposium/archive/2018/day1/files/B2-1_happyou.pdf - 派生開発におけるテスト漏れを防止するDifference Statement Coverage分析法の提案
https://www.juse.jp/sqip/symposium/archive/2019/day2/files/A3-1_ronbun.pdf
https://www.juse.jp/sqip/symposium/archive/2019/day2/files/A3-1_happyou.pdf - ナレッジスタッフを中心としたニーズ駆動知識共有アプローチの提案 ~ドメイン知識の共有を阻害する問題の解決~
https://www.juse.jp/sqip/symposium/2020/timetable/files/B3-2_happyou.pdf - DRBFMにおける一人HAZOPの活用方法の提案
https://www.juse.jp/sqip/symposium/timetable/files/A2-3_happyou.pdf
ソフトウェア・シンポジウム
- 要求仕様の誤解釈を検出するDomain Word Modelingの提案
https://www.sea.jp/ss2020/download/SS2020-2.pdf - 要求仕様に対する形態素ベースドレビューの提案
https://www.sea.jp/ss2021/download/22-SS2021.pdf
SPI Japan
- 派生開発における影響分析の自動化に向けた取り組み事例 ~解析指向プログラミングアプローチの考案~
http://www.jaspic.org/event/2018/SPIJapan/session3B/3B3_ID008.pdf - CICI-FWの提案 ~簡単かつ早く検証自動化を進めるための手法~
http://www.jaspic.org/event/2019/SPIJapan/session2B/2B1_ID002.pdf - ゴールに繋がるアクションを生み出すデータ分析活動の事例 ~精度より成果~
http://www.jaspic.org/event/2019/SPIJapan/session3C/3C3_ID019.pdf
参考記事・参考文献
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Qiita内で論文・発表資料の作成に関するノウハウをまとめていただいている記事
謝辞
足立久美氏、松尾谷徹氏、飯泉紀子氏、栗田太郎氏、石川冬樹氏、鷲崎弘宜氏、山路厚氏、小川清氏(@kaizen_nagoya)をはじめとし、ご指導をいただいた皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
おまけ:発表に関して過去にいただいたフィードバック
- 事前にマイクと口との最適な距離感のチェックをする
- 声のトーンを少し下げる
- 時間がなくなったときに何を省略するかもっと具体的にしておく