はじめに
自分なりにプロジェクトをうまく動かせていたときの立案の段取りをまとめておく。
段階的詳細化
方針
計画を段階的に、詳細化し、ゴール達成の確率を上げる。
3年後のゴールの達成確率は5%もない状態でよいが、2週間後のゴールの達成確率は95%まで上げる。
段取り
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業務の目的、目標を決める。
3年後の目指す姿を描く。 -
人材と予算を獲得するために、3年後までの計画を立てる。
年毎の業務量がわかる粒度でよい。
できれば、必要な人材が大まかにわかるように、年毎のプロジェクトの体制図も描く。
毎年、関係会社や自社の体制と予算が決まる前に、計画を見直し、関係者と共有する。 -
業務量に対して人材が足りているかを確認し、業務量と品質または人材を調整するために、1年後までの計画を立てる。
月毎の業務量と人材の対応関係がわかる粒度でよい。
月毎に誰がどの案件にどの程度携わるかがわかるように、計画を表現する。
毎月、計画を見直し、関係者と共有する。 -
納期を調整・合意するために、計画を立てる。
PFDを作り、最適な段取りを関係者と議論する。
工程毎に成果量と過去生産性を参考に見積りをする。
できる限り、作業を遅れずに、実行できる可能性が高い担当者を、割り当てる。
生産性は担当者毎に異なるため、過去に担当者が経験したことのない作業は、試行し、試行結果をもとに見積りを見直す。
成果量や生産性の見込みが変わったら、計画を見直す。
計画を見直すために、見積りと実績の差を毎週確認する。
計画は実行する担当者が合意している状態とする。 -
各担当者(マネージャ含む)が、実行可能な計画にする&段取りに対して助言を得る&遅れがタイムリーに把握できるために、スケジュール表に予定を2週間分埋める。
できる限り、1時間程度の粒度の作業にして、予定を埋める。
各作業の開始時刻と終了時刻を決める。
予定は、毎朝見直す。
補足
業務の特徴によっては、4.は実施しない場合もある。代りに、以下の計画の立て方をすることがある。これを、4' としておく。
4' 作業の優先度の認識ずれを防ぐために、計画を立てる。毎週、その週に終わらせる予定の作業を優先度順に並べる。
参考文献
[1]山路厚,「自らの改善につながる「一人ひとりの日々の“仕事ぶり”を捉える」仕組みについて ―トレーニング指向アプローチによるプロセス改善―」,SPI Japan 2010,2010
[2]promapedia,「ローリング・ウェーブ計画法とは何か?反復計画法の1つを解説」
PFD
私の経験則では、WBS(ツリー表現)をする前に、PFD(Process Flow Diagram)を書き、関係者で共有することも効果的でした。
PFDは、清水吉男さんが発案された手法です。
以下は清水吉男さんの「PFD(Process Flow Diagram)の書き方」という資料です。
https://affordd.jp/koha_hp/process/PFDform3.pdf
この資料の中に以下の言葉があります。
PFDは、このようなときに「別案」に気づかせてくれるツールなのです。
・必要のないプロセスや成果物はないか?
・余計な成果物を作り出そとしていないか?
・別の方法で同じ効果の成果物を生み出すことはできないか?
・プロセス内の作業の順番を変えることで遅れを隠すことはできないか?
清水さんは「プロセスを設計する」という言い方をしていらっしゃいました。
ゴールに向かって無駄なく進むために、以下が大切になると考えています。
- リスクをもとにプロセスを設計する(定義するではない)
- プロセスは自分で設計する(定義するではない)
また、ゴールは一人で向かうものじゃないから、プロセスは一人で実行するものじゃないから、プロセスの設計はペアワーク・モブワークでやるとよいというのが経験則です。
つまり、PFDやWBSを作りながら、最適な開発の進め方を関係者で議論することが大切だと思います。
参考文献
清水吉男,「これまでの「標準化」の間違い」,2003
清水吉男,「PFD(Process Flow Diagram)の書き方」,2009
###Kouichi Akiyama,「35号:PFDの使い方」,2019
https://note.com/akiyama924/n/n033ae30a0cf2
###安達賢二,猪股宏史,「問題構造分析とPFDの併用による現実的・段階的な改善実践方法の提案~PFDを使いこなす能力を確実に身に着けるために」,派生開発カンファレンス2013,2013
https://affordd.jp/conference2013/xddp2013_p8.pdf
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