はじめに
Linuxでディスク操作の学習をしていると、よく目にする /dev/sda
。
この名前、よく見かけるけど実際に何のためのものかわからなかったのでまとめてみました。
結論から言うと、実務で /dev/sda
を操作するのはかなり危険です。
この記事では、その理由と、ディスク操作を安全に行うための基本的な考え方をまとめます。
/dev/sda
とは何か?
Linuxでは、ストレージデバイスは /dev/sdX
(例:/dev/sda
, /dev/sdb
)のように名前が付けられます。
その中でも /dev/sda
は、最初に認識されたディスクです。
多くのケースでは、この /dev/sda
に Linuxの本体(OS)や設定ファイル、ブート情報などが格納されています。
/dev/sda
に含まれがちなもの
-
/
(ルートファイルシステム) -
/boot
(カーネルやGRUB) -
/etc
(設定ファイル) -
/usr
(プログラムやライブラリ) -
/var
(ログやキャッシュ) -
/home
(ユーザーデータ) ※分離されていることもあり
つまり、Linuxが動作するための大事な「心臓部」が詰まっている場所です。
もし /dev/sda
をうっかりフォーマットすると…
たとえば、以下のようなコマンドを実行してしまうとどうなるでしょうか?
sudo mkfs.ext4 /dev/sda
これは /dev/sda に 新しいファイルシステムを上書きする(=初期化する) コマンドです。
この操作をしてしまうと、以下のような重大な影響があります。
-
ブート領域やカーネル、OS本体がすべて消える
-
システムが起動できなくなる
-
大事なデータもすべて失われる
➡ つまり、OSが「文鎮化」します。
※「OSの文鎮化(ぶんちんか)」とは、OSが起動不能になり、使い物にならなくなった状態
/dev/sda は毎回同じディスクなのか?
実は /dev/sda という名前は、起動時にカーネルが認識した順番で決まるため、接続状況によって変わることがあります。
たとえば…
-
ある日は
/dev/sda
がOSディスク、/dev/sdb
がデータディスク -
別の日は逆に
/dev/sdb
がOSディスクになっている
というように、デバイス名は環境やタイミングによって変動する可能性があります。
名前で判断するのは危険
「/dev/sdb
だからデータディスクだろう」と思ってフォーマットしたら、実はそれがシステムディスクだった…
という事故も、実務では本当に起こるらしいです。
安全なディスク管理の基本
以下の方法を組み合わせることで、ディスク操作の安全性が大幅に向上します。
lsblk
で構成を視覚的に確認
lsblk
どのディスクにどんなパーティションがあり、どこにマウントされているかが一覧で表示されます。
blkid
でUUIDを確認
sudo blkid
各パーティションのUUID(ユニークな識別子)を確認できます。
UUIDを使えば、デバイス名が変わっても安全に識別できます。
/etc/fstab
はUUIDで書くのが鉄則
UUID=abcd-1234-5678-efgh /mnt/data ext4 defaults 0 2
デバイス名ではなくUUIDでマウント設定を書くことで、起動順の変化によるトラブルを防げます。
ラベルを付けるのも有効
sudo e2label /dev/sdb1 DATA_DISK
lsblk -f でラベルを確認できるようになり、視認性が向上します。
実務での判断基準:「触っていいディスク」「触っちゃダメなディスク」
デバイス名 | 内容 | 操作の可否 |
---|---|---|
/dev/sda | OSが入っていることが多い | × 触らない |
/dev/sdb, /dev/sdc | 追加のデータディスクなど | ○ 事前確認の上で可 |
/dev/nvme0n1 | NVMe SSD(OS or データ用途) | △ 要調査 |
/dev/xvdf(AWS) | EBS追加ボリュームなど | ○ よく使う対象 |
安全なディスク操作のチェックリスト
-
lsblk
コマンドでディスク構成を確認する -
df -h
コマンドで使用中のマウントポイントを確認する -
mount
やblkid
コマンドで UUID・ファイルシステムの種類を確認する -
対象が「追加ディスク」であることを明確に確認する
-
/etc/fstab
では UUID またはラベルで記述する
まとめ
-
/dev/sda
は多くのケースで「OSの本体」が入っている超重要なディスク - 名前は起動順で変わることがあり、名前だけで判断するのは危険
- ディスク操作時は UUIDやラベルで正確に識別し、安全な手順で作業する
- 実務では、システムディスクには手を出さないのが原則
おわりに
ディスク操作は、インフラエンジニアにとってとても強力かつ危険な操作のひとつです。
ちょっとした確認不足が、システム停止やデータ消失といった大きなトラブルにつながることもあります。
だからこそ、
「触っていいもの」と「触ってはいけないもの」 をしっかり見分ける目を養うことが大切だと感じました。
この記事が、
「安全なディスク管理の考え方」を身につける一助になれば幸いです。