秋葉原ロボット部の読書会の教科書「量子力学10講」第1講で触れられた前提項目のうち、高校物理の教科書で取り上げられていない内容をメモ書きしたものです。
波の強度は、波のエネルギーを単位面積、単位時間あたりに換算したものと定義します。定義より、波のエネルギーがわかると波の強度がわかります。
波のエネルギー、つまり力学的エネルギーは運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの総和です。いきなり、波を対象とせず、単振動する物体の力学的エネルギーを求めます。
質量$\boldsymbol{m}$の物体が、バネ定数$\boldsymbol{k}$のバネにつるされて重力の働く方向に上下に単振動していると考えます。その時の物体の変位を$\boldsymbol{x}$、振幅を$\boldsymbol{A}$、角運動量を$\boldsymbol{ω}$とします。
バネのポテンシャルエネルギー$\boldsymbol{E_P}$は
となり、
を代入して、
となります。
物体が速度$\boldsymbol{v}$で運動している場合の運動エネルギー$\boldsymbol{E_K}$は、
なので、バネの力学的エネルギー$\boldsymbol{E}$は、
となります。
速度$\boldsymbol{v}$は変位$\boldsymbol{x}$を用いて、
となるので、力学的エネルギーは
と変位のみの変数で表すことが可能となります。
波の状態を考えます。水面波の媒質は水(分子)、弦の振動の媒質は弦で、これらの分子が単振動をしていると考えます。媒質を構成する分子の変位$\boldsymbol{x}$を
とすると、媒質中の1分子の力学的エネルギーは$\boldsymbol{ε}$は
ここで、$\boldsymbol{m}$は媒質分子1分子の質量を表してることになります。
単位体積当たりの分子数を$\boldsymbol{n}$、質量密度$\boldsymbol{ρ}$= $\boldsymbol{nm}$とすると、波のエネルギー密度$\boldsymbol{D_W}$は、
となり、波のエネルギー密度$\boldsymbol{D_W}$は、振幅の二乗に比例していることがわかります。このことから、波の強度も振幅の二乗に比例していることがわかります。