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中堅独立系SIerで10年働いて分かった、これからの生存戦略を本気で考えてみた

Last updated at Posted at 2024-07-16

はじめに

タイトルの通りなのですが、
中堅の独立系SIerで10年システムエンジニアをやってきました。
その中で多種多様な顧客、システム、技術に携わりながら自身のスキルを伸ばしていくことができ、会社に対しても概ね感謝の気持ちのほうが強いです。

一方で自身のキャリアパスについても悩んでおり、このまま管理職になって良いものか、人材マネジメントや事務処理ばかりでせっかく得たスキルが陳腐化してしまうのではないか、そういった危機感を感じていました。

また、SIerという仕事に対する世間の評価や風当たりについても憂いており、
管理職として会社側の人間になるのであれば、事業に貢献しつつも誇りを持って仕事をしたい。子どもに胸を張って父はSIerだと言いたい。そう思うようになりました。

そこで今一度、私が働いている中堅独立系SIerのビジネスモデルや今置かれている状況を自己分析し、誇りと納得感を持って管理職を全うできるような生存戦略は何なのかを本気で考えてみようと思い立ち、この記事を書いております。

ざっくりと大きな枠でSIerの将来を書いている記事は多くありますが、SIerとして働くイチエンジニアが普段から実践できるような具体的な施策が書かれてる記事は見つけられなかったので、今回はその辺りまで考えていくことをゴールにしたいと思います。

注意事項

  • 特定の個人や会社を批判するような意図はありません
  • あくまでイチ個人の観測範囲における見解のため、鵜呑みは厳禁です
  • 途中、ネガティブな話も出てくるかと思いますが、あくまで弱みも含めてしっかり自己分析し、生存戦略に繋げるためのポジティブな活動です

この記事でわかること

  • 中堅独立系SIer企業ってどんな会社?
  • 中堅独立系SIerで働く社員って実際どうなの?
  • 中堅独立系SIerで10年働いてキャリアパスの分岐点に立った中堅エンジニアが今考えていること

記事のターゲット

  • 中堅独立系SIerの経営者、管理職、一般のエンジニア、またはその関係者
  • SIer業界に働く全ての人
  • SIerに発注する顧客側の人
  • これからSIerへの就職を検討している学生
  • これからSIerへの転職を検討しているエンジニア、または、エンジニアを目指している人
  • SIerと関わりないけど、日本のIT業界の未来を憂いている全てのエンジニア

自己紹介

人となりを知って、感情移入しながら読んでもらえると、より面白いかなと思ったので少しだけ。

  • 大学は理系の学部卒で、新卒で今の会社に入社
  • 通信系や、組み込み系、直近ではWeb系メインで、短いものは3ヶ月、長いものだと3年程度で案件を渡り歩く
  • 3年目からはチームリーダー、6年目あたりでプロジェクトのリーダーを任される
  • 技術の学習は結構好きで、オフライン/オンライン問わず勉強会には顔を出している
  • なんだかんだ10年ほど働き、管理職候補となったことで、今後のキャリアパスについて本気で考えるようになる(←今ここ)

中堅独立系SIerの定義

会社のイメージが広すぎると議論が発散して、フワッとした生存戦略になってしまいそうなので、想定する企業イメージを細かく定義します。
メーカー系でもユーザー系でもなく、独立系のSIerであること。
いい意味でも悪い意味でも特徴がなく、とにかくエンジニアだけは多く抱えている会社というのが今回のユースケースのポイントになるかと思います。

  • 名の知られている大手ではなく、起業して数年の零細企業でもない
  • 2,30年ほどの歴史を持つ老舗ソフトウェアハウス
  • 社員数は500~5000人くらい
  • 親会社がなく、資本が独立している(独立系)
  • できれば上場企業であると望ましい
  • 自社サービスは持っておらず、昔から人月商売を主戦場としている
  • SIerと言いつつ、受託開発以外にSESや派遣の業務も行っている

SESだったらSIerじゃないじゃん!というツッコミもあると思いますが、実態として中堅の独立系SIerはSESをやっているところも多いため、そのあたりも踏まえて生存戦略を考えていきたいと思います。

企業の分析

まずは中堅独立系SIerについて分析するところから始めたいと思います。

ビジネスモデル

代表的な業務形態と、私の考えるそれぞれの特徴をまとめてみました。

  • 受託開発
    • 開発するシステムの規模を見積って価格を提示する
    • 見積りの手法として、開発タスクを洗い出し、それぞれの規模を予測し、何人で何ヶ月掛かりそうかで価格を決定する
    • 契約が決まれば、SIerはその計画に沿って開発をし、最後に成果物を納品する
    • 納品チェックが行われ、瑕疵担保責任が伴う
  • 派遣
    • 顧客の指示のもと、一緒に開発を進める
    • 要員のスキルセットによってグレード分けされて、ベースの単価が決まっていることが多い
    • 残業をすると、その分追加で請求できる
  • SES
    • 顧客とともに開発を進める点は派遣と一緒だが、指示系統が大きく異なる
    • 顧客から直接指示を受ける管理者を立てて、管理者が他のメンバーへ指示を出す
    • 受託開発よりも小さい機能単位で引き受ける
    • 適宜コードレビューを行ったり、プルリクエストのApproved/マージは顧客側で行うなどして、責任をシェアする場合が多い
    • 残業については裁量に委ねられている部分が多く、数時間なら追加請求はせず、大幅に超えそうな案件状況になったら適宜相談するようなパターンが多い

それぞれ特徴はあれど、共通しているのは、人の単価 x 稼働した月 が売り上げになるということ。
これがあの悪名高き「人月商売」と呼ばれるシステムです。

ビジネスをスケールする方法

まずはこの会社の管理職になったと仮定して、単純にこのビジネスモデルのままスケールする方法を考えてみます。

  • たくさん案件を取ってくる
    • 案件の数でスケールする方法
    • 営業活動に近いですが、まずは案件がないと始まらないので案件を確保します
    • 案件を得るためには競合他社と競う必要があり、その要素として専門性や品質、あとは価格などが挙げられそうです
    • たくさんの案件をこなすためには、その分管理する人や作業者が必要になるので、人の確保も重要になってきそうです
  • 案件ごとの売り上げを最大化する
    • 案件1つ1つをスケールさせていく方法
    • やり方としては、人の単価を上げる、人を増やす、稼働する月を延ばす あたりが考えられそうです
    • 受託開発であれば見積もりの規模を大きくする、派遣であれば残業を多くする
    • 具体的には、より複雑なシステムにする、ライブラリやフレームワーク等で解決できるものを自分たちで開発する、再利用性や共通化はアンチパターン
  • もっと安いところに発注する
    • パートナーとして協力会社を入れる
    • ニ次受け、三次受けといった階層構造はこうして生まれる

はい、最低ですね。でも真面目に自分の会社の事業貢献だけを考えてしまうと、こうゆうロジックが成立してしまうという点が、人月商売が、空白の30年を生み出した諸白の根源、なんて語られてしまう理由なんだと思います。
実際そんな経営方針の会社は淘汰されるでしょうし、現場でもそんなつもりで働いているエンジニアはいません。

企業としての価値/強みはどこにあるのか?

悪い話ばかりであれば潰れて然るべきで、それでもなおSIerがなくならないのは、そこに需要があるからだと思います。
ここではSIer企業の提供する価値や強み、それがどう需要を満たしているのかを把握することで、生存戦略のヒントを模索したいと思います。

  • どこも人材不足と言われるIT業界の中で、豊富な人材資源があるという強み
    • 質は一旦置いておいて、数千規模のエンジニアを抱えているというのはそれだけでアドバンテージと言えるのではないか
  • IT業界へ入る登竜門的な側面
    • 決して評判が良いと言えないSI企業にどうしてそんなに人が集まるのか
    • Web系企業に入れるものなら皆入りたいが、枠は限られている
    • そこに入れなかった人たちや、新しくIT業界に参入したい人材の受け皿となっている
  • 一時的な組織やチームのスケーリング
    • 社員を雇うというのは非常にコストが掛かる
    • 日本企業は一度雇った社員を切るのがとても大変なのでリスクも高い
    • リプレイスや、事業案件の計画があり、その間だけ一時的に要員を確保したい
    • 当たるかわからない新規サービスの初期投資として、大量に社員を確保するのは難しい
    • 立ち上げたばかりの内製エンジニア組織の技術的な初期サポート

SIer企業は豊富な人材資源を強みとして持っていて、それを提供することで価値を生み出している。
また、IT業界新規参入の窓口となることで、人材不足という社会的な課題にも貢献しているのではないか。
人売りなどと言われることもあるが、実際問題かなりの需要があり、ビジネスとして成立しているとも言えそうである。

開発現場の変化

少し話題を変えて、近年、実際の開発現場がどう変わってきているのかを整理してみます。

  • システムの内製化
    • 自社でもエンジニアを抱えて、不足分をSIerで補うケースが増えている
    • 昔のような顧客がシステムについて全く知らず、SIerに丸投げするような場面はなくなりつつある
  • アジャイルな開発手法の普及
    • 受託開発では最初にきっちり要件を決めて見積もりを行うため、ウォータフォールで進めるケースが多い
    • システムの複雑化、市場ニーズの変化の速さに対応するため、最初からガチっと仕様を決めるのではなく、小さく作って検証を繰り返す開発手法が好まれる

上記の流れから、受託開発は減少傾向にあり、SESが増えているような感覚があります。
SIerは顧客と近い立場で寄り添って、システム開発を通して一緒にビジネスを成長させるパートナーのような存在になれそうな気がします。

IT業界の大きな流れ

生存戦略を練るには業界全体の大きな流れを把握しておくことも必須でしょう。

  • DX需要の増加
    • DXのブームにより、手作業の部分をシステム化したり、ツール導入したい企業は増えている
    • 内製化も一緒に行う場面も多く、コンサル業としての参入も狙い目
  • クラウドの普及
    • オンプレからクラウドへ
    • 特定のクラウドに特化して、導入支援を行う企業も増えてきている
    • ただし、国のプロジェクトや金融系などのセキュリティ要件の高い案件は引き続きオンプレやプライベートクラウドが好まれる傾向にある
  • 新システム移行
    • 「2025年の崖」
    • まだまだレガシーなシステムを抱える企業は多く、リプレイス案件の引き合いはこれからもありそう
  • AIブーム
    • コーディングのみなど、簡単な下流工程しかできないSIerは淘汰される可能性が高い
    • プロンプトエンジニアリングなどしっかりと活用していくスキル習得も大切になる
    • GitHub Copilotの活用
    • ClaudeのArtifacts
      • プロンプトで指示して、プレビューでチェックしながら進める開発体験は、未来を予感させるのに十分でした
    • cognition社のAI software engineer devin
      • こちらもデモ動画を見る限りは数年後には実用化されるレベルのように感じた

AIが今後、どのくらいの速度、精度で成長するかはとても想像できませんが、仕事がなくなるーなんて憂いていてもしょうがないので、しっかりと情報をキャッチアップしつつ、今はまだ代替が難しそうな上流工程へのシフトを狙うのが良さそうです。

SIerで働く人の分析

ここまで企業を分析してきて、ビジネスモデルに問題はあれど、実際に需要はあり、ビジネスとして成立している歪な関係性が見えてきました。
IT人材の7割はこのSI業界に所属しているとも言われています。なぜ人が集まるのか、働く人のメリットやデメリットについて分析したいと思います。
ただ、本当に現場次第なところがあり、一概には言えないですが、一般的に言われていて、私もそう感じる部分を挙げてみます。

SIerで働くポジティブな要素

  • 色々な技術、サービスに触れることができる
    • Web系企業の場合、複数事業を持つような大企業でないと、いろんな経験を積むことは難しい
    • 色々な企業、チームを経験する中で、良いものは残し、悪いものは捨てることで、確実に成長することができる
    • 素早く業務情報をキャッチアップし、戦力として立ち上がるスピードが鍛えられる
    • 環境を転々とすることで、コミュニケーションの幅が広がる
  • 技術に集中できる
    • 自社サービスを持つ企業であれば、そのサービスの仕様把握、ビジネス領域の勉強が必要
    • もちろんSIerも顧客のビジネス理解は重要であるのだが、開発に必要な範囲を効率よく学び、メインは技術的な領域に集中することができる
  • 障害対応
    • これは受託開発でその後の保守など担当している場合は全く当てはまらないのだが、SESで一緒に開発をしている場合、休日の監視当番や、夜間の障害時電話番などにSESのエンジニアが入ることは少ない
  • 法定労働時間など法令遵守意識が高い
    • 当たり前と言えば当たり前なのですが、数十年前のIT業界は酷かったとよく聞く
    • 会社にもよるのかもしれませんが、上場企業であれば特にそのあたりの意識は高そう
    • 無茶な長時間勤務などはほとんど見なくなってきている

やはり、SIerは技術を持って課題解決を行うプロであるという意識の醸成、それによって能動的に勉強しようと思えるような文化、組織の雰囲気作りが鍵になりそうです。

SIerで働くネガティブな要素

  • 配属ガチャがある
    • メリットでも触れた通り、どこに配属されるかによって、得られるスキルが全く変わってくる
  • 全体的にスキルが低い
    • 色々な技術を触れられる代償として、広く浅くになりがち
    • 深い知識を得る前に次から次へと業務が変わることもしばしばある
    • 逆に数十年同じレガシーシステムの保守などに従事し、ほぼ詰み状態になってしまうことも
    • 人がたくさんいる分、なんでこの人は会社にいるのだろうと思うような強強エンジニアも稀にいる
  • 言われたことしかやらない、向上心がない
    • この辺もよく言われる話だが、人による部分が大きい
    • ただ、Web系企業に比べてそうゆう傾向があるのは間違いないと思っていて、実際勉強会などに参加すると何かしらの自社サービスを持った企業所属である場合が多い
  • アウトプットできるネタが少ない
    • 顧客のシステムを扱うため、業務情報に対する保護意識は非常に高い
    • 技術ブログや勉強会への登壇ネタに関しても、個人開発した内容か、せいぜい業務で扱った一般的な技術スキルに関するもののみとなる
    • Web企業の社員であっても、なんでもかんでもアウトプットできるわけではないので、そこまでSIerの特徴とは言えないのかも
  • 薄給
    • 前述した多重請負構造による影響
    • ビジネスモデル的にも、顧客から貰う単価が上限となり、突き抜けることは難しい
  • 残業が多い
    • プロジェクトによるが一般的にそう言われることが多い
    • 無茶な受託開発によって短かい納期に追われることが以前は多かった
    • 派遣とかだとそれがビジネス貢献になるというのが一番やばい
  • 帰属意識が低い
    • 特に派遣、SESでは客先常駐も多く、そうなりがち
    • そもそも、常に顧客のシステム開発を行い、会社から何もサポートがなければ帰属意識など生まれるはずもない
  • 技術力のない経営陣、管理職
    • 会社によると思うが、傾向としてあると思う。そして高齢化している
    • イキイキと幸せそうな管理職をあまり見たことがない
    • 管理職になると、人材管理がメイン業務となり、技術のキャッチアップが疎かになる傾向がある
    • いまだにハンコ文化や紙の事務作業がたくさんある
    • 原則スーツ等、技術に関係のないルールが多くなりがち
  • 優秀な人材ほど抜けていく
    • 現状に危機感を持って、Web系企業へ転職する人が多発する
  • キャリアパス
    • 管理職になると、現場から離れ、オワコンになる危機感
    • 管理職の罰ゲーム化
  • 世間のSIerに対するイメージが良くない
    • Google検索で「SIer」と入力すると、高確率で「やめとけ」とサジェストされる
    • Xでは元SIerと思わしきアカウントがSIerに対するあらゆる不満やネガティブな情報を罵詈雑言を添えて発信されている
    • YoutubeなどでもSIerに関する動画はたくさん上がってますが、総じてポジティブな要素よりもネガティブな要素の方が多いです
    • エンジニア御用達の日経コンピュータの連載「木村岳史の極言暴論」では、定期的にSIerに対する愛ある叱咤激励が書かれている

やはり多いですね。特に最後の世間のイメージは、働くモチベーション低下にも繋がるのでなんとかしたいところです。
ただ、総じて昔に比べれば改善傾向にあるので、少しづつSIerの経営層の意識も変わってきているのだと思います。

SI企業、経営者側の考えを考察する

生存戦略を考えた後、その戦略に沿って動けるかどうかは、経営陣の心を動かせるかに掛かっている。
頭ごなしに否定するのではなく、考えを理解した上で歩み寄ることも大切なのだ。

  • 優秀な人から抜けていく状況に危機感を持たないのか?
    • 冷静に考えるとビジネスモデル的に、人が重要であって、優秀な人である必要はそこまでない
    • 今までもそうやって回してこれた実績がある
  • 売り上げ目標はあるが、具体的な施策はない
    • 世間で言われるようなこうすべきという施策は、大抵のSIerでも掲げていることがほとんど
    • しかし、具体的な施策案はなく、ロードマップも長期スパンで、定量的な目標は設定していないことが多い
    • 結局のところ現状維持でもそれなりな業務量が見込めるので、下手にリスクを取りたくない

んービジネスモデル分析の段階で薄々気づいてましたが、色々とビジネスについて考えられ、洗練された結果、一番安定的に売り上げを上げる戦略が今の形になっているとも言えそうです。
経営層の高齢化も相まって、短期的なスパンでの売り上げ中心で考えているので、現状のビジネス戦略から脱却させるほどの経営判断に繋がるような大きな施策が打たれないのかもしれません。

これからの生存戦略について

お待たせしました。ようやくここからが本題です。
まずはSIerの未来について、よく語られる話を挙げておきます。

あるあるな戦略

  • サービス型への事業転換
    • やれればこれほど素晴らしいことはない一手ですが、今まで人月商売しかやってきていない中堅独立系SIerにとってはとても難易度の高い挑戦となる
    • 現状のままでもそれなりな業務量は見込めている状況で、そんなリスキーな戦略に大きな投資をしようと考える経営者はいない
    • そんなアイデアとビジネスセンスを持っている人材ならば、真っ先に転職なり起業なりしてそう
    • 投資体力のある大手SIerや、既に得意な領域があって、普段の業務の延長線上にサービスのアイデアがあるようなSIerで現実的な候補になりうる戦略であって、中堅のこれといって特徴のない独立系SIerには当てはまらない
  • オフショアを使っていく
    • 多重請負構造の下層が海外に変わっただけで、日本のITの未来がよくなるビジョンは想像しづらい
    • 委託する側としても、今よりも言語や文化の違いによるコミュニケーションコスト、ストレスが高まって、技術者としてのモチベーション維持が大変そう
  • 何か専門性を持って進めていく
    • 学習範囲を絞れるメリットとその先にサービス型ビジネスを見つけられる可能性はあれど、顧客も絞ることになるのでこれもリスクが高そう
    • 色々経験できるというメリットを失ってしまう

本気で考えた生存戦略

  • 長期スパンで危機的な状況になり得ることを訴えかける
    • ますます深刻化する人材不足
    • 世間のイメージが悪ければ、新人採用がさらに難しくなる
    • そのまま人の流出も加速し、SIer企業の財産である人材が減っていき、イコール会社の衰退に繋がる
    • 今から少しずつでも手を打っていく必要があるんだと理解させる
  • 生存の鍵は技術力にあり
    • 最新の開発技術、スクラムのようなアジャイルな開発手法、最新のアーキテクチャトレンド、クラウド技術、ドメイン駆動などのモデリング設計、QAエンジニアにも劣らないシフトレフトなテスト駆動開発、などなど
    • SIerは技術のプロ、プロの技術による課題解決集団であるという意識作り
  • 教育制度の充実
    • 具体的には開発を支援するような精鋭組織を作って、最新技術のキャッチアップやトレンド調査を行う
    • 社内システム等をターゲットにして、トレンドに沿ったシステム開発をライブで公開し、いつでも社員が参照できるようなサンプルプロジェクトをたくさん用意する
    • 狙いとしては知識の集約、社員間コミュニケーションの増加である
    • 勉強会参加や書籍購入、資格獲得の支援
    • 合わせて、社内システムであれば惜しみなく社外への情報発信や、社外勉強会への登壇ネタにも使えるはずなので、ポジティブな露出を増やす
    • 帰属意識の向上にも寄与するはず
  • 上流工程へのシフト
    • アーキテクト、ドメイン駆動のモデリング、スクラム開発
    • AIに取って代わられるのではなく、AIを駆使しつつ、人間の方が得意な領域へシフトする
  • 職能制度
    • 獲得した技術力に対して、適切な評価・報酬を与える
    • 報酬の差別化、何もしないで給料が上がって行ったり、年功序列でスルスルと上がってしまうような組織作りは辞めよう
    • 顧客含め、できれば相応の技術を持った人材には相応の報酬を与えてほしい
  • スキル獲得や社外への露出によって、地道にSIerのイメージ向上を狙う

最終的に、企業、社員、顧客がWinWinWinな関係を作れれば良いわけで、その点で企業が技術の基盤/教育を提供し、社員はそれを受けて業務を通して売り上げを計上し、顧客は確かな技術提供が受けられてみんなハッピーというわけですね。

はい、もちろん一朝一夕で実現できるとは思っていません。
が、少しずつでも経営層の危機感を煽り、技術獲得へ投資する一助になればこれ幸いということで。

SIerで働くイチエンジニアが今からでもできること

  • 我々は技術で課題解決をするプロであることを自覚し、誇りを持とう
  • 無理のない範囲で勉強会やカンファレンスに参加しよう
    • ほんとに楽しいよ! JJUG, OOC, AWS Summit, 吉祥寺.pmなどなど・・
    • オンラインでも全然OK
  • 技術系のYoutubeやPodcastを視聴してみよう
    • 最初は「ゆるコンピュータ科学ラジオ」あたりが楽しく聴けるのでおすすめ
  • 技術のキャッチアップが楽しくなってきたら、テックブログや技術書籍にもチャレンジしてみよう
  • ここまでくるとアウトプットしたくてしょうがなくなってくるので、Qiitaへ寄稿したり、ブログを書いてみたり、個人開発するのも良いと思います
  • そうゆう流れが加速することで、エンジニアはWinを提供した。次は会社がWinを返す番だ と迫ることができるはず
  • もしWinを返してくれなくても安心してください。きっとあなたは既に市場で通用する魅力的なスキルを得て、もっと良い会社からオファーが来るはず・・

終わりに

いかがだったでしょうか。
結局、ビジネスモデルの根幹を変えるような案は出ませんでしたが、少なくとも何もしないよりはSIerとしての価値を理解してもらいやすい会社になったのではないでしょうか。
また、何より自分が誇りを持ってビジネスを拡大していきたいと思える組織のイメージを言語化できたのもよかったです。

この生存戦略は自分で直接会社に提出することはしないと思います。
現時点でイチ社員の意見に本気で耳を傾けるほど風通しの良い組織ではないですし、内心では数名の同意を得られてもすぐに実行に移せるようなチャレンジングな経営判断は難しいと思われます。

そこで私が考えた最後の戦略が、「風のたより作戦」です。
Qiitaに記事を書き、日本のIT業界の未来を憂いて激しい議論が行われ、それが世論となって経営層の耳に届くというシナリオ。
市場の動向には人一倍敏感なので、イチ社員から上がるより響くはずっ・・!!

いつの日かこの記事が会社に認知されて、会社のOrganizationでき、このアカウントがそのOrganization所属になれたら嬉しい事この上ないですね。

SIerの未来が良くすることで、少しは日本のITの未来が楽しく明るくなることを祈っています。

次回、
中堅独立系SIerで働くあなたへ、IT業界を生き抜く生存戦略を本気で考えてみた
お楽しみに!

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