はじめに
VirtualBox上のKali Linuxで、USB Wi-Fiアダプタを使ってモニターモードを有効にするまでの実体験を詳しくまとめます。この記事では、設定から基本的な使い方まで手順を追って解説します。
使用したWi-Fi子機
以下の製品を使用しました:
- 製品名:GOWENIC AR9271 USB ネットカード
- チップセット:Atheros AR9271(モニターモード・パケットインジェクション対応)
- 対応周波数帯:2.4GHz帯のみ(5GHz帯は不可)
🔎 モニターモードを使うには、対応チップセットを搭載したWi-Fi子機が必須です。代表例としてはAR9271, RT3070, RTL8812AUなどがあります。
VirtualBox環境での準備手順
1. Kali LinuxのVirtualBox版をダウンロード
- Kaliの公式サイトから
.7z
や.ova
形式のファイルをダウンロード。 - VirtualBoxを起動し、メニューの「ファイル」→「仮想アプライアンスのインポート」で
.ova
を読み込む。
2. VirtualBox Extension Packのインストール
- VirtualBoxの公式サイトから Extension Pack を入手。
- VirtualBoxで「ファイル」→「環境設定」→「拡張機能」を開き、Extension Packを追加。
3. USB設定でWi-Fiアダプタを有効化
- Kali仮想マシンの「設定」→「USB」からUSB 2.0または3.0を選択。
- 「+」マークでAR9271(または目的のデバイス)を追加。
4. Kali LinuxでUSBデバイスが認識されているか確認
lsusb
出力に Atheros Communications AR9271
が含まれていればOK。
5. ネットワークインターフェースの確認
ip link
wlan0
などが表示されていれば無線LANアダプタが認識されています。
6. モニターモードへ切り替える方法
方法①:iwconfigを使用
sudo ip link set wlan0 down
sudo iwconfig wlan0 mode monitor
sudo ip link set wlan0 up
方法②:aircrack-ngのairmon-ngを使用(おすすめ)
sudo airmon-ng check kill
sudo airmon-ng start wlan0
※ 終了するときは sudo airmon-ng stop wlan0mon
モニターモードでできること(例)
- 周囲のWi-Fiアクセスポイントの一覧を取得
sudo airodump-ng wlan0
- 特定のアクセスポイントに接続している端末を観察
sudo airodump-ng --bssid [BSSID] -c [チャンネル] wlan0
- DeAuthパケットを送信(例:自分のスマホのみ)
sudo aireplay-ng --deauth 10 -a [ルーターのMAC] -c [スマホのMAC] wlan0
注意点
- モニターモード中は通常のインターネット接続ができなくなります。
- 対象のWi-Fi・端末は自分の所有物に限定してください。
- 公共の電波や他人のアクセスポイントに対する解析や攻撃は違法行為です。
Kali Linuxでのモニターモードは、無線セキュリティ学習において非常に強力な機能です。正しく扱えばネットワークの理解が深まりますので、安全かつ合法的な範囲で活用しましょう。