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Railsアプリに秩序をもたらすGem、Trailblazerとは?

Last updated at Posted at 2017-09-15

ここ1年で、Trailblazerの認知度は急速に上がってますよね。
BestGemsで見てみるとここ1年でめっちゃ伸びてます。
スクリーンショット 2017-09-14 18.16.31.png
1月時点で6万4千DLだったのが、9月現在で既に15万を突破しているので、今年だけで倍以上のダウンロードですね…!
今回はそんな要チェックなGem、Trailblazerについて簡単に見ていきたいと思います。

Trailblazerとは

Trailblazerは、RailsやSinatraなどで綺麗にビジネスロジックを書くためのGemです。
ModelやControllerが肥大化してカオスになっているアプリケーションに秩序をもたらしてくれます。

…なのですが、「具体的に何をするGemなの???」ってことですよね。
Trailblazerは複数のGemから構成されています。今回は代表的なGemである OperationReformCellsRepresentable を見ていきたいと思います。

Operation

まずはOperationですね! いわゆるサービスクラスを作るためのGemです。
ControllerやModelなどから複雑なビジネスロジックを切り離し、サービスクラスとして記述できるようになります。
特徴的なのは、強力な処理フローの制御。ぐっちゃぐちゃなネストの深いControllerのアクションとは強制的におさらばさせられます。1
また、サービスクラスを記述する上での細かいマクロ群もあり、なかなか使いやすいと思います。

class User::Create < Trailblazer::Operation
  step Model(User, :new)
  step Contract::Build(constant: MyContract) # Formオブジェクトをビルド
  step Contract::Validate() # validationする
  step Contract::Persist() # modelにデータを反映して保存する
end

Reform

Reformは、いわゆるフォームオブジェクトを作るためのGemです。
Modelなどからフォームに関連する処理を切り離してくれます。

例えば、バリデーションであったり(Reformを使うとModelではなくフォームオブジェクトでバリデーションします)、accepts_nested_attributes_forのような複数のModelをフォームで表現するための処理などを書きます。
Modelの前にフォームオブジェクトが入ってくれるので、「ユーザ登録画面は利用規約のチェックが必要なんだけど、このバリデーションをUserモデルに書くのってどうなんだろう? :cold_sweat:」という悩みからも解放されますね!

module User::Contract
  class Create < Reform::Form
    property :name, validates: { presence: true, length: { maximum: 50 } }
    property :password, validates: { presence: true, length: { minimum: 16 }
  end
end

Cells

Cellsは、いわゆるビューモデルを作るためのGemです。Modelなどから表示用のメソッドなどを切り離せます。
例えば、ユーザの状態をstatusというpropetyに 数値 で入っている場合に、"有効""無効"という 文字列 で表現したい場合、その変換コードをCellに書きます。

「そんなのModelに書かずにHelperに書くよ」という方も多くいらっしゃるでしょう。
Cellの良い点は、Helperと違ってインスタンス化されたオブジェクトだという点です。一般的なRubyのオブジェクト指向としての利点、つまり「継承」「カプセル化」「ポリモーフィズム」などを扱えるようになります。
例えば、Cellsのクラスと特定のViewをセットにして自由に閉じた空間に置けるので、大きな空間を汚さない安心感2や可読性が得られると思います。

class BookCell < Cell::ViewModel
  property :author

  def show
    render
  end

private
  def author_link
    link_to "#{author.email}", author
  end
end

Representable

Representableは、ObjectをJSONやYAML、XMLに変換するためのGemです。3 逆にJSONからObjectに変換する機能もあります。
JSONを返すAPIを作る時にはModelの情報をJSON変換すると思いますが、to_jsonだけでは済まないこともしばしばありますよね。カラムとしては存在しないプロパティを出力するためにModelにメソッドを作ったり、数値を文字に変換する必要があったり。
そうした処理をModelに書くと肥大化していきますが、Representableを使えば切り離すことができます。

class UserRepresenter < Representable::Decorator
  property :id
  property :name, exec_context: :decorator

  def name
    "#{represented.first_name} #{represented.last_name}"
  end
end

ちなみに、ほかの用途としてAPIの仕様書やモックを作る時などにも使用できます。
RoarというGemがTrailblazerにありますが、こちらはRepresentableを内部的に使ってAPIのレスポンスをレンダーしたりパースしたりできます。
APIのクライアントも作れるGemなので、マイクロサービスを作ろうとしている方にはRoarも便利かもしれません(使ったことはないです :sweat_smile: )。

おわりに

Trailblazerはカバーする範囲が広いので「これをやるGemです!」となかなか言いづらいのですが、あえて言うなら「RailsのコードががスッキリするGem」という感じでしょうか。

Trailblazerでは今回紹介したGem以外にも様々なGemが使えますが、全てを使う必要はありません。
弊社では、JSONの変換ロジックをControllerやModelに書きたくないという課題感でRepresentableから使い始めて、しばらくしてOperationとReformを導入し、いまCellsを導入しているところです。
その間、普通に過去のコードも動いているので、じわじわと移行しています。特殊なテクニックを使わなくても、Trailblazer化していないコードと共存できる点は素晴らしいですね。

1つずつ使っても十分メリットありますので、皆さんも興味のある機能から使い始めてみてはいかがでしょうか。

参考

最近頑張って入門記事も書いたので(弊社メンバーと若干被りました :sweat_smile: )、実際に使ってみたいな、という方は以下リンクから是非。
Trailblazerは日本語記事がとても少ないので、ちょっとずつでも増やしていきたい所存です :thumbsup:

Trailblazerを使い、Railsのモデルの肥大化問題からサヨナラする :
OperationとReformのもう少し詳しい内容がまとまってます

Railsでサービスクラスとフォームオブジェクトを使ってサッと良い感じにする :
Railsチュートリアルのコードを使用して、実際にOperationとReformの導入を行います


  1. 次期バージョンの2.1では、さらに柔軟な制御ができるようになります! こうしたアップデートもTrailblazerの魅力です。 

  2. Helperがmix-inされる時のメソッド衝突の恐怖を経験した方もいるでしょう :scream:  

  3. いわゆるシリアライザー…なのかもしれませんが、シリアライザーというワードで思い浮かべるものに(世間的に)幅があるような気がします :thinking:  

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