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greple で「ですます調」を「である化」する

Last updated at Posted at 2021-06-06

greple -Msubst

greple は、その名の通り grep 系のツールだが、モジュールで拡張することができて、テキスト処理のフレームワークとして機能する。 subst モジュールは、辞書データに基づいて用語をチェックしたり修正したりするためのものだ。これについては、以前以下の記事で紹介した。

desumasu-converter

最近、シンプルな方法で日本語の「ですます調」と「である調」を変換するという記事を見かけたので、それを subst モジュールの辞書として実装してみた。内容については元記事をご覧あれ。

greple -Msubst::desumasu

単に変換するだけなら元のツールを使えばいいので、わざわざ別実装する必要はないのだが、subst モジュールが持つ編集や校正をサポートする機能が使えるようになる。また、元々 greple が持っている範囲指定の機能なども有効なはずだ。

ただ、正直なところ、このツールをそのまま実用に供することはあるまいとも思う。Word や textlint にも類似の機能はあるようだ。まずは、ほぼ互換の機能を実装してみて、ブラッシュアップするための叩き台としてみた。

--dearu オプション:「ですます部」を検索

--dearu オプションは「ですます調」を「である化」する。単独で使うと辞書にマッチする部分に色をつけて表示する。

スクリーンショット 2021-05-29 15.08.45.png

--dearu --subst オプション:「である化」

--subst オプションをつけると、マッチした箇所を「である調」に変換する。たまにおかしいところもあるが、概ね期待したように変換されている。サンプル文書だということもあるが、正直予想以上の結果だ。

スクリーンショット 2021-05-29 15.09.07.png

--all オプション:全体表示

greple は、デフォルトではマッチした行しか表示しない。ファイル全体を表示したければ --all を指定する。

スクリーンショット 2021-05-29 15.09.22.png

--diff オプション:差分出力

どのように修正されるかを見たい場合は --diff オプションを指定すると、差分を unified diff の形式で出力する。

スクリーンショット 2021-05-29 21.48.38.png

cdif:差分の強調表示

これではどこが変わっているのかわかりにくいので、たとえば cdif コマンドを通すと、こんな風に色を着けることができる。

スクリーンショット 2021-05-29 15.10.00.png

適用範囲の選択

たとえば引用文など、変換対象外にしたい部分がある場合、greple のオプションで指定することができる。

で囲まれた部分を除外したければ --exclude オプションに 『.*?』 というパターンを指定して、次のようにする。

greple -Msubst::desumasu --dearu --exclude '『.*?』'

対象部分が複数行に渡る可能性がある場合は (?s)『.*?』 とすれば . が改行文字にもマッチするようになる。

これ以外にも --inside, --outside, --include, --exclude オプションを組み合わせることで、様々な領域を指定することができるし、より複雑な構造を指定したい場合には、これらのオプションにパターンではなく関数を与えることもできる。

--overwrite, --replace, --create:ファイルの更新

問題がなければ、ファイルを修正してもいい。--overwrite オプションを使うと、ファイルの内容を変更する。--replace オプションでバックアップを作ったり、--create で別の名前で作ることもできる。

git で管理していればバックアップを作る必要はないし、あると却って散らかって邪魔だ。下の例では、ファイルを更新した後に git diff の出力を sdif を通して表示している。

スクリーンショット 2021-05-29 15.12.20.png

オプション

  • --dearu
    「ですます調」を「である化」する。
    • --dearu-n
      「ね」を削除しない。
    • --dearu-N
      「ね」を無視する。
  • --desumasu
    「である調」を「ですます化」する。
    • --desumasu-n
      「ね」を削除しない。
    • --desumasu-N
      「ね」を無視する。

インストール

~~CPAN には当面リリースする予定はないので、~~インストールは以下の git リポジトリからお願いします。

cpanm https://github.com/kaz-utashiro/greple-subst-desumasu.git

[2022-04-22 追記]
CPAN にリリースしたので、こちらも利用可能です。

cpanm App::Greple::subst::desumasu

git リポジトリ

今後の計画

subst モジュールの辞書は、正誤両方にマッチするパターンに対して、期待する言葉を登録するものだ。現状の DESUMASU 辞書はそのような形になっていないので、作り直す可能性はある。それも、この実装をどのように実用化するかによる。要望等あれば、ここの質問や github の issue でどうぞ。

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