はじめてのCAD入門
目次
- CADってなんだ?
- CADの歩み
- 2Dと3D、どっちがどっち?
-
CADソフトでできること
- スケッチ&ドラフティング
- モデリング
- アセンブリ
- 図面化
- 解析
- データ管理
- 代表的なCADソフト
- ファイル形式の話
- CADを使うメリット
- 上達へのロードマップ
- まとめ
CADってなんだ?
CAD は “Computer-Aided Design” の略である。
ざっくり言えば「設計を PC でやっちゃおうぜ」というツール群だ。
手描きの図面より 正確、速い、直せる ― これが強み。
建築・機械・電気・土木・アパレル… とにかくモノづくり系ほぼ全部で使われている。
何が嬉しい?
- 精度がバチっと決まる → 寸法ミスが減る。
- 時間が短くなる → テンプレやコピペで爆速修正。
- データ連携が楽 → 解析ソフトや製造ラインとそのままつながる。
CADの歩み
年代 | トピック |
---|---|
1960s | MIT の Sketchpad が「最古の CAD」として登場。 |
1980s | PC 向け 2D CAD(AutoCAD など)が広まり始める。 |
1990s | 3D ソリッドモデリングが本格化(Pro/ENGINEER, SolidWorks ほか)。 |
2000s | CAE/CAM と統合、クラウドの芽が出る。 |
2010s | サブスク型&リアルタイム共同編集が当たり前に。 |
2Dと3D、どっちがどっち?
項目 | 2D CAD | 3D CAD |
---|---|---|
表現 | 平面・断面の線画 | 立体モデル+材質情報 |
メリット | 学びやすい/軽い | 直感的/解析や CAM が楽 |
デメリット | 立体感が伝わりにくい | PC スペック要求↑/習得コスト↑ |
主な用途 | 建築平面図・配線図 | 機械部品・BIM・家電デザイン |
CADソフトでできること
スケッチ&ドラフティング
線・円・矩形などを寸法拘束付きで描く。修正しても寸法が自動調整されるのでラク。
モデリング
- ソリッド: 押し出しとかで“肉厚”のある形を作る。
- サーフェス: 自由曲面をグニャッと。車のボディとか。
- パラメトリック: 寸法を数式で管理、あとから値を変えてもモデルが追随。
アセンブリ
複数部品を組み付け、ジョイント拘束で動きを確認。干渉チェックもここでやる。
図面化
3D から投影図・断面図を自動生成 → 寸法・注記・部品表(BOM)を載せて完成。
解析
構造(FEM)、流体(CFD)、熱… 試作前に強度や流れをシミュレーション。
データ管理
PDM/PLM とつながり、バージョンや権限を一元管理。チーム設計には不可欠。
代表的なCADソフト
分野 | 2D | 3D |
---|---|---|
汎用 | AutoCAD, DraftSight | SolidWorks, Inventor, Fusion 360 |
機械 | — | CATIA, Creo, Siemens NX |
建築 | AutoCAD LT, JW-CAD | Revit, Archicad, Vectorworks |
無償/OSS | LibreCAD | FreeCAD, Blender(モデリング用途) |
💡 クラウド派 は Fusion 360 や Onshape が手軽でコラボ向き。
ファイル形式の話
- DWG/DXF: AutoCAD 系の鉄板フォーマット。
- STEP (ISO 10303): CAD 間の共通語。中立で安心。
- IGES: ちょっと古いけど曲面保持に強い。
- STL: 3D プリンタ用メッシュ。寸法は持たないので注意。
- ネイティブ: SolidWorks なら *.sldprt 等、ソフト固有の形式。
CADを使うメリット
- 品質↑ - 解析で事前にミス潰し。
- リードタイム↓ - パーツ流用&パラメトリック修正で手戻り激減。
- コスト↓ - 試作を減らし材料ムダもカット。
- 連携◎ - 製造・購買・営業が同じデータを見て話が早い。
上達へのロードマップ
- 操作慣れ: マウス・ビュー操作&簡単スケッチ。
- チュートリアル: 公式サンプルで部品を作る。
- 小型プロジェクト: 実機に近いモノをまるっと設計。
- 解析&図面: CAE→図面まで一気通貫。
- ベストプラクティス: 命名規則や履歴構成で“変更に強い”モデルに。
🚀 ポイント: “速さ”より“後から直せる構造”を優先すべし。
まとめ
CAD は今や設計の必需品である。
2D から 3D、オンプレからクラウドへと進化し続け、解析や製造ともシームレスにつながる。
まずは無償版や学習ライセンスで触り、自分のペースでスキルを積み上げよう。
「描いて終わり」じゃなく「変更に強いモデル」を意識すれば、実務でもガンガン活躍できるはずだ。