はじめに

Webアプリケーションでよく見かける「追加」ボタンを押して新しいフォームを作成する機能。
ユーザーは追加後、すぐに入力を始めたいはずです。しかし、マウスやTabキーで入力欄を選択するのは手間がかかります。

この記事では、フォームを追加したら自動的に入力欄にフォーカスが移動する機能の実装方法を紹介します。

修正前(フォーカスが当たらないためフォームの入力が難しい)

修正後(フォーカスが当たるためフォームの入力が簡単)

こんな課題を解決します

フォームを追加したら、マウス操作なしですぐに入力を始めたい
画面が自動でスクロールして、追加したフォームが見えるようにしたい

実装のステップ

1. 基本的な準備

まずはフォーム要素を管理するための基本的な実装から始めます

const FormListExample = () => {
  // フォームのリストを管理（各フォームにユニークなIDを付与）
  const [forms, setForms] = useState([{ id: crypto.randomUUID() }]);
  
  // DOM要素への参照を保持
  const formsRef = useRef({});
  // 要素数の変化を検知するための参照
  const formsLengthRef = useRef(forms.length);

  // ...他の実装
};

2. 要素への参照を管理

フォーカスを制御するには、DOM要素への参照が必要です

// 要素への参照を管理するための関数
const setFormRef = useCallback((id, node) => {
  if (node) {
    formsRef.current[id] = node;
  } else {
    delete formsRef.current[id];
  }
}, []);

3. フォーム追加時のフォーカス制御

フォームが追加されたときの処理を実装します

useEffect(() => {
  // 初回レンダリング時は処理をスキップ
  if (formsLengthRef.current === 0) {
    formsLengthRef.current = forms.length;
    return;
  }

  // フォームが追加された場合
  if (forms.length > formsLengthRef.current) {
    const lastId = forms[forms.length - 1].id;
    const lastElement = formsRef.current[lastId];
    
    if (lastElement) {
      // 追加されたフォームが見えるようにスクロール
      lastElement.scrollIntoView({ behavior: 'smooth', block: 'center' });
      
      // 最初の入力欄にフォーカスを設定
      const input = lastElement.querySelector('input, select, textarea');
      if (input instanceof HTMLElement) {
        input.focus();
      }
    }
  }

  // 現在の要素数を更新
  formsLengthRef.current = forms.length;
}, [forms]);

実装のポイント解説

1. なぜ参照（ref）を使うのか

DOM要素への直接アクセスが必要
状態更新による再レンダリングに影響されない
要素の追加に柔軟に対応できる

2. フォーカス制御のコツ

querySelectorで適切な入力要素を選択
複数の入力欄がある場合は、最初の要素を選択
スクロール後にフォーカスを設定することで、視認性を確保

3. スクロール制御のポイント

scrollIntoViewのオプション設定が重要
- behavior: 'smooth'でスムーズなスクロール
- block: 'center'で要素を中央に表示

まとめ

とても使いやすくなったと思います。
些細な部分ではありますが、このような部分もこだわった機能を実装していくことがよりユーザーファーストなサービスを作成する意識が芽生えると思っています。
引き続き頑張ります！