法人番号とは
日本の「法人番号」は俗にマインナンバーの企業版とも言われる13桁の番号で,既存の「会社法人等番号」12桁に対して左側にチェックディジット(検査用数字)をつけたものである.マインナンバー法で導入された.
「平成二十六年財務省令第七十号 法人番号の指定等に関する省令 (E-Gov)」でチェックディジット定義されているが,会社法人等番号から法人番号を算出しようとして失敗し,この定義に誤りがあることを見つけた.2018年に確認したが2022年3月現在の今に至るまで修正されていない.
誤 (現行)
(検査用数字を算出する算式)
第二条 令第三十五条第一項に規定する財務省令で定める算式は、次に掲げる算式とする。
算式
9 - \left( \sum_{n=1}^{12} P_n \times Q_n を9で除した余り \right)
算式の符号
Pn 令第三十五条第一項に規定する基礎番号の最下位の桁を1桁目としたときのn桁目の数字
Qn nが奇数のとき 1、nが偶数のとき 2
正
(検査用数字を算出する算式)
第二条 令第三十五条第一項に規定する財務省令で定める算式は、次に掲げる算式とする。
算式
9 - \left( \left( \sum_{n=1}^{12} P_n \times Q_n \right) を9で除した余り \right)
算式の符号
Pn 令第三十五条第一項に規定する基礎番号の最下位の桁を1桁目としたときのn桁目の数字
Qn nが奇数のとき 1、nが偶数のとき 2
解説
正誤の違いは算式の中の括弧がどうかかるか.
現行の財務省令の算式ではシグマの中身に
P_n \times Q_n を9で除した余り
が入っているとしか読めない.とりわけシグマの前後につけられた括弧は強くそのような解釈を誘導する.しかしこれによって計算するとチェックディジットが一桁におさまらず,上位の政令で定義されている「一桁」という情報と矛盾する.
実際には,国税庁の説明資料 チェックデジットの計算 (PDF) などの補足資料からすると,シグマの中身はPn × Qn であって,それをシグマした後に「9で除した余り」を算出するという定義をしたかったのだと考えられる.
関係法令
- 法律(国会)行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 (マイナンバー法)
- 政令(内閣)行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令
- 省令(財務省)法人番号の指定等に関する省令