音出してますか!?
グレンジのサウンドクリエーター/サウンドデザイナーのかわのです。
よく聞かれることの一つとして
「曲ってどうやって作ってるの?」
というものがあります。
※DAWの使い方とかミックスの方法とか技術的な話はないです。考え方の話です。
ここでは例として「クエスト中に流れるBGM」を作成するとします。
主にメロディを中心として聴き、楽曲そのものを楽しむポップスとちがい、ゲーム音楽は状況を説明、補足、強化するのが目的なことが多いです。
まず必要なものは情報です。
プランナーさんやイラストレーターさんから登場キャラやステージのお話を聞きます。
可能な限り直接会って話します。ほぼ雑談レベルですが、経験上、文言以上に依頼する人の熱量や想いがアウトプットに影響します。
イラストやアニメーションは情報として最強です。
どんなキャラが登場するのか?舞台は?時間帯は?
など、すべてが材料になります。
イメージに近い楽曲(参考曲、リファレンス)などがあればそれも情報としては助かります。
次に必要なものは使用する楽器です。
設定やイラスト、参考曲などから世界観やキャラクターを表現できる楽器を決めます。
世の中、さまざまな楽器がありますが、それぞれに得意とする表現の分野があり、それらを使い分けて楽曲を構成します。
わかりやすいところでいうと、和の世界を表すために太鼓や三味線、篠笛、神楽鈴などを用いる、などです。
楽器が決まって、イラストがあるとなれば、半分はできたようなもんです。
イラストを睨めっこしながら、もらったイメージを反芻し、使用楽器をどう使うか考えます。
でそれを録音したり、音源を打ち込んだり、ミックスしたりすれば完成です。
たぶん、一番難しいのは
感情を音に変換する部分だと思います。
「悲しい」をなんの楽器で表すのか、ピアノなのか、アコギなのか、バイオリンなのか。
キーは?テンポは?フレーズは?
アコースティックギターをポロポロと爪弾く。大体の人は悲しいイメージを持つと思います。
でも、絶望ほど悲しくはない。寂しいイメージにも通ずる。
郷愁を感じる人もいるでしょう。
「アコギでマイナーキーのアルペジオを弾けばほとんどの人が悲しさを覚える」
同じように、力強さを表現するためにラウドなドラムを使用する、ホルンで旋律を取る、などなど。
そういった引き出しをどのくらい持ってるかが表現の幅になると思います。
「ゲームのBGMってどうやって作ってるの?」
簡単にいうと
妄想して、それを形にする
って感じです。
独りよがりの妄想ではなく、先ほどの和楽器の例のように、いろんな人が共感できるようなものが良いです。