音出してますか!?
グレンジのサウンドクリエーター/サウンドデザイナーのかわのです。
本日は箸休め的なコラムっぽいお話を。
「ゲームサウンドの鳴らし方」とありますが、ゲームサウンドはどんな曲か、どんな音かといった中身より、どうやって鳴らされるのかに最大の特徴があると思っています。
そして、その一番の要因は「インタラクティブ性」、簡単にいうとプレイヤーによって状況がさまざまということです。
ゲームサウンドの鳴らし方1 「ループ曲」
プレイヤーによって状況がさまざまと言っても、マルチエンディングとかシナリオ分岐とかそういう話では無く、ひとつのステージをクリアする時間、もっと言えばどのタイミングでどのボタンを押すかまでプレイヤーによって違うわけです。
例えば戦闘が30秒で終わる人もいれば、5分かかる人もいる。
制作側が3分あれば終わるだろうと思って、3分で終わる曲を作った場合、5分かかる人は途中で曲が終わってしまうわけです。なので、始まりと終わりがつながった、ループするように楽曲を制作します。
これが、映画やドラマの場合、尺が決まってるので、場面に合わせて盛り上がりを作り、その場面が終わると同時に曲も終わらせることができます。
状況によってBGMが変化するインタラクティブミュージックと呼ばれる手法もありますが、それも基本、ループする曲とそれを繋ぐパートで構成されています。
ループ曲というのはゲームならではの文化なのかなと思います。
ゲームサウンドの鳴らし方2 「同時発音数」
言葉を補えばわかりやすいですが、
「同時」に「発音」できる「数」
です。
同じ敵が100匹いて一度に同じ攻撃をした場合、それに対応した効果音が100個同時になることになります。
「そんな状況ないでしょ」と思うかもしれませんが、ゲームの状況はプレイヤー次第。
増殖や召喚する敵を面白がって画面を埋め尽くすまで増やすプレイヤーがいてもおかしくありません。
100個同時になるとどうなるか。
シンプルに音が100倍の大きさになります。だいたいの場合歪みます。
ものによっては処理能力がオーバーして、他の音、例えばBGMが鳴らなくなります。
なんにせよ没入感を損なう、良いとは言えない状況ですね。
そのため、同時に発音できる数を制限するわけです。
足音、銃などの発射音や着弾音、被ダメや与ダメの音など、たくさん鳴る可能性のあるものは制限をつけておくと安心です。
また、人間は大抵の場合一度に一つしか言葉を発することができません。
なので、ボイスはキャラクターに対して、同時発音数「1」で常に制限しておくとこれまた安心です。
まとめ
今回は二つだけですが、ゲームサウンドならではの鳴らし方は他にも色々あります。
ゲーム遊んでる方からすれば言われてみれば当たり前の内容だと思いますが、実際にサウンドを実装する際、これらは当たり前すぎて忘れられることも多いです。
かと言って、一つ一つ見て聞いて、もなかなかに大変ですし、コツのいる作業が多いです。
この記事では、
「ゲームていうのはプレイヤーによってさまざまな状況になるよー。だから、音の鳴らし方には少し工夫が要るよー」
↑だけ覚えてもらって、あとはサウンド担当にお願いしてみましょう。