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PythonをAlpineイメージで安易に動かす問題点

Last updated at Posted at 2021-07-28

サマリ

事象①:異常にビルド時間がかかる😨

起きたこと

Dockerイメージのビルドにメチャクチャ時間がかかりました。
ビルドのログを眺めていると、gRPC関連ライブラリ1pip install30分程時間を要しているのが確認できました🤔

原因

前述したこちらの記事に答えがありました。
Using Alpine can make Python Docker builds 50× slower

Standard PyPI wheels don’t work on Alpine

簡単にまとめると、

  • PyPIにはC拡張ライブラリのバイナリがホストされている(なのでpip installで素早くインストール可能)
  • ただしこのバイナリはAlpine非対応のため使えない。Cコードをイチからコンパイルする必要アリ

ということです。
通常のライブラリならAlpineでも問題ないですが、C拡張ライブラリの場合は毎回一生懸命コンパイルすることになり、結果として鬼のようにビルド時間がかかってしまっていたわけです。

こちらの記事にも同様の説明がありました。

PyPIはLinux向けにはmanylinux1という形式でバイナリを提供しており、DebianでもRedHatでも高速にインストールできます。しかし、この形式はAlpineには対応していないため、C拡張を使うライブラリを使うと、Dockerイメージのビルド時間が伸びまくってしますわけです。

それでも、どうしても、PurePythonで処理速度はどうでも良い/お金がたくさんある、あるいはC拡張を使う場合でも人生を犠牲にしてでも、イメージサイズをどうしても減らしたいみたいな選ばれし者はAlpineを使う感じでしょうかね。

事象②:Segmentation Faultが起こる😨

起きたこと

AlpineイメージのPythonをCloud Runにデプロイし遊んでいたのですが、Uncaught signal: 11なるエラーを吐きCloud Runくんが昇天することが多発しました。
Uncaught signal: 11Segmentation Faultを表しています。
余談ですが、厄介だったのは、ローカルでは再現しなかったことと、Cloud Run上でも数回に一度しか再現しなかったことです。

原因

muslのスレッドのスタックサイズに問題があったようです。

thumbnail
golang binary hacks

・muslはスレッドに対して極端に少ないスタックを割り当てる
(中略)
・Ruby・Python含む様々なプロジェクトがmuslのスタックオーバーフローに辛酸を舐めさせられている

スタックオーバーフローはセグフォの一因になり得ますのでこちらの影響を受けた可能性が高いです。

結論

余程のことがない限りPythonならAlpine以外を使用しましょう。
(補足ですが、使い方に依ればAlpineイメージでもPythonは問題なく動きます。全てを否定するわけではありません🙅‍♂️)

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