1. はじめに
physics パッケージって結局どう便利やねんということでまとめてみました。
\begin{document}の前に\usepackage{physics}を記述することを忘れずに。
2. ()、[]、{}など括弧の大きさを調整する(left rightより簡単)
例えば分数全体を()で囲みたい時、
\begin{align}
(\frac{a}{b})
\end{align}
と書いても、
\begin{align}
(\frac{a}{b})
\end{align}
となるだけです。括弧の大きさを変えたければ、
\begin{align}
\left(\frac{a}{b}\right)
\end{align}
\begin{align}
\left(\frac{a}{b}\right)
\end{align}
と\left( \right)で挟めば言い訳ですが、数式が長くなるとコードがごちゃごちゃして見にくくなり、タイプミスに繋がります。
しかし、\qty()コマンドを以下のように使えば、
\begin{align}
\qty(\frac{a}{b})
\end{align}
\begin{align}
\left(\frac{a}{b}\right)
\end{align}
と簡単に調整できます。[]で囲みたい場合は\qty[]と記述すれば大丈夫です。また、絶対値やノルムにも対応しています。
3. ベクトル表記
\vb*{a}
と記述することでベクトル表記になります。
4.ベクトル解析
\grad{a}
\div{a}
\curl{a}
\laplacian{a}
と書くと、
\begin{align}
&\nabla a\\
&\nabla \times a\\
&\nabla ・ a\\
&\nabla ^{2} a\\
\end{align}
と表示できます。単に$\nabla$だけ表示したい場合は、\gradと記述しましょう。
5.微分、偏微分
微分を表示させたい時少し面倒です。dはローマン体、関数などはイタリック体で書きますよね。
\begin{align}
\frac{{\rm d}y}{{\rm d}x}
\end{align}
このように書けば、
\begin{align}
\frac{{\rm d}y}{{\rm d}x}
\end{align}
と表示されます。ですがいちいち{\rm }を書くと{ }が多くて見にくいです。そんな時、\dv{}{}コマンドを使いましょう。
\begin{align}
\dv{y}{x}
\end{align}
このように書けば、先程と全く同じものが出力されます。
では、
\begin{align}
\frac{{\rm d}}{{\rm d}x}
\end{align}
などはどう記述すればいいでしょうか?簡単です、
\begin{align}
\dv{x}
\end{align}
と書けば大丈夫です。
\begin{align}
\frac{{\rm d}^{2}y}{{\rm d}x^{2}}
\end{align}
これはどう書けばいいでしょうか。これは
\begin{align}
\dv[2]{y}{x}
\end{align}
と書けばいいです。それでは偏微分はどう書きましょう?これは、\dvではなく、\pdvと書けばいいです。
余談ですが、LeTeXを使い始めて半年くらいにこのパッケージの存在を知ってから、手を合わせて感謝こそしたものです。
6. 例:2から5の合わせ技
極座標表示のシュレーディンガー方程式はこのように表されました。
\begin{align}
-\frac{\hbar}{2m}\left\{ \frac{1}{r} \frac{\partial^{2}}{\partial r^{2}}r+\frac{1}{r^{2}\sin\theta}\frac{\partial}{\partial \theta}\left( \sin\theta \frac{\partial}{\partial \theta}\right) + \frac{1}{r^{2}\sin^{2}\theta} \frac{\partial^{2}}{\partial \phi^{2}} \right\}\phi(r)+V(r)\phi(r)=E\phi(r)
\end{align}
これを表示させるには通常、
\begin{align}
-\frac{\hbar}{2m}\left\{ \frac{1}{r} \frac{\partial^{2}}{\partial r^{2}}r+\frac{1}{r^{2}\sin\theta}\frac{\partial}{\partial \theta}\left( \sin\theta \frac{\partial}{\partial \theta}\right) + \frac{1}{r^{2}\sin^{2}\theta} \frac{\partial^{2}}{\partial \phi^{2}} \right\}\phi(r)+V(r)\phi(r)=E\phi(r)
\end{align}
と記述しなければなりませんが、physics パッケージを使うと、
\begin{align}
-\frac{\hbar}{2m}\qty{\frac{1}{r}\pdv[2]{r}r+\frac{1}{r^{2}\sin\theta}\pdv{\theta}\qty(\sin\theta\pdv{\theta})+\frac{1}{r^{2}\sin^{2}\theta}\pdv[2]{\phi}}\phi(\vb*{r})+V(r)\phi(\vb*{r})=E\phi(\vb*{r})
\end{align}
physics パッケージなしの生活は考えられませんね。手を合わせて感謝をする気持ち、分かりますよね。
7.量子力学(ブラケット等)
近日公開
8.行列
近日公開
9.参考資料