あるいは、WORDS の思い出。
William Whitaker 氏の [WORDS] (http://en.wikipedia.org/wiki/William_Whitaker's_Words) に出会わなければ、私はラテン語を勉強すること
はなかったかもしれない。
ラテン語の複雑な活用・屈折のパターンは、見るからにプログラムで解析でき
そうに見える。コンソールからWORDS を立ち上げて実際にラテン語
の単語を入力すると、たちどころにその原形や屈折・活用の解析結果を表示し
てくれる。ラテン語を読むとき、この機能は大変重宝した。
氏は米国空軍に在籍中は有名なプログラマであったらしく、Ada の開発に携わっ
ていた。WORDSは氏の退職後(退職時の階級は大佐)に作成された。そのため、
WORDSもまたAdaで書かれている。
コンソールでラテン語が解析できるため、その上に様々なスクリプトを書
いて、自分のUIを作ることができた。これを使って、Emacs のLookup に、
WORDS用の[エージェント] (https://github.com/lookup2/lookup2/blob/master/lisp/ndlatin.el) を作成し、
Emacsのバッファにラテン語原文を入れ、学習メモをはさみつつラテン語を読み
込んでいた。
氏は、2010年に [鬼籍] (http://www.legacy.com/obituaries/mywesttexas/obituary.aspx?n=william-whitaker&pid=147336402) に入られた。
しかし、氏のプログラムは未だに広くラテン語学習者に使われている。
一例を挙げれば、Macのラテン語辞書プログラム [Interpres] (https://sites.google.com/site/erikandremendoza/) もWORDSの上にUIをか
ぶせたものだ。アプリケーションフォルダの奥深く、
/Applications/Interpres.app/Contents/Resources/words
には、氏の開発した
コマンドラインツールがそっくりそのまま入っており、コンソールから呼び出
して利用することが出来る。
そのソースコードと Windows/Mac用の [バイナリ] (https://github.com/dsanson/Words/tree/master/binaries) は、Interpres の作者によって [github] (https://github.com/dsanson/Words) に公開されている。