投稿した理由
私は大学で線形代数を聴講しました。そのテスト対策と同時にプログラミングや理系の分野で重要な概念である線形代数について意味がわかる線形代数を参考にまとめてみようと思ったのです!(qiita投稿もエンジニア志望としてやってみたかった。)本記事は時間のない大学生がテスト対策に追われながら作成したため簡潔でわかりやすくなっているはずです?私自身、定義や難しい説明を読んでも頭に入ってこなかったので抽象的な定義ではなく具体例を示しました。
線形代数とは?
まず線形は直線を意味し、代数とは数をx、yなどで置き換える考え方のことをいいます。
つまり線形代数とは一次式を扱う代数の学問です。
線形代数を学ぶ意義
携帯電話の通信技術、CDの読み取りには伝える情報を訂正する誤り符号訂正理論というものがあり、「線形空間」の概念が使われています。他にも画像圧縮技術に「固有値」、コンピュータグラフィックスには「基底の取替え」の概念が応用されています。言ってしまえば2つ以上の変数を扱う分野では必ずといっていいほど出てきます。
行列
3x + 2y = 2 \\
2x - 2y = 3 \\
上記の式を解くのに中学校では加減法を習いました。二つの式を足すだけでx=1が求まります。
しかし、この方法、xとyの列でそろえれば係数のみで成立しますよね?そこで行列です!
\begin{pmatrix}
3 & 2\quad|2 \\
2 & -2\quad|3
\end{pmatrix}
線形代数では掃き出し法を使います。その前に基本的な計算を知っておきましょう。
行列の和と積
行は行列における横、列は縦です。行の右側のテのような部分に横の隙間があり、列の部首である「りっとう」に縦の隙間があるので最初はそれで覚えるのが良いかと思います。
行列の和は2×2や、3×3などの同じ大きさの行列同士でしか成立しません。そのような行列を正方行列といいます。
例 行列の和
和は単純で同じ行と列の数字を足すだけです。
\begin{bmatrix}
2 & 7 \\
1 & 3
\end{bmatrix}
+
\begin{bmatrix}
2 & 1 \\
1 & 0
\end{bmatrix}
=
\begin{bmatrix}
4 & 8\\
2 & 3
\end{bmatrix}
例 行列の積
行列の積は左側の行列の行×右側の行列の列です
\begin{bmatrix}
2 & 1 & 4 \\
1 & 3 & 2
\end{bmatrix}
\times
\begin{bmatrix}
2 & 1 \\
1 & 0 \\
5 & 2
\end{bmatrix}
=
\begin{bmatrix}
25 & 10\\
15 & 5
\end{bmatrix}
行(横)× 列(縦)を一つずつ行って足します。
2×2+1×1+4×5=25
2×1+1×0+4×2=10
1×2+3×1+2×5=15
1×1+3×0+2×2=5
掃き出し法
この計算法では行を入れ替えたりn倍して最終的に1が対角線上に右下がりに並ぶ形を目指します。
4x - 7y + 4z = 1 \\
x + y - z = 6\\
2x + 5y - 8z = 3\\
係数だけにすると
\begin{pmatrix}
4 & -7 & 4\quad |1 \\
1 & 1 & -1\quad |6 \\
2 & 5 & -8\quad |3
\end{pmatrix}
1行目と2行目を入れ替えて
\begin{pmatrix}
1 & 1 & -1\quad |6 \\
4 & -7 & 4\quad |1 \\
2 & 5 & -8\quad |3
\end{pmatrix}
左上を1にすると倍にすることですべての整数にできるため、勝手が良いです。
2行目ー1行目×4、
2行目ー1行目×2
\begin{pmatrix}
1 & 1 & -1\quad |6 \\
0 & -11 &\quad 8\quad |-23 \\
0 & 3 & -6\quad |-9
\end{pmatrix}
1列目を掃き出せました。
次に3行目を3でわってまた1を作ります。
なぜ1行目の1ではダメなのかというと、せっかく1列目(xの行)を0にしたのに足したり引いたりすると変化してしまうからです。
\begin{pmatrix}
1 & 1 & -1\quad |6 \\
0 & -11 &\quad 8\quad |-23 \\
0 & 1 & -2\quad |-3
\end{pmatrix}
2行目と3行目を入れ替えて対角線上に1を作ります。
\begin{pmatrix}
1 & 1 & -1\quad |6 \\
0 & 1 & -2\quad |-3\\
0 & -11 &\quad 8\quad |-23 \\
\end{pmatrix}
また1で掃き出します。
\begin{pmatrix}
1 & 0 & 1\quad |9 \\
0 & 1 & -2\quad |-3\\
0 & 0 &\quad -14\quad |-56 \\
\end{pmatrix}
3列目も同じようにして
\begin{pmatrix}
1 & 0 & 0\quad |5 \\
0 & 1 & 0\quad |5\\
0 & 0 & 1\quad |4 \\
\end{pmatrix}
これで対角線上にきれいに並びました。
行列は係数の集合なので
\begin{pmatrix}
x & 0 & 0\quad |5 \\
0 & y & 0\quad |5\\
0 & 0 & z\quad |4 \\
\end{pmatrix}
x= 5 \\
y=5 \\
z=4 \
となり、1次方程式の解を求めることができました。
この掃き出し法はとてもよく使う手法ですので覚えて頂きたいです。私の大学の講義の練習問題ではこのやり方さえ覚えていれば半分以上解答できそうです。
行列の積の性質
(1) (AB)C=A(BC) 結合法則
(2) A(B+C)=AB+AC 分配法則
(3) (A+B)C=AC+BC
(4) AB ≠ BA
要は順番を入れ替えないのであれば等しいです。(交換法則は成り立ちません。)
下記の二つの場合は交換法則が成り立ちます。
(5) AE=EA=A Eは実数の1と同じ働きをします。
(6) AO=OA=0 0は実数の0と同じ働きをします。
正直ここは頭に軽く入れておく程度で大丈夫かと思います。
転置行列
行と列を入れ替えた行列を転置配列といいます。
例
\begin{bmatrix}
2 & 3 & 1 \\
1 & 0 & 7
\end{bmatrix}
の転置配列は
\begin{bmatrix}
2 & 1\\
3 & 0\\
1 & 7
\end{bmatrix}
になります。
まとめ
お疲れ様でした。これで行列の最低限の知識は抑えられると思います。残るは行列式と線形空間、そして行列の対角化です。それらも記事にしていくのでお楽しみに!